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2024年の干支「たつ」は新たな挑戦が吉!?
辰年の基礎知識

2023.11.27
<small>2024年の干支「たつ」は新たな挑戦が吉!?</small><br>辰年の基礎知識

師走の声をきくと途端にあわただしい気持ちになってきます。仕事納めに大掃除、おせちの準備に加えて、お正月を迎える準備のひとつとして年賀状の準備も忘れるわけにはいきません。年賀はがきに描かれる定番の絵柄と言えば、来年の干支。
2024年は辰年。十二支のうち唯一の想像上の動物である辰(龍)にまつわる、あれこれをご紹介します。

まずはおさえておきたい
「十二支」とは?

十二支と言えばネズミ、牛、トラと、来年の干支である辰を含めた12種類の動物を象徴とするもの。しかし十二支はもともと動物ではなく、植物が芽吹き、成長していく過程を表すものだった。古代中国で生まれた十二支は「甲乙丙丁」と続く十干と組み合わせて、年だけでなく月や日、さらに細かく時刻、そして方位にも当てはめられ、これが太陰暦(旧暦)の暦の成立になっている。十干十二支はその年の作物の出来をはじめとする吉凶の占いに用いられ、当初は支配階級だけが使用していたが、やがて暦として庶民にも普及させる必要が出てきた際に、庶民にもなじみやすいように、それぞれの過程を指す字と音の似た動物があてはめて、動物の十二支が使われるようになった。

辰とは九種類の動物の合体したもの?

辰は「ふるう、ととのう」という意味があり、もともとの植物の成長過程では植物の形が整った状態を表している。辰すなわち龍は中国で古くから偉大な生き物、神の化身、様々な霊力を持つものと考えられてきた。東西南北を守る神のひとつでもあり、北の玄武、南の朱雀、西の白虎とともに、日が昇る東の方角を守るのが青龍だ。

では一体龍とはどんな姿をしていると考えられていたのか。中国では「頭はラクダ、角はシカ、目は鬼、耳は牛、首筋はヘビ、腹はみずち、うろこは魚、爪は鷹、掌はトラ」に似ているとされていた。ちなみに龍の腹に似ているというみずちも想像上の生き物で、蛇に似た細長い生き物で、角と4本の足があるという。なんだかわかったようなわからないような例えだが、試しにこの九つの動物を組み合わせて描いてみると、なるほど、なんとなく龍らしき絵が出来上がる。

辰は生殺与奪を握る、巨大な権力の象徴

中国では古くから龍は皇帝の象徴とされ、のちには5本の爪を持つ龍は皇帝だけが使える文様となった。万が一皇帝以外が5本爪の龍の文様を用いたりすれば、それはすなわち「我こそは皇帝である」という意思表示であり、反逆者として断罪されるほど。地位や権力によって爪の数が描き分けられるようになっていたのだ。

日本でも龍はやはり力の象徴であり、植物の成長に欠かせない水をつかさどる神としてあがめられてきた。だが恵みの神という意味合いよりも、雷や嵐で物を壊したり、逆に一滴の雨も降らせないようにしたり、怒らせればその年の作物をすべてだめにするほどの力を持った、荒ぶる恐ろしい神としての性格が強い。

2024年は「甲辰(きのえたつ)」
新しいことをはじめるとよい?

2024年は十干では甲、十二支では辰にあたるため、甲辰(きのえたつ)の年となる。甲とは「甲乙丙丁~癸」の始まりであり、物事の始まりととらえることができる。そして辰は発芽した植物がしっかりとした形になる、勢いと大きな力、成功ととらえることができる。この二つが合わさる甲辰は、新しいことを始めて成功する、いままで準備してきたことが形になるといった、縁起のよい年になると考えられる。

ちなみに前回の甲辰は1964年。アジア発開催の東京オリンピックが開かれ、敗戦国日本が名実ともに世界に復興を印象付けた年である。さらにその前の甲辰である1904年に設立したのが、日本の百貨店文化を作ってきた三越百貨店の前身である三越呉服店。江戸時代の越後屋から令和のいまもなお続く三越百貨店が、生まれ変わった年が甲辰なのだ。

コロナ禍の影を脱して迎える2024年。新たな成功を目指して、何かにチャレンジするのに最適な甲辰です。さあ、何を始めようか、そんなことを考えるのも年末ならではの楽しみですね。

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ライタープロフィール
湊屋一子(みなとや いちこ)
大概カイケツ Bricoleur。あえて専門を持たず、ジャンルをまたいで仕事をする執筆者。趣味が高じた落語戯作者であり、江戸庶民文化には特に詳しい。「知らない」とめったに言わない、横町のご隠居的キャラクター。

参考文献=国立国会図書館「日本の暦」/辰を描く(誠文堂新光社)/十二支と十二獣(北隆館)

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