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【noma×うつわ】
うつわ選びへのこだわり
nomaヘッドR&Dシェフ・髙橋惇一さん
nomaプロジェクトマネージャー・神尾理沙さん
ノーマ京都のすべて⑫

2023.8.11
【noma×うつわ】<br>うつわ選びへのこだわり<br><small>nomaヘッドR&Dシェフ・髙橋惇一さん<br>nomaプロジェクトマネージャー・神尾理沙さん<br>ノーマ京都のすべて⑫</small>

nomaの料理の魅力をいっそう引き出すうつわの数々。さまざまな作風の中から選ぶ過程で目に留まったのは、日本の作家たちだった。コペンハーゲンとは違う顔ぶれになったnoma×京都のうつわ。そのこだわりに迫る。

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ヘッドR&Dシェフの髙橋惇一さんとプロジェクトマネジャーの神尾理沙さん。神尾さんは作家一人ひとりと丁寧に連絡を取り合いながらうつわを選んでいった

うつわは、どのようにして選ばれたのか?

古くからの窯場が全国にあり、才能豊かな現代作家も活躍する日本のうつわは多岐に富んでいる

日本人作家が多く起用された今回のポップアップレストラン。料理の印象を左右するうつわをどう選び、どのように料理に合わせていったのか——。
 
——うつわ選びはどのようなプロセスをたどったのですか。
 
神尾 今回のポップアップにどんなストーリーを描いているかを、レネに聞くことからはじまりました。彼の考えを理解して仲間と一緒につくり上げるのがnomaですので、そこはしっかりコミュニケーション。その後、うつわのテーマ「アーシー(earthy)」に合うような日本人作家さんをSNSで探しはじめました。
 
髙橋 料理の詳細が決まらない中での作家さん選びになったよね。
 
神尾 幅をもたせてリサーチしましたが、その中で日本のうつわ作家さんの質の高さを本当に実感しました。土も釉薬も違うため、海外の作家と単純比較はできませんが、セレクトする分母は、桁違いに日本が豊かですね。
 
髙橋 日本の作家さんは個性がありますね。僕たちもユニークな集団ですから、ぶっ飛んだもの同士が共鳴した部分もあったと思います。
 
神尾 本当にそう。いわゆる真っ白なうつわでは、今回のnoma×京都の世界は描けなかったと思います。
 
——最終的にはどのような基準で選ばれたのですか。
 
神尾 約40名の方に絞り込んで、その中から我々の想いに共感してくださる方にサンプルを依頼しました。実際に現物を拝見して、今回のテーマにしっくりとくる20名にご協力していただきました。皆さんの熱量にも助けられました。
 
髙橋 その熱量は料理人にもしっかり伝わってきたし、うつわからはすごいパワーをもらいました。
 
神尾 レネもそれを感じたと思います。選んだものは、はじめから「いいね!」という反応だったもの。

調整しながら完成したうつわの数々。nomaと作家が同じゴールに向かってつくり上げた

——作家とはどんなやりとりをして完成にいたったのですか。
 
神尾 すぐに会えない距離だからこそ、細やかに対話を重ね、前進していきました。たとえば壷田和宏さん、亜矢さんのスキレットは、取っ手の位置を相談しながらかたちを決めていきました。
 
髙橋 10品目のキンキを盛りつけたうつわです。どっしりしていて恰好もいい。
 
神尾 オリジナルのかたちもとてもすてきなんですが、田中信彦さんの少し立ち上がりのあるベースプレートに取っ手が当たってしまったんです。
 
髙橋 田中さんのベースプレートは「INUA」(東京にあったnomaの姉妹店)のときから質感を変えて、僕たち料理人にとっても、より使い勝手がよくなったと感じました。
 
神尾 質感を変えていただいたのは、料理を盛りつけたうつわをベースプレートに置いたときに、「カタン」と小さく鳴る音の問題。
 
髙橋 レネは人が気づかないような細やかなところに目がいくので、そういった、一見小さく思える問題も見逃せない。
 
神尾 田中さんにはサイズも普段より小さくしてもらいました。サイズの変更でギリギリまで調整していたのは、6品目の海藻のしゃぶしゃぶに使った内田可織さんの土鍋です。
 
髙橋 そもそもシェアする鍋のつもりが、土壇場で一人鍋に変更になったからね。
 
神尾 無理を聞いていただいたかいがあって、折敷風に使っている麹蓋の雰囲気ともピッタリ。印象的な料理になりました。
 
髙橋 実はバックヤードでは、どのうつわに何を盛りつけるか、何度も変更があったんです。
 
神尾 7品目のタケノコとヤリイカの出汁は、内田可織さんのうつわに盛る予定が、最終的には小林徹也さんのものになったよね。
 
髙橋 あの盛りつけは、角度のある小林さんのうつわだからできました。9品目に使った蓋付きの内田さんのうつわは、お客さまに蓋を開けてもらうことで、鮮やかなナスタチウムの花をより印象的に見せることができました。
 
神尾 レネが最初からこれと決め、変更がなかったものもあったよね。
 
髙橋 12品目の山菜のうつわはすぐにこれと絵が浮かんだみたい。レネは決断が速いからね。
 
神尾 nomaにとって、うつわは空間をかたちづくる重要なエレメントのひとつですが、今回もそれをすごく実感しました。たくさんのわがままにつき合ってくださった作家の皆さんには本当に感謝しています。

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作家の熱量がnomaのクリエイティビティをさらにかき立てた。うつわにはすべてnomaの刻印が

 

noma×京都の料理を彩ったうつわ作家たち
 
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《ノーマ京都のすべて》
01|世界一のレストラン《noma/ノーマ》が京都にやってきた
02|【noma×日本料理】京都の野山を味わう“八寸”から
03|【noma×日本料理】ニッポンの海と懐石料理の文化を再発見
04|みんなでひとつを生む、nomaのつくり方。
05|世界一のレストランnomaのキーマンはヘッドR&Dシェフ・髙橋惇一さん
06|nomaが惚れた、ニッポンの食材
07|【noma×日本料理】限りなく無作為な自然をいただく。
08|【noma×日本料理】文化、食材への“探求”=nomaだ
09|最高の食事とサービスを提供するノーマ京都の舞台裏を公開
10|理想のうつわを求めて、宮崎・高千穂へ【前編】
11|理想のうつわを求めて、宮崎・高千穂へ【後編】
12|【noma×うつわ】うつわ選びへのこだわり
13|【noma×うつわ】noma×京都の料理を彩ったうつわ作家たち

text: Mayumi Furuichi photo: Maiko Fukui
Discover Japan 2023年7月号「感性を刺激するホテル/ローカルが愛する沖縄」

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