日本人なら知っておきたい
神社を守る6種類の動物像
《参拝が楽しくなる基礎知識》
日本全国には8万を超える神社があるといわれ、その中にはキツネやサル、ウシといった動物の像を置いてある神社もある。宗教史研究家の渋谷申博さん監修のもと、知っておくと神社めぐりがさらに楽しくなる、「神社を守る6種類の動物像」についてご紹介。
なぜ神社には動物の像があるのか
神社の境内にはイヌやキツネ、ウシといった動物の像が置いてあることにお気づきだろうか。社殿の装飾を除き、こうした動物像は2種類に分けられる。ひとつは神社を守る警備役。狛犬などがこれにあたる。狛犬とは外国のイヌという意味で、正確には角があって口を閉じているものが狛犬、口を開いているものは獅子である。もう1種類は、神さまのお使いで「神使(しんし)」という。神さまによって動物の種類が違い、最も有名なのは稲荷神のキツネだ。
① キツネ
稲荷神の神使。稲荷神自身をキツネだと思っている人もいるが、これは間違い。神使のキツネは霊力があるとされ、宝蔵の鍵をくわえていたり、願い事をかなえる宝珠をもっていることもある
② サル
比叡山のふもとに鎮座している「日吉大社」とその分社である「日吉神社」や「日枝(ひえ)神社」などの神使。「神猿(まさる)」とも呼ばれ、「魔去る」、「勝る」に通じるとされている
③ ウシ
天神(菅原道真公)の神使。神使となった理由には、菅原道真公が丑年生まれで、丑の日に亡くなったからなど諸説ある。神使のウシの像をなでると、病気が治るといった信仰もある
④ シカ
奈良の「春日大社」や広島の「嚴島神社」、茨城の「鹿島神宮」などの神使とされる。シカは神と人をつなぐ霊獣と考えられ、シカの骨は占いに使われることもあった
⑤ ヘビ
神社境内のヘビ像は、神使像である場合と、ご祭神を表している場合がある。脱皮することから「不老長生の霊獣」とされ、財運をもたらすとも信じられた。中でも白いヘビは縁起がよいとされる
⑥ 龍
仏典にも登場する中国由来の架空の霊獣。中国で龍は皇帝の象徴とされ、高貴さを示すものともされた。水をつかさどるとされることから、神社を火災から守る意味で装飾に用いられることも多い
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