HOTEL

「ウミトタ」
豊島の景色を独り占めできる一棟貸し宿

2021.6.23
「ウミトタ」<br>豊島の景色を独り占めできる一棟貸し宿
photo: Kiyoshi Nishioka

香川県豊島に位置する「ウミトタ」は、築約50年の民家を改修した一棟貸し宿。この宿のディレクションを手がけるのは、世界的デザイナーの皆川明氏。設計は、皆川氏とも親交のある緒方慎一郎氏が担当し、「暮らすように泊まる」というコンセプトが所々に散りばめられている。

皆川明(みながわ・あきら)
1967年東京生まれ。1995年に自身のファッションブランド「minä(2003年よりminä perhonen)」を設立。時の経過により色あせることのないデザインを目指し、想像を込めたオリジナルデザインの生地による服作りを進めながら、インテリアファブリックや家具、陶磁器など暮らしに寄り添うデザインへと活動を広げている。また、デンマークKvadrat、スウェーデンKLIPPANといったテキスタイルブランドへのデザイン提供や、新聞・雑誌の挿画なども手掛ける。

緒方慎一郎(おがた・しんいちろう)
1998 年、SIMPLICITY 設立。「現代における日本の文化 創造」をコンセプトに、和食料理店「八雲茶寮」、和菓子店「HIGASHIYA」、プロダクトブランド「Sゝゝ[エス]」 などを展開。自社ブランドのみならず、建築、インテリア、プロダクト、グラフィックなど多岐にわたるプロジェクトにおいて、デザインやディレクションを手がける。2004年、由布院「山荘 無量塔」の建築・空間デザイン。2008 年、紙の器「WASARA」の総合デザインおよびディレクション。2011年、東京大学総合研究博物館「インターメディアテク」の空間デザイン。著書に『HIGASHIYA』(⻘幻舎)、『喰譜』(東京大学出版会)、『拈華』(⻘幻舎)。

ありのままで、
豊島の素朴な自然を感じる

photo: Kiyoshi Nishioka

豊島は湧き水が豊富なことから古くから稲作や農業を行ってきた。「ウミトタ」も、目の前には瀬戸内海、敷地の南側には棚田があり建物が海と田の間に位置することから「ウミトタ」という名前が付けられた。

自分のリズムやスタイルで、豊島の素朴な自然を感じながら滞在できる一棟貸しの宿。南側の棚田、北側の瀬戸内海とを結ぶテラス、海を眺める浴室、小さなライブラリーなど、訪れた季節や天候、目的に合わせて、一つの民家の中に様々な心地よい場所を見つけることができる。

また、時期に応じて田植えや稲刈り、野菜の収穫などを体験したり、広いキッチンで調理を楽しんだりと、よりアクティブな滞在も。

ディレクション・設計

photo: Kiyoshi Nishioka

宿の内装はファッションブランド「minä perhonen(ミナ ペルホネン)」のファブリックが施され、選び抜かれた品々が特別な滞在を演出。

外壁には、アワビの貝殻の螺鈿がちりばめられている。ディレクションの皆川氏と島民とで、ひとつひとつピースを貼りつけた思い出の壁。空や海が夕焼けに染まるころには、ピンク色の水面のようにキラキラと輝く。

「海のレストラン」で
豊島の食を味わう

夕食は歩いてすぐの「海のレストラン」にて、下町兄太シェフと、ピッツァイオーロ(ピザ職人)の田中佑介氏による、イタリア料理の技法を活かした旬のコースを味わえる。瀬戸内海の魚介や自家菜園の野菜など、その日の旬の食材でもてなされる至福の時間。

朝は、専用の扉に海のレストランから朝食が届く。宿泊者と顔を合わせずに提供するしくみは、ディレクションの皆川氏が考案。

下町兄太(しもまち・けいた)
鹿児島県 甑島出身。大阪でのレストラン勤務を経て2012年に渡伊。海と緑と太陽の恵みに溢れた南欧で7年間に渡って料理人としての研鑽を積んだ。帰国後、2020年6月のリニューアルオープンに伴い「海のレストラン料理長」に就任。豊かな海と島々が織りなす“せとうち”の恵み、四季折々の変化が奏でる旬の変化を波音とともに料理として昇華させる。都会の喧騒を離れ、まどろむ空気に満ちた豊島、海のレストランだからこそ実現できる「食」のカタチを追究している。

田中佑介(たなか・ゆうすけ)
京都府出身。イタリア料理の修行中に出会ったピッツァに魅了され、自らもピッツァ職人の道へ。職人のセンスと技術次第で千変万化するピッツァという料理。卓越した技術は熱き窯の中で生命力溢れるピッツァを焼き上げ、皆を笑顔にする1枚を生み出していく。2020年6月、京都屈指のピッツェリアで12年間の修行を経て“せとうち”へ。海の幸、山の幸を活かし、この場所、この瞬間だからこそ味わうことができる「一期一会の1枚」を常に目指している。

photo: Kiyoshi Nishioka

エントランスから続くリビングスペースは、ソファが床のレベルよりも低く掘り下げられている。窓越しに「海と田」を望むことができ、豊島らしい景色に囲まれながらのんびりと過ごせる。ダイニングスペースには、モリソン小林氏の製作したシャンデリアが飾られており、アートも楽しめる。

photo: Kiyoshi Nishioka
photo: Kiyoshi Nishioka

広々とした浴室には、豊島石を贅沢に使用。窓からは海を眺めることができ、身体を休めながら風景に浸ることができる。また、お部屋に用意しているタオルは、愛媛県今治市にあるKONTEXとのコラボアイテム。ウミトタのモチーフでもある”鳥”の刺繍が施されている。ウミトタ周辺を上空から眺めると、鳥のような形に見えることからこのようなデザインとなっている。

タオルはウミトタのショップ「ナミノミ」、オンラインストア、海のレストランでも購入可能。

photo: Kiyoshi Nishioka

玄関の扉を開くと広がる瀬戸内海。この夏はウミトタでの滞在で、海辺での暮らしを満喫してみてはいかが。

ウミトタ
住所|香川県小豆郡土庄町豊島家浦423-2
Tel|0879-68-3386
料金|1泊2食付7万7000円+1名につき1万9600円(税込)
定員|6名
IN|15:00
OUT|11:00
https://umitota.jp/

ナミノミ
住所|香川県小豆郡土庄町豊島家浦426
営業時間|11:00〜17:00
営業日|不定休(臨時休業の際はSNSでお知らせ)
https://umitota.jp/shop/


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