【noma×日本料理】
限りなく無作為な自然をいただく。
ノーマ京都のすべて⑦
レネ・レゼピさん率いるnomaが京都でポップアップを開催。このニュースにどれだけ多くの人が沸き立ったことか。デンマーク・コペンハーゲンに拠点を置く精鋭集団が春の京都でどんな景色を見せてくれたのか。ある日のディナーを紹介しながらその詳細をお届けしたい。
noma cuisine
ワクワクが止まらない料理が8品も続き、次も期待で胸いっぱいの皆の前には、蓋付きのうつわの9品目が。美味しいだけではなく、楽しさも大切にするレネ・レゼピさんは「(蓋ものは)開けたときにガッカリさせてはいけない」と言う。「青大豆豆腐と生アーモンド」は、鮮やかなコントラストに思わず歓声が上がる。ヘッドソムリエのメースさんは、ワイルドな「久米桜酒造」の酒をこの料理に選んだ。10皿目は「キンキ」。切り身のサイズ感は懐石料理で焼物として供される魚と重なる。味噌床に漬けるのではなく、自家製エルダーフラワーとエンドウ豆の味噌でマリネすることで北欧風に。魚とくればワイン。「Domaine Mont」はこの料理だけでなく、11品目の「蓮根ステーキ」ともペアリングした。レンコンは和食に限らず、日本の食卓でよく見る食材だが、これをじっくり焼き上げステーキにする発想はnomaにしか思いつかないのではないだろうか。12品目の「山菜」はもはや絵画。レネさんが、一瞬で決めたメニューで、旨みも甘みもある「寺田本家」の酒が春の苦みと合う。
<料理>
青大豆豆腐と生アーモンド
<ペアリング>
久米桜酒造/鳥取 大山
うつわの左側に見える真っ白な料理は、サーブする直前に削った生アーモンド。どこか杏仁のような香りが鼻から抜ける。中央にある青大豆の豆腐には、マジョラムのオイルで香りづけ。ビビッドなナスタチウムの花が印象的。
<料理>
キンキ
<ペアリング>
Domaine Mont/北海道 余市
特製味噌に漬けてから焼いたキンキの表面には、燻製香を移した卵黄のソースを塗っている。素材の組み合わせや調理法だけで味をつくるのではなく、そこに必ず香りづけもするnomaの料理はさまざまなフレーバーと出合える。
<料理>
蓮根ステーキ
レンコンを、スパイスやトリュフなどのタレを塗りながらじっくり焼き上げた。素材のエッセンスが凝縮したような味に合わせたのはシジミのエキスを煮詰めたソース。ワインはピノグリ、ピノノワール、シャルドネなど。
<料理>
山菜
<ペアリング>
寺田本家/千葉 神崎町
その時期に採れる山菜を別々に調理してひと皿に。懐石料理の炊合せの発想に重なる。ソースは伊勢海老の味噌と甘海老ガラム、甘みのあるイノシシの脂でつくる。雪解けを待ち、大地に芽を出した瞬間を思い描きながら食したい。
読了ライン
文化、食材への“探求”=nomaだ
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03|【noma×日本料理】ニッポンの海と懐石料理の文化を再発見
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05|世界一のレストランnomaのキーマンはヘッドR&Dシェフ・髙橋惇一さん
06|nomaが惚れた、ニッポンの食材
07|【noma×日本料理】限りなく無作為な自然をいただく。
08|【noma×日本料理】文化、食材への“探求”=nomaだ
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10|理想のうつわを求めて、宮崎・高千穂へ【前編】
11|理想のうつわを求めて、宮崎・高千穂へ【後編】
12|【noma×うつわ】うつわ選びへのこだわり
13|【noma×うつわ】noma×京都の料理を彩ったうつわ作家たち
text: Mayumi Furuichi
Discover Japan 2023年7月号「感性を刺激するホテル/ローカルが愛する沖縄」