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山田遊さんと島根県 出雲〜松江でうつわをめぐる冒険
民藝に会いに行く。vol.2

2020.8.28
山田遊さんと島根県 出雲〜松江でうつわをめぐる冒険<br><small>民藝に会いに行く。vol.2</small>
出雲民藝館

旅先では、土地で育まれた民藝品をお土産にしたいもの。民藝に造詣の深い方々に、注目の民藝品と私的コースを伺った。今回はバイヤーでキュレーターの山田遊さんと、“民藝の聖地”といえる島根県で民藝運動の意思を継いだ窯元が点在し、用の美を体現するうつわ巡りをしました。

山田遊(やまだ・ゆう)
IDÉE SHOPのバイヤーを経て、2007年にmethodを設立。バイヤーとして活動をはじめる。著書に『デザインとセンスで売れる ショップ成功のメソッド』など。「飛驒高山ものづくり実践塾」で講師を務める

昭和初期、柳宗悦や河井寬次郎、バーナード・リーチなど、民藝運動の担い手は島根県を訪れ、この地の陶工に多大な影響を与えてきた。彼らの教えは現在の窯元にも脈々と受け継がれ、民藝の精神がいまも根づいている。
 そのひとつが1947年、5人の若者によって創設された出西窯(P150)だ。出西窯は前述した三者から指導を受け、柳宗悦が提唱した「用の美」が息づくうつわをつくり続けている。

「出西窯は民藝の世界において重要な窯元のひとつ。モーニングカップを愛用しているのですが、ハンドルのつくりが機能的なんですよ。このカップはバーナード・リーチから取っ手付けの指導を受けたものだそうで、さすがだなと。また展示販売館に隣接する工房や登り窯を、定休日以外は常時見学できるのもうれしいですね」
 清少納言が名湯とたたえた玉造温泉の近くにある湯町窯も、民藝運動に共感した窯元。現代の暮らしに合う民藝の在り方を独自の解釈で模索し、温かくモダンな風合いのうつわを提案している。

「スリップウェアのような特徴的なテイストがすてきだなと思います。湯町窯にはどこかほっとする素朴さがあるんですね。島根県の民藝は実に豊かで、出雲民藝館を訪れると、それがよりいっそう感じられる。僕は特に西館の一番奥で展示されている、出雲大津焼の火鉢が好きなんです。出雲大津焼は時代の変遷とともに失われてしまったのですが、真っ黒く艶やかな佇まいがカッコいいんですよ」

島根県には窯元が多いため、うつわをめぐる旅が楽しめる。objectsやYUTTEを訪ねれば、店主選りすぐりのさまざまな窯元のうつわに出合えるだろう。
「objectsはうつわや生活道具を扱っているのですが、セレクトがいいんですよね。山野孝弘さんの藤吉瓶敷を購入したのもここ。モダンな仕上がりがとても気に入っています。店主の佐々木創さんは出雲民藝館の売店の監修も手掛けているので、こちらもぜひのぞいてみてください。YUTTEは島根でつくられた民藝品と食品のギフトショップ。中身を選び、それに合う箱をつくってくれるオーダーメイドギフトが基本で、まとまった数の贈り物に最適なんですよ(10個から受け付け。10個未満でも相談可)。 地元のいいものだけを扱っているので、すごくおすすめです」
“次回はこの窯元を訪ねてみよう”という次の旅のプランが、続々とわいてくるはずだ。

湯町窯の「角皿」

黄釉
海鼠釉

スリップウェアの手法は先代の福間貴士さんがバーナード・リーチから指導を受けたという。地元産出の粘土と釉薬を使用しており、深い色合いと温かみのあるフォルムが特徴だ。

湯町窯
価格|黄釉1万1000円、海鼠釉6600円
サイズ|黄釉約H35×W250×D170㎜、海鼠釉約H35×W195×D170㎜

出西窯の「モーニングカップ 呉須」

取っ手に付いた指置きにより、大きめのカップを安定してもつことができる。“出西ブルー”と呼ばれる呉須釉の色彩の濃淡や形状は一点一点微妙に異なり、美しい味わいを醸している。

出西窯
価格|2750円
サイズ|約φ90(取っ手を含まない)×H830㎜

島根県の「うつわと食のギフトセット」

袖師窯のそば猪口、本田商店の出雲福そば、森田醤油店のそばつゆ

袖師窯は1877年に創業した松江市にある窯元。3代目の尾野敏郎さんは民藝運動推進メンバーから学び、4代目、5代目へ技術を継承。地元産の原料にこだわり、日常に寄り添ううつわを生み出す。島根県産の蕎麦と蕎麦つゆとともに味わえる特別なギフトボックス。

YUTTE
価格|5764円
サイズ|蕎麦猪口(鉄十草)φ85×H65㎜、蕎麦猪口(呉須横縞)φ85×H65㎜、蕎麦180g、蕎麦つゆ250㎖

山野孝弘さんの「藤吉瓶敷」

出雲民藝紙の紙漉き職人である山野さんは松江藩籐細工の長崎誠さんに師事し、後継者不足に悩む土瓶の蔓や瓶敷の製作技術を習得。瓶敷は年月とともにつやのある飴色に変化する。壁に掛けて飾っておくだけで映える。

objects
価格|4寸6600円
サイズ|φ140㎜

1泊2日のおすすめルートを紹介!

1日目
出雲縁結び空港
↓ 車 32 min.
出雲大社や門前を観光
↓ 車 19 min.
出雲民藝館
↓ 車 39 min.
湯町窯
↓ 車 39 min.
ツバメヤ
↓ 車 42 min.
玉造温泉界隈に宿泊

2日目
玉造温泉から松江に移動
↓ 車 17 min.
松江城を観光
↓ 車 6 min.
objects
↓ 車 6 min.
YUTTE
↓ 車 29 min.
出西窯

出雲民藝館
陶磁器、漆器、木工品、染織など、島根県を中心に全国から集められた品々を展示している。
住所|島根県出雲市知井宮町628
Tel|0853-22-6397
営業時間|10:00〜17:00(16:30までに入館)
定休日|火曜(祝日の場合は翌日休)、年末年始
入場料|一般800円、大高生500円、中小生300円、幼児以下無料

湯町窯
江戸時代より続く布志名焼の窯元で、1922年に創業。現在は3代目の福間琇士さんと4代目の庸介さんが、日々作陶に励んでいる。
住所|島根県松江市玉湯町湯町965-1
Tel|0852-62-0726
営業時間|8:00〜17:00、土・日曜、祝日9:00〜17:00
定休日|不定休

ツバメヤ
「美味しい食事と日本酒が味わえて大好き」と山田さんも太鼓判を押す人気店。旬の食材を使った料理がカジュアルに楽しめる。
住所|島根県出雲市今市町651
Tel|0853-20-1230
営業時間|15:00〜22:00(L.O.21:30)
定休日|不定休

objects
大橋川沿いにある石造りの建物に店を構える。うつわ、木工、織物など、全国各地のつくり手による生活道具が端正に並べられている。
住所|島根県松江市東本町2-8
Tel|0852-67-2547
営業時間|11:00〜19:00
定休日|不定休

YUTTE
メイド・イン・島根の民藝品と食品をセットにした贈り物を提案。箱には品物の産地やつくり手を紹介するカードが同梱される。
住所|島根県松江市天神町17-1 田中殖産ビル1-A
Tel|0852-67-5492
営業時間|11:00〜19:00
定休日|火・水曜

出西窯(展示販売場「くらしの陶・無自性館」)
陶土、釉薬、窯焚きに使う薪まで地元産を使用。隣接するベーカリーカフェ「ル コションドール 出西」や「Bshop 出西店」も必見だ。
住所|島根県出雲市斐川町出西3368
Tel|0853-72-0239
営業日|9:30〜18:00
定休日|火曜(祝日をの場合は営業)

text: Nao Ohmori photo: Norihito Suzuki map: Alto Dcraft
2020年7・8月号 特集「この夏、どこ行く?ニッポンの旅計画108」


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《民藝に会いに行く。》
1|山田遊さんと岐阜県 飛騨高山で自由な民藝に出合う。
2|山田遊さんと島根県 出雲〜松江でうつわをめぐる冒険
3|ビームス「フェニカ」ディレクターが日本の最高の手仕事が息づく栃木県 益子へ
4|鞍田崇さんと民具、民藝の”中間”を求める旅
5|工藝風向 高木崇雄さんと九州筑後川流域へ進化する民藝と出合う。
6|お菓子研究家 福田里香さんが推薦「かわ善い民藝」

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