FOOD

【noma×日本料理】
限りなく無作為な自然をいただく。
ノーマ京都のすべて⑦

2023.8.8
【noma×日本料理】<br>限りなく無作為な自然をいただく。<br><small>ノーマ京都のすべて⑦</small>

レネ・レゼピさん率いるnomaが京都でポップアップを開催。このニュースにどれだけ多くの人が沸き立ったことか。デンマーク・コペンハーゲンに拠点を置く精鋭集団が春の京都でどんな景色を見せてくれたのか。ある日のディナーを紹介しながらその詳細をお届けしたい。

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noma cuisine

ワクワクが止まらない料理が8品も続き、次も期待で胸いっぱいの皆の前には、蓋付きのうつわの9品目が。美味しいだけではなく、楽しさも大切にするレネ・レゼピさんは「(蓋ものは)開けたときにガッカリさせてはいけない」と言う。「青大豆豆腐と生アーモンド」は、鮮やかなコントラストに思わず歓声が上がる。ヘッドソムリエのメースさんは、ワイルドな「久米桜酒造」の酒をこの料理に選んだ。10皿目は「キンキ」。切り身のサイズ感は懐石料理で焼物として供される魚と重なる。味噌床に漬けるのではなく、自家製エルダーフラワーとエンドウ豆の味噌でマリネすることで北欧風に。魚とくればワイン。「Domaine Mont」はこの料理だけでなく、11品目の「蓮根ステーキ」ともペアリングした。レンコンは和食に限らず、日本の食卓でよく見る食材だが、これをじっくり焼き上げステーキにする発想はnomaにしか思いつかないのではないだろうか。12品目の「山菜」はもはや絵画。レネさんが、一瞬で決めたメニューで、旨みも甘みもある「寺田本家」の酒が春の苦みと合う。

9品目 青大豆豆腐と生アーモンド
東京の青大豆でつくった豆腐をマジョラムのオイルで香りづけする。直前に、山形の生アーモンドを削って、ナスタチウムの花とマツから取った出汁をかける

<料理>
青大豆豆腐と生アーモンド

<ペアリング>
久米桜酒造/鳥取 大山

うつわの左側に見える真っ白な料理は、サーブする直前に削った生アーモンド。どこか杏仁のような香りが鼻から抜ける。中央にある青大豆の豆腐には、マジョラムのオイルで香りづけ。ビビッドなナスタチウムの花が印象的。

10品目 キンキ
北海道産のキンキを、自家製のエルダーフラワーとエンドウ豆の味噌でマリネして、じっくりと焼き上げる。仕上げに、燻製の香りをまとわせた卵黄のソースをかける

<料理>
キンキ

<ペアリング>
Domaine Mont/北海道 余市

特製味噌に漬けてから焼いたキンキの表面には、燻製香を移した卵黄のソースを塗っている。素材の組み合わせや調理法だけで味をつくるのではなく、そこに必ず香りづけもするnomaの料理はさまざまなフレーバーと出合える。

11品目 蓮根ステーキ
その時期に採れたレンコンを、自家製スパイス、キノコ、トリュフのタレを塗りながら焼き上げる。シジミのエキスを凝縮したソースを添えて

<料理>
蓮根ステーキ

レンコンを、スパイスやトリュフなどのタレを塗りながらじっくり焼き上げた。素材のエッセンスが凝縮したような味に合わせたのはシジミのエキスを煮詰めたソース。ワインはピノグリ、ピノノワール、シャルドネなど。

12品目 山菜
「蒸し」、「焼き」、「煮る」など、それぞれ別々の調理法でつくった山菜を並べる。伊勢海老の味噌と甘海老のガラムスパイス、イノシシの脂のソースをかける

<料理>
山菜

<ペアリング>
寺田本家/千葉 神崎町

その時期に採れる山菜を別々に調理してひと皿に。懐石料理の炊合せの発想に重なる。ソースは伊勢海老の味噌と甘海老ガラム、甘みのあるイノシシの脂でつくる。雪解けを待ち、大地に芽を出した瞬間を思い描きながら食したい。

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【noma×日本料理】
文化、食材への“探求”=nomaだ

 
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《ノーマ京都のすべて》
01|世界一のレストラン《noma/ノーマ》が京都にやってきた
02|【noma×日本料理】京都の野山を味わう“八寸”から
03|【noma×日本料理】ニッポンの海と懐石料理の文化を再発見
04|みんなでひとつを生む、nomaのつくり方。
05|世界一のレストランnomaのキーマンはヘッドR&Dシェフ・髙橋惇一さん
06|nomaが惚れた、ニッポンの食材
07|【noma×日本料理】限りなく無作為な自然をいただく。
08|【noma×日本料理】文化、食材への“探求”=nomaだ
09|最高の食事とサービスを提供するノーマ京都の舞台裏を公開
10|理想のうつわを求めて、宮崎・高千穂へ【前編】
11|理想のうつわを求めて、宮崎・高千穂へ【後編】
12|【noma×うつわ】うつわ選びへのこだわり
13|【noma×うつわ】noma×京都の料理を彩ったうつわ作家たち

text: Mayumi Furuichi
Discover Japan 2023年7月号「感性を刺激するホテル/ローカルが愛する沖縄」

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