TRADITION

門松ってそもそも何のため?
正月の基本

2020.12.27
門松ってそもそも何のため?<br><small>正月の基本</small>

年末年始、街でよく見かける門松。歳神様を迎え入れる目印であることは何となく知っているけれど、それ以上のことは分からない……そんな方に、門松の基礎知識を伝授します! 門松を飾るようになった経緯、種類、集合住宅などで大きな門松が出せないときはどうすれば? あらゆる疑問を解決します。

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お話をうかがった方
神崎宣武
(かんざき・のりたけ)
1944年生まれ。旅の文化研究所所長。民俗学者にして岡山県宇佐八幡神社宮司。『しきたりの日本文化』、『「まつり」の食文化』ほか著書多数

そういえば、門松ってそもそも何のため?

門松は文字通り、本来は門(門口)に立てる松のこと。なぜ松かというと、歳神様は生命力の象徴であり、その生命力は枯れることがない=冬でも青々とした松に依りつくと考えられているためだ。歳神様をお迎えするとき、「我が家はここですよ」というわかりやすい印を出す=松を飾る、座っていただくところに座布団を出す=床の間に鏡餅を供える、というところだろうか。歳神様は松を目印としてそれぞれの家を訪れ、中に入れば鏡餅に依りつくと考えればよいだろう。

昔は、この門口に飾る松は自分たちで取りに行った。どこの松でもいいのではなくて、その年の恵方(歳神様がやってくる方角、4方向あって年によって変わる)の山から取ってくる。これを「松迎え」といって、まだ行っている地方もある。江戸時代、江戸の町では町内の鳶のものが一手に引き受けて松などを用意し、家々を回ってこうした正月飾りを世話して歩いたので、ある程度お揃いの正月飾りを用いるようになった。そうでなければ地方出身者の集まりである江戸の正月風景は、さぞやバラエティに富んだものになったことだろう。

時代とともに、門松はどんどん大型化。財力を表現したい、より大きな御利益に預かりたいという気持ちが、松のほかにもおめでたいとされる植物を装飾につけることを思い立つ。さらにデザイン的な進化の過程で、本来主役の松が脇に追いやられ、竹が取って代わったものも多い。だが根本に立ち返れば、歳神様の依り代(乗り物でもある)の松を1本立てて門口へ飾ればそれで用をなすものなのだ。

一般的な門松のかたち

そぎ(右)
中央にあしらわれた竹の切り口が、斜めになっているもの。徳川家康が用いたデザインといわれているが、真偽のほどは定かでない

寸胴(左)
竹の切り口を水平にしたもの。口が開いていない(金が逃げない)というので縁起がいいという説があり、商家や銀行などが好んで飾る

関東と関西で門松が異なる?

関東も関西も、細かく見れば地域ごとにさらにいろいろな門松が使われているが、おおざっぱにいうと、関東では3本のための周囲に短い松を置いて下をわらで巻くタイプ、関西ではわらではなく竹で巻くタイプの門松を飾ることが多い。

集合住宅などで大きな門松が出せないときは?

門がない家が増えた現代では、松や竹をあしらったフラワーアレンジメントを、玄関わきに置くという飾り方も見られる。歳神様の依り代という目的に合えば、無理にかたちに固執することはない。

“松の内”って何?

歳神様を迎えた大晦日の夜から明けて1月5日か6日の夜、7日までの期間とされているが、実は江戸中期の「松飾りは7日の朝取り外すように」というお触れからはじまった習慣。これは防火のために出されたお触れとのこと。

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text:Ichiko Minatoya illustation:Miho Nakamura
Special thanks:Noritake Kanzaki

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