FOOD

【noma×日本料理】
ニッポンの海と懐石料理の文化を再発見
ノーマ京都のすべて③

2023.8.7
【noma×日本料理】<br>ニッポンの海と懐石料理の文化を再発見<br><small>ノーマ京都のすべて③</small>

レネ・レゼピさん率いるnoma(ノーマ)が京都でポップアップを開催。このニュースにどれだけ多くの人が沸き立ったことか。デンマーク・コペンハーゲンに拠点を置く精鋭集団が春の京都でどんな景色を見せてくれたのか。ある日のディナーを紹介しながらその詳細をお届けしたい。

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noma cuisine

八寸でnomaの洗礼を受けた後、「海藻のしゃぶしゃぶ」が目の前に。懐石料理の折敷に見立てたような盆には一人鍋がのり、横には海藻や野菜、小夏が。鍋の中のやや白濁したスープは、燻製したメカブから取った深みのある味わいで、小夏の酸味ともよく合う。酒は海藻からヒントを得て、海辺の町で醸造されるヨロッコビールが運ばれた。7品目の「タケノコとヤリイカの出汁」は、薄くスライスしたタケノコをうつわの窪みに沿わせ、春の京都を代表する素材の新境地を開く。タケノコの香りを立たせるために、トウモロコシを使う手法は和食でも見られるが、そこに麦麹オイルを塗り、ジャスミン茶とヤリイカでつくるスープをかけるところがnomaの引き出しの多さ。ペアリングは、メースさんが「世界のワインで見ても、これがベスト」と太鼓判を押す「BEAU PAYSAGE」を。
 
そして「メカジキと昆布」は、生のメカジキを昆布とバターでつくる旨みたっぷりのソースと一緒に味わうという提案。醤油系の塩味だけが、脂ののった魚の味を引き出すのではないと教えられる。

6品目 海藻のしゃぶしゃぶ
日本全国から集めた海藻と高知県の小夏、京都の野菜をそのままに。燻製したメカブから取った出汁と、シーベリーと海藻のオイルでつくった自家製ぽん酢を添えて

<料理>
海藻のしゃぶしゃぶ

<ペアリング>
ヨロッコビール/神奈川 鎌倉

しゃぶしゃぶをnoma流に解釈すると出汁が変わり、食材に柑橘類まで並ぶ。青のりがベースのタレはシーベリーなどで香りづけも。鍋料理のペアリングは、メースさん自身が飲みたい一杯としてライトな風味のビールをセレクト。

7品目 タケノコとヤリイカの出汁
若タケノコを燻製したとうもろこしと炊いて、薄くスライスした後、麦麹のオイルを塗る。最後に和歌山のヤリイカとジャスミン茶でつくったスープをかける

<料理>
タケノコとヤリイカの出汁

<ペアリング>
BEAU PAYSAGE/山梨 北杜

食感も楽しんでほしいと、タケノコをスライスする厚みにも工夫を施した。うつわのフォルムに沿うアーチなど盛り付けも美しい。日本ワインの第一人者「BEAU PAYSAGE」は、多様な銘柄がポップアップで使われた。

8品目 メカジキと昆布
宮城で捕れたメカジキの腹身に、昆布とバターを合わせて濃厚な旨みを引き出したソースをかける

<料理>
メカジキと昆布

脂ののったメカジキを濃厚なソースで味わう趣向。脂っぽさを醤油などで中和させるのではなく、脂には油をというような、これまでにない視点にテーブルの皆がザワつく。常に新しい味を模索しているnomaの姿勢を感じた。

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みんなでひとつを生む、nomaのつくり方。
 
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《ノーマ京都のすべて》
01|世界一のレストラン《noma/ノーマ》が京都にやってきた
02|【noma×日本料理】京都の野山を味わう“八寸”から
03|【noma×日本料理】ニッポンの海と懐石料理の文化を再発見
04|みんなでひとつを生む、nomaのつくり方。
05|世界一のレストランnomaのキーマンはヘッドR&Dシェフ・髙橋惇一さん
06|nomaが惚れた、ニッポンの食材
07|【noma×日本料理】限りなく無作為な自然をいただく。
08|【noma×日本料理】文化、食材への“探求”=nomaだ
09|最高の食事とサービスを提供するノーマ京都の舞台裏を公開
10|理想のうつわを求めて、宮崎・高千穂へ【前編】
11|理想のうつわを求めて、宮崎・高千穂へ【後編】
12|【noma×うつわ】うつわ選びへのこだわり
13|【noma×うつわ】noma×京都の料理を彩ったうつわ作家たち

text: Mayumi Furuichi
Discover Japan 2023年7月号「感性を刺激するホテル/ローカルが愛する沖縄」

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