四国村ミウゼアム《おやねさん》
古民家と現代建築のコントラストとは?
|アート県かがわの源流へ③


四国村のエントランス棟「おやねさん」。この新築を機に2022(令和4)年リニューアルし「四国村ミウゼアム」となった。伝統家屋をダイナミックな意匠に昇華させた建築が未来を開く起点に。
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入り口と出口、学びの場と
多機能な「おやねさん」

2022(令和4)年のリニューアルと同時に誕生した「おやねさん」。東京大学准教授で建築家の川添善行氏が設計した新エントランス棟で、ダイナミックにうねる大屋根が特徴だ。伝統的な切妻屋根をモチーフとしながら、四国村を貫く「流れ坂」の傾斜に沿い、また北側と南側で高さを変えるべく、47組の木の合掌を巧みに組み合わせ大きなうねりをもつ屋根となっている。2023年度グッドデザイン賞受賞。

また、おやねさんは順路の最後に到達する出口でもある。村内をじっくりめぐった最後に現れるゆるやかなスロープを下っていくと、おやねさん2階のライブラリーへと自然に誘われる。イサム・ノグチのソファがゆったり配された空間では、大正時代、讃岐の醤油蔵で書かれた丁稚の日記をはじめとする貴重資料がタブレットで見られるほか、四国村に深くかかわった建築史家・伊藤ていじ、画家・猪熊弦一郎など多くの芸術家や創設者・加藤達雄が残した言葉に触れることもできる。

吹き抜けの階段を降りていけば、1階はミュージアムショップ。手仕事と現代のデザインが掛け合わされた四国村のオリジナルグッズは、どれも持ち帰りたくなるほど粋で、讃岐が誇る味覚も充実。
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吉事に使う水引を現代風アレンジでしおりに。美しい配色に目を奪われる。各330円
(左下)マスキングテープ
四国村のシンボルをしゃれたテープに。「古民家」、「かずら橋」、「流れ坂」の3柄。各440円
(右)てぬぐい「かずら橋」
徳島・祖谷のかずら橋を忠実に再現した四国村の吊り橋「かずら橋」をデザイン。990円

200年以上続く老舗・三谷製糖の逸品。口溶けがよく、旨みの深い甘み。32個入り2060円
(右)讃岐三昧
讃岐の特産品である塩・醤油・和三盆を使ったオリジナルクッキー。3種入り1620円
おやねさん(四国村ミウゼアム)
住所|香川県高松市屋島中町91
Tel|087-843-3111
開館時間|9:30〜17:00(最終受付とギャラリーは16:30まで)
休館日|火曜(祝日の場合は翌日休)
入場料|大人1600円、大学生1000円、高中生600円、小学生以下無料
≫公式サイト
01|四国村ミウゼアムとは?
02|さぬきうどんの店《わら家》
03|エントランス棟《おやねさん》
04|香川の産業と暮らしを支えた《砂糖しめ小屋》 前編
05|香川の産業と暮らしを支えた《砂糖しめ小屋》 後編
06|《画家・猪熊弦一郎》がエールを贈った芸術村
07|《彫刻家・流政之》が創造した村の音
08|《建築家・安藤忠雄》光と水のギャラリー
text: Kaori Nagano photo: Hiromasa Otsuka
2024年7月号増刊「香川」