ななつ星in九州が愛され続ける理由とは?
上質な九州のストーリーを体感する列車の旅|後編
日本で豪華クルーズトレインの先駆けとなった「ななつ星in九州」。「人生を変える夢の列車」と称賛されて早くも10年がたつ。その人気は高まるばかりで、かなりの倍率になる抽選で当選してはじめて乗車がかなう。それほど多くの人に愛され、時を経ても色褪せない理由がどこにあるのか紐解いた。
今回は、九州の食材を使った食事や地元の伝統文化を体験するなど五感で愉しむ九州の魅力や、各地の名旅館に宿泊できるコースを紹介します。
五感で愉しむ九州の魅力
九州の旅をさらに印象づけるのが、テロワールを感じる食事だろう。ななつ星では行く先々でシェフが乗車し、地元の美味を届けてくれる。例えば3泊4日霧島コースでランチを提供するのは「マナーハウス島津重富荘」の宮元伸一郎総料理長。「野菜は自然栽培で育てられるものです。草原で走り回って育つ純国産牛は、ローストビーフにしてサンドイッチにしようかな。九州の食材は本当に力強いです」。前菜は、数種類の旬の野菜をいろいろな調理法で仕立てた一皿を予定している。
また、地元の伝統文化は体験してこそ理解が深まるもの。コースの途中で下車して工房を訪ねたり、車内でワークショップを行ったりと、プログラムがいくつも用意されている。古くから林業が盛んな大分の日田では、地元の日田杉で下駄づくりを体験できる。
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3泊4日コースは各地の名旅館にも宿泊
<3泊4日雲仙コース>
大地の恵みと伝統文化を体感し、
未来へと繋がる九州の魅力に出逢う旅
博多から大分、阿蘇。熊本へ。フェリーで島原半島へ渡り、雲仙、長崎と北部九州を堪能するコース。雲仙地獄で地球の鼓動を感じ、熊本では細川家の菩提寺にあたる泰勝寺にて細川流盆石を体験。長崎の夜は、和華蘭文化の粋を集めた卓袱(しっぽく)料理を堪能する
<3泊4日霧島コース>
九州の焼き物と歴物に触れ、
100年の鉄道浪漫に想いを馳せる旅
博多から大分、熊本を抜けて一路、南九州へ。錦江湾沿いに走る区間は列車が進むに連れて変化する桜島の姿をずっと見ていられる。薩摩焼きの名窯「沈壽官窯」訪問、霧島東神社へ参拝、大分の焼酎蔵「牟礼鶴酒造」での朝食など、歴史に触れるエクスカーションも魅力的
<1泊2日九州周遊コース>
移ろいゆく九州の自然を車窓から望み、
優雅にななつ星を味わう旅
週末に運行する、ななつ星で過ごすことの豊かさを体験できるコース。夕方の肥薩おれんじ鉄道にて、徐々に暮れていく東シナ海の幻想的な景色は感動もの。鹿児島ではウミガメが上陸する脇本海岸の散策も。歴史と文学の町・佐伯では、ゲストのためにマルシェがオープン
ななつ星は、抽選で乗車が決まってからの約半年間でワクワクを募らせて列車に乗り込む。そこで想像以上の感動が待っているのは、ななつ星に関わるすべて人が、ゲストのストーリーを紡ぐ立役者であるからだ。
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申し込み方法
【霧島コース】
2024年秋ごろに、2025年運行分の受付開始。2024年に催行の「霧島コース」は、現在旅行会社主催のプランのみ受付中。
詳しくは、「ななつ星」HPの申込みページから確認を。
【雲仙コース・九州周遊コース】
2024年3月1日~31日に、2024年9月から2025年2月までの運行分を受付。「ななつ星in九州」専用ホームページから申し込みを。
text: Yukie Masumoto photo: Shinsuke Matsukawa
Discover Japan 2024年4月号「日本再発見の旅」