みんなでひとつを生む「noma」のつくり方。
ノーマ京都のすべて④

2023.8.8
みんなでひとつを生む「noma」のつくり方。<br><small>ノーマ京都のすべて④</small>

世界一とも評されるレストランnoma(ノーマ)が京都でポップアップを開催。このニュースにどれだけ多くの人が沸き立ったことか。デンマーク・コペンハーゲンに拠点を置く精鋭集団が春の京都でどんな景色を見せてくれたのか。ある日のディナーを紹介しながらその詳細をお届けしたい。

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noma creativity

nomaはなぜ何度も世界一に輝けるのか。誰もがそんな疑問を抱くだろう。優れた技術を有し、独創的な発想をする天才シェフはいつの時代も世界各地にいる。レネ・レゼピさんがその一人であることに違いはないが、彼をいまのポジションに押し上げたのは、その才能を彼一人の中にとどめておかなかったことにあるのかもしれない。彼は仲間と一緒にnomaをつくることに本気で取り組んできた。新しいメニューをつくる過程では、シェフたちに必ず意見を聞いている。その問い掛けはスタッフに自覚を促し、技術と発想力を育てるだろう。開発途中の料理を囲んで話す様子は、ディスカッションとレクチャーが共存しているような雰囲気。オーナーに対して自分たちの意見を言える自由さが、スタッフの目に輝きをもたらす。

常に同じクオリティを発揮するための仕組みづくりも確立されている。レネさんがOKした味を誰もが再現できるように、幾十にもわたるチェックリストがあるのだ。日本人としてはじめてヘッドR&Dシェフを務める髙橋惇一さんはこう話す。「塩ひとつまみと言っても、その量は人によって違う。感覚という曖昧なものを曖昧なままにせず、0.1g単位で明記しています」。リストにあるおびただしい数の項目は、昼夜のオープン前に必ずチェックする。それは何カ月もの予約待ちを経て訪れるお客のためであり、仲間のためでもある。レネさんの下で、スタッフ皆がやる気に満ちて働けるのは「現場が楽しいからだと思います」と髙橋さん。「レネは厳しいけれど、普段は皆と普通に会話をして食事にも行きます。それがいい関係をつくっていると思います」

前列左から2人目がオーナーシェフのレネ・レゼピさん。その左隣がヘッドR&Dシェフの髙橋惇一さんだ。普段から仲間同士で交流し、それぞれが成長することでいいチームに

今回のポップアップでは、コペンハーゲンのスタッフ全員とその家族を引き連れてやって来た。コアのメンバーだけでなく、サービスからクリーニングスタッフまで、全員を連れてくるところにも、仲間を信頼し、チームワークを大切にするレネさんの考え方がうかがえる。シェフでなくとも自分もnomaの大事な一員だという誇りは、おそらくスタッフ全員に浸透しているだろう。それを実感したのは接客。彼らはnomaの仕事もメニューも、自分の言葉で生き生きと説明していた。

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世界一のレストランのキーマンは、
唯一の日本人ヘッドR&Dシェフ・髙橋惇一さんだった!

 
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《ノーマ京都のすべて》
01|世界一のレストラン《noma/ノーマ》が京都にやってきた
02|【noma×日本料理】京都の野山を味わう“八寸”から
03|【noma×日本料理】ニッポンの海と懐石料理の文化を再発見
04|みんなでひとつを生む、nomaのつくり方。
05|世界一のレストランnomaのキーマンはヘッドR&Dシェフ・髙橋惇一さん
06|nomaが惚れた、ニッポンの食材
07|【noma×日本料理】限りなく無作為な自然をいただく。
08|【noma×日本料理】文化、食材への“探求”=nomaだ
09|最高の食事とサービスを提供するノーマ京都の舞台裏を公開
10|理想のうつわを求めて、宮崎・高千穂へ【前編】
11|理想のうつわを求めて、宮崎・高千穂へ【後編】
12|【noma×うつわ】うつわ選びへのこだわり
13|【noma×うつわ】noma×京都の料理を彩ったうつわ作家たち

text: Mayumi Furuichi
Discover Japan 2023年7月号「感性を刺激するホテル/ローカルが愛する沖縄」

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