男木島でかなえる “島ワーケーション”
香川で仕事も遊びも、旅も暮らしも。【後編】
瀬戸内海に浮かぶ人口約160人の島・男木島。瀬戸内国際芸術祭の開催をきっかけに移住者が増加中のこの島に新たに加わったワーケーションという選択肢とは?
島の旧郵便局舎からつながる
人との出会いや働き方
島ワーケーションの拠点となるのが、男木港から坂道を上り徒歩5分ほどの「鍬と本」、そしてゲストハウス「ogijima ゆくる」だ。
「鍬と本」は2021年1月にプレオープンした島初のコワーキングスペース。オーナー・福井大和さんは男木島出身で、2014年、家族とともにこの島にUターンを果たした。
ウェブ制作会社の代表でもある福井さんは、空き家となっていた築120年の旧郵便局舎を改装し、「みんなが集いながら働く場所」として再生。カウンター席や囲み席、個室のほか、広いイベントスペースも備え、フリーWi-Fiにも接続できる快適なスペースをつくり上げた。「島をより楽しむなら、主体的な行動をおすすめします。希望があれば、島の漁師や農業者などへの紹介も」と福井さん。非日常的な島でのワーケーションだけでなく、さらに踏み込んだ島ワークまで後押ししてくれる。
短期間の宿泊なら、「鍬と本」の斜め向かいに立つ「ogijima ゆくる」へ。大正12年築の住宅を耐震補強し、週末はカフェとしても営業するゲストハウスで、オープンは2019年。思わず「ただいま」と言いたくなるどこか懐かしい雰囲気が漂い、囲炉裏を備えたオープンスペースの窓から眺める、瀬戸内海の夕焼けは絶景だ。滞在期間中のランチには、「ダモンテ商会」のサンドウィッチ弁当という選択も。食材の小麦は店主夫妻が自ら島で栽培、卵は島の北端エリアで自ら平飼いする鶏から、リエットの肉はなんと店主が島で仕留めた猪。島の恵みがたっぷり詰まった弁当をじっくり噛みしめたい。
前述の福井さんが「結構サバイバル」と語るこの島には、自ら「手を動かし創ること」をいとわず、地道に実践しながらしなやかに暮らす人々が多いことに気づかされる。島民と触れ合い、島の生活にしばし身を置くことで、あらためて“自分らしい働き方”について考えるヒントを得られそうだ。
〈WORK〉
Wi-Fi完備の旧郵便局舎
「鍬と本」
受付カウンターなどにかつての面影が残るコワーキングスペースは、現在紹介予約制で運営。カウンター席や個室など、仕事に合わせて部屋が選べる。コーヒーマシンが利用できるのもうれしい。
鍬と本
住所|香川県高松市男木町142
営業時間|9:00〜17:00
定休日|不定休
料金|ドロップイン550円(2時間)※2時間以上1100円/日、会員1万6800円/月※登録料1万1000円別途、1年契約の場合は10%OFF
設備|個室(定員6名程度)※貸切料金1100円/時、Wi-Fi接続(2時間)、プロジェクター(有料)、スクリーン(有料)
Mail|mail@hoe-book.com
https://hoe-book.com
〈STAY〉
ゆるりと時間が流れるゲストハウス
「ogijima ゆくる」
オーナーのルーツでもあり、暮らすように旅した沖縄のゆったりとした居心地のよさを再現したいと、2019年に開いたゲストハウス。自炊ルームやWi-Fiも完備でワーケーションを支援。週末限定のカフェも営業。
ogijima ゆくる
住所|香川県高松市男木町194-1
Tel|070-4228-8483
料金|1泊2食付1万1000円、素泊まり7700円 【カフェ】営業時間:11:00頃〜16:30(L.O.15:45) ランチ11:30頃〜14:00頃(数量限定、予約優先)、ディナー17:00〜22:00(完全予約制)
定休日|不定休 ※来店前に要確認
https://ogijima-yukulu.com
〈FOOD〉
小麦の滋味深さが堪能できるパンの味
「ダモンテ商会」
2016年春の瀬戸内国際芸術祭で島を訪れたことをきっかけに、移住した店主夫妻が営むベーカリー&カフェ。現在はテイクアウトとオンラインショップのみで営業。
ダモンテ商会
住所|香川県高松市男木町1916
営業時間|10:00〜17:00、日曜〜15:00
定休日|不定休
Mail|info@damonte.co
https://damonte.co
〈LIFE&ART〉
アート作品や灯台がコンパクトにめぐれる
男木島へのaccess
飛行機/高松空港からバスで約45分→JR高松駅から徒歩約5分→高松港からフェリーで約40分 電車/JR高松駅から徒歩約5分→高松港からフェリーで約40分
text: Makiko Shiraki(Arika Inc.) photo: Kiyono Hattori map :Alto Dcraft
2021年10月号「秘密の京都?日本の新定番?」