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《国立科学博物館》
国内唯一国立の総合科学博物館【後編】

2022.10.20
《国立科学博物館》<br><small>国内唯一国立の総合科学博物館【後編】</small>
【八幡さん確認お願いします】格納されていた画像の傾きが気になったので、調整しています。問題ないかご確認ください。

国立科学博物館は、約2万5000点の標本を展示する日本最大級の博物館だ。恐竜の化石から動物の剥製、日本列島の歴史、最先端テクノロジーまで、遊び心も取り入れたワクワクさせる展示で、自然史と科学技術史を探究できる。

今回は、日本列島の成り立ちや動植物の進化、科学技術発展の背景などを、多種多様な標本や資料、模型とともにたどることができる「日本館」を紹介。

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恐竜からナウマンゾウまで。日本列島誕生
3階北翼の展示室には、フタバスズキリュウの化石が。「日本列島の生い立ち」がテーマで、日本列島誕生前から氷期と間氷期までの様子を、化石を読み解くかたちで解説。ナウマンゾウの頭骨もある

日本人はどこからきたの?
約4万年前、日本人の祖先は東アジアの辺境で日本列島を見つけ、ここに住み着いたという。2階北翼の展示室「日本人と自然」では、港川人、縄文人、弥生人、中世人、近世人と、日本列島で暮らした人々の様子を紹介している

日本列島がある自然環境って?
3階南翼では日本に落下した隕石をはじめ、日本最大級の鉱物コレクション(櫻井コレクション)を展示。鉱物は地球誕生から現在まで、元素がどのように挙動してきたのかを知る上で、重要な資料となっている

日本人の自然観測の技を知る
「自然をみる技」がテーマの1階南翼の展示室には、1880年にイギリスから導入された観測用天体望遠鏡「トロートン天体望遠鏡」が展示されている。長年、天体観測と天文教育に用いられ、国の重要文化財に指定されている

博物館の建築も見逃せない
日本館は文部省大臣官房建築課の設計により1931年に竣工。クラシカルな建物の中央は吹き抜けで、ドーム型の天井をもつホールとなっている。ステンドグラスや精巧な彫刻など、随所に華麗な意匠が施されている

日本列島の自然と生き物の進化をたどる

関東大震災の復興事業として、1931年に建てられた日本館は、ネオルネサンス様式の重厚な建物。実は上から見ると当時の科学技術の最先端であった飛行機のかたちをしているのだ。日本館では「日本列島の自然と私たち」をテーマに掲げ、日本に暮らす生き物の進化、日本人の形成過程、自然とのかかわりを、化石、鉱物、剥製、古人骨などの自然史標本や歴史資料を通して紹介。3階南翼から順に時代の流れを追う、ストーリー性のある構成となっている。

日本列島の生い立ちを探る3階北翼の目玉は、首長竜「フタバスズキリュウ」の化石であろう。実は映画『ドラえもん のび太の恐竜』に登場する「ピー助」のモデルにもなった化石なのだ。これは日本で最良の爬虫類化石ともいわれ、躍動感ある約6.5mの全身骨格はいまにも動き出しそうだ。また、南翼では地質や自然環境など多様な視点から日本列島の素顔が探究されていて、鑑賞者の好奇心をかき立てる。

2階では日本人とともに暮らす生き物が、どのように独自性の高い発展を遂げてきたのか、標本や模型などとともに紹介。縄文人、弥生人からの日本人の変遷の展示がユニーク。江戸時代に埋葬されたミイラも展示されている。「忠犬ハチ公」こと秋田犬「ハチ」や南極観測隊に同行したカラフト犬「ジロ」の剥製も展示されている。

1階では天体や地震、時間、顕微鏡で見る微小な世界といった、自然を観測する科学技術の足跡をたどっていく。当時の文献や道具、装置などは、現代の産業の基盤となったものもあり、生活のなかで育まれた日本人のものづくりに対する独創性と鋭い観察眼が浮かび上がってくるようだ。

日本列島の成立から現在に至るまでの過程を知ることで、よりいっそう未来への興味がわいてくる。それは「人類と自然の共存を目指して」という国立科学博物館の思いを、自分ごととしてとらえる契機にもなるはずだ。

<こちらもCHECK!>

全球型映像施設「シアター36○」
360度全方位に映像が映し出され、その場にいるような独特の浮遊感やスピード感を味わえる展示

ユニークな特別展も楽しみ
年に数回、特別展や企画展などを開催。現在開催中の特別展「化石ハンター展」は、探検家ロイ・チャップマン・アンドリュースの中央アジア探検100周年を記念し、ゴビ砂漠で発見した数々の標本資料を紹介していく

<今後の特別展の予定>
特別展「化石ハンター展」 
開催中〜10月10日

特別展「毒」(仮) 
11月1日〜2023年2月19日

大人向けワークショップも開催
国立科学博物館では子どもから大人まで参加できる、多彩な学習支援活動を展開。研究者によるディスカバリートークや物理授業、大学生や大人を対象とした自然史や科学技術史のセミナーなどはほんの一例だ。詳細はHPで要確認

レストランのメニューも科博的
地球館中2階にあるレストラン「ムーセイオン」では、「ジュラ紀ハンバーグプレート」(1280円)など、博物館にちなんだメニューが多数揃う。上野の名店、上野精養軒運営のため、美味しさは保証済み

レストラン・ムーセイオン
Tel|03-3827-2080 
営業時間|10:30〜17:00(L.O.16:30)
定休日|国立科学博物館休館日に準ずる

国立科学博物館
住所|東京都台東区上野公園7-20
Tel|050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間|9:00〜17:00(入館は閉館の30分前まで)
※オンラインによる事前予約制
休館日|月曜(祝日の場合は翌日休)
※特別展により休館日変更の場合あり
料金|630円 
施設|レストラン、ショップ

つくばと白金台にも見学・体験施設あります
筑波実験植物園では約3000種の植物が展示され、植物の多様性が体験できる。附属自然教育園は天然記念物及び史跡に指定された文化財で、生態系の仕組みが学べる

筑波実験植物園
住所|茨城県つくば市天久保4-1-1
Tel|029-851-5159(代表)
開園時間|9:00〜16:30(入園は閉園の30分前まで)
※展示内容によって変動あり 
休園日|月曜(祝日の場合開園) 
料金|320円

国立科学博物館 附属自然教育園
住所|東京都港区白金台5-21-5
Tel|03-3441-7176(代表)
開園時間|9:00〜17:00、9〜4月〜16:30(入園は閉園の30分前まで) 
休園日|月曜(祝日の場合は翌日休) 
※臨時休館日あり 
料金|320円

 

  
 

text: Nao Ohmori photo: Shinsuke Matsukawa
Discover Japan 2022年9月号「ワクワクさせるミュージアム!/完全保存版ミュージアムガイド55」

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