“万博”がルーツだった!?
ファミレスや携帯電話…あの便利なものまで
後編|日本の万博から生まれたもの

電話や洗濯機など、人々の生活を飛躍的に便利にした発明品は、万博で注目を集め、普及していったものも多い。いまではすっかりお馴染みになっているあの技術も実はそうだった!?
“日本の万博”から普及した技術やアイデア
日本で開かれた万博でも、数々の新技術が発表されてきた。日本ではじめて開催された1970年の日本万国博覧会(大阪万博)では、「ワイヤレステレホン」のほか、「人間洗濯機」も話題に。この技術が介護用の浴槽や眼鏡洗浄機にも応用されたという。
またアメリカ館などに使われた「エアドーム(膜構造建築物)」は、後に東京ドームなどに採用された。1985年の国際科学技術博覧会(つくば科学万博)では、世界初の「IMAX3D」作品が上映された富士通パビリオンが話題に。2005年の日本国際博覧会(愛・地球博)ではIT技術が主役を演じると同時に、廃棄物燃料を使ったエネルギーシステムなど、持続可能な未来のための技術も導入された。
《電気自動車》
1970年 大阪万博

環境問題への取り組みとして1965年から他社に先駆けてEV開発をはじめていた「ダイハツ工業」。1970年、大阪万博の際には会場内タクシーや輸送車として275台の電気自動車(EV)を納入。1965年発売の「ハイゼットバン」をベースに、鉛の電池を動力とした、最高時速15㎞の車だった。
《ワイヤレステレホン》
1970年 大阪万博

1970年の大阪万博で人気だった、日本電信電話公社(現NTT)の電気通信館。ここで展示されたのが重さ約700gのワイヤレステレホンだ。会場内約100カ所のブースで人々が相互通話や市外通話を体験。ここでの通話の様子がモニターされ、後のPHSや携帯電話の開発に生かされた。

《ファミリーレストラン・回転寿司》
1970年 大阪万博

福岡に本社を構えるロイヤルHDは、大阪万博のアメリカゾーンで4店舗を運営。「セントラルキッチン」がその運営を支え、各国レストランで売上1位を記録。ロイヤルグループの全国展開への礎となった。また、大阪で誕生した「廻る元禄寿司」も出展し、「回転寿司」の知名度を高めた。

《ICチップ入り入場券》
2005年 愛・地球博

国際博覧会史上初の試みとして入場券システムに「ICチップ」を導入。入場券に固有のIDを付与し、機器にかざすとIDの確認が可能に。高度な偽造防止や券種の識別を実現した。またパビリオンや催事の予約など来場者への多彩なサービスもできるように。
《ドライミスト》
2005年 愛・地球博

霧状の水を空中に散布して気温を下げる「ドライミスト」。水の粒子が気化して周囲の熱を奪い気温を下げる仕組みで、水の粒子が直径0.016㎜と微細なため、触れても濡れた感じがしない。エネルギー消費量もクーラーの1/20で済むため、全国に普及が進んだ。
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text: Miyo Yoshinaga
2025年4月号「ローカルの最先端へ。」