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佐賀県《嬉野温泉》
「ティーツーリズム」で温泉街の活性化!

2025.4.19
佐賀県《嬉野温泉》<br>「ティーツーリズム」で温泉街の活性化!

かつての賑わいを取り戻そうと、リブランディングを実施する温泉地が全国で増加中。その地の歴史や伝統を踏襲しつつ、アートや建築、食など独自の見どころを創出し、新しい魅力を生み出している。生まれ変わりゆく温泉地を、その目で確かめよう。

佐賀県・嬉野温泉は特産品の「嬉野茶」を活かした“ティーツーリズム”で街を活性化。一杯のお茶を求めて旅をする、新しい観光のスタイルとは?

ティーツーリズムでもてなす名旅館の試み

嬉野川沿いに2万坪の敷地を誇る老舗旅館「和多屋別荘」。専属大工の改装で快適な空間づくりにも取り組む。温泉はすべて自家源泉

1300年前から湧出する「嬉野温泉」に加え、500年前に栽培がはじまった嬉野茶、400年前から続く肥前吉田焼という伝統文化を誇る佐賀・嬉野。

そこに独自の価値を見出して新しいかたちで表現し、街の活性化につなげるプロジェクトが、2016年から続く「嬉野茶時」だ。メンバーは、老舗旅館「和多屋別荘」代表・小原嘉元氏をはじめ、茶農家や肥前吉田焼の窯元といった地元産業の跡継ぎを中心とする。一杯のお茶を求めて旅をする「ティーツーリズム」を新しい観光のスタイルとして提案し、現地を訪れなければできない体験を創出してきた。

標高約200mの高台に位置する副島園の茶畑に設けられた茶空間体験の舞台「天茶台 by 副島園」。嬉野温泉街を一望しながら味わう嬉野茶は格別。舞台は全部で4カ所ある

中でも嬉野の老舗茶農家「副島園」の茶畑に設置したオープンエアーの茶室でのティーセレモニーは大反響。茶農家や茶師にとっても、生産地での彼らの日常が高い付加価値となることを証明した。そのまちづくりは、JR九州が魅力あるまちづくりを応援するべく創設した「西九州観光まちづくりAWARD2022」で大賞を受賞するなど、高い評価を受けている。

また、小原氏は、和多屋別荘の客室を開放しサテライトオフィスとしてIT企業を誘致したり、敷地内の未稼働エリアをテナントリーシングしたりと画期的な取り組みを行い、旅行客のみならず企業にも注目されている。

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「和多屋別荘」内で副島園が営むバー「副島園 the BAR」。洗練された空間で、茶ビールやほうじ茶ハイボールなどの酒や甘味を堪能できる

和多屋別荘
住所|佐賀県嬉野市嬉野町下宿乙738
Tel|0954-42-0210
料金|1泊2食付1万8850円~(税・サ込)
ウェブサイト|https://wataya.co.jp

天茶台 by 副島園
住所|佐賀県嬉野市嬉野町大字下野甲427
料金|1万5000円(お茶、菓子付)

副島園 the BAR
住所|佐賀県嬉野市嬉野町下宿乙738(和多屋別荘内)
営業時間|20:00~24:30(L.O.24:00)
定休日|火曜

text: Miyo Yoshinaga
2025年3月号「ニッポンのまちづくり最前線」

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