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京都「チームラボ 東寺 光の祭」
世界遺産を彩る光のアートとは?

2021.8.7
<small>京都「チームラボ 東寺 光の祭」</small><br>世界遺産を彩る光のアートとは?

創建からおよそ1200年の歴史をもつ、京都府京都市にある世界遺産・東寺。平安京の遺構である東寺を光のアートで彩る、「チームラボ 東寺 光の祭 – TOKIO インカラミ」が、2021年8月6日(金)から9月19日(日)まで開催されている。歴史的な空間とテクノロジーを掛け合わせた作品の一部をご紹介!

歴史的建造物×デジタルアートで
過去と現在が交差する

京都府京都市にある東寺は、794(延暦13)年の平安京造営に際して、796(延暦15)年に国家鎮護のため羅城門の東に創建。その後、唐で新しい仏教や密教を学んで帰国した弘法大師空海によって、真言密教の根本道場となったことから、日本で最初に密教寺院が誕生したと言われている真言宗の総本山だ。大日如来を中心に国宝の五大明王など21体の仏像を安置した立体曼荼羅、弘法大師像をはじめとした数多くの国宝を有することでも知られている。中でも五重塔は木造塔として日本一の高さを誇り、東寺のみならず京都のシンボルとして親しまれている。

現存する唯一の平安京の遺構であるこの場所が、この夏、デジタルテクノロジーによるアートで新たな表情を見せる。

最先端テクノロジーを活用したクリエイティブを手掛けるアート集団、チームラボ。彼らは、大自然にデジタルアートを施した佐賀・御船山楽園「チームラボ かみさまがすまう森」や、明治・昭和初期に建てられた旧醤油蔵を活用した展示など、さまざまな場所をアート空間に変えてきた。今回は彼らが手掛ける、非物質的であるデジタルテクノロジーによって、建造物や場を物理的には一切変えずに場をそのままアートにする「Digitized City」というプロジェクトの一環として、東寺の空間を光のアート空間に変えていく。

人によって移ろい変わる
水面に浮遊する光

ムラーノ・ガラス(ベネチアン・グラス)で制作されたランプシェードを使った「瓢箪池に浮遊する呼応するランプ」

境内の東側に位置する瓢箪池。国宝・五重塔を望むこの池の水面に浮かぶランプは、それぞれに自律し浮遊している。ランプは、人が近くを通ったり風に吹かれて傾くと、強く輝き音色を響かせる。ランプの光は隣のランプに次々と伝播し、音色を響かせながら連続していく。その光は、すべてのランプを一度だけ強く輝かせる。そして、周辺の木々や作品に呼応し連続していく。輝きによって同じ空間にいるほかの人間の存在も感じられる。風が吹かず人間が近くにいないときは、ランプはゆっくりと明滅をはじめる。

講堂に投影される花々の誕生と死

「講堂に咲く増殖する無量の生命」

823(弘仁14)年、弘法大師空海が国立の寺院だった東寺を託され、密教という教えを伝えるべく、その中心的な建物として位置づけたのがこの講堂。建物の中心が寺域の中心になるように設計され、密教の中心的建物として建てられた。1486(文明18)年に金堂、南大門などとともに焼失。金堂が桃山時代、南大門が江戸時代に入ってからようやく再建されたのに対して、講堂は焼失から5年後、最優先で再建された。

そんな講堂が舞台となる本作品は、建物に映し出された花々が、誕生と死を繰り返しながら増殖。増殖しすぎると一斉に散って死んでいく。また、人間が花々に近づくと、花々は散って死んでいく。

金堂に書かれていくダイナミックな"書"

「金堂の反転無分別」

平安遷都とともに建立された東寺の本堂である金堂。東寺が創建された796(延暦15)年、金堂は最初に工事が始められた。以後、600年以上、都の正面でその姿を残し続けたが、1486(文明18)年に講堂とともに焼失。現在の建物は1603(慶長8)年に再建され、宋の様式を取り入れた天竺様と和様を合わせた桃山時代(16世紀後半)の代表的な建物となった。

本作品は金堂に「空書」が書かれていく。「空書」とは、空間に書く書であり、書の墨跡が持つ深さや速さ、力の強さを、新たな解釈で立体的に描き出し、チームラボの「超主観空間」の論理構造によって二次元化したものだ。書は平面と立体との間を行き来する。

「空書」は、作品空間の中をすべて同一方向に回転しているが、「超主観空間」の特性として、視覚的には左回転も右回転も論理的に同等となる。そのため意識によって、書は、左回りにも右回りにもなる。

生命の揺らぎを感じさせる森

「自立しつつも呼応する生命の森」

境内の木々の中に突如として現れる光のovoid(卵形体)。高密度に立ち続ける光はそれぞれ自律し、人にかき分けられたり、風に吹かれて倒れると、立ち上がりながら光の色を変え、色特有の音色を響かせる。周辺のovoidにも次々に呼応し、同じ色に変化し音色を響かせながら、連続していく。ovoidの奥から光が押し寄せてくると、向こうに人がいることを意味する。同じ空間にいる他者の存在を普段よりも意識するだろう。

八島社と五重塔の間に広がる線の集合体

「具象と抽象 - 八島社と五重塔の狭間」

東寺が建立される前から鎮座している八島社と五重塔の狭間にある本作品。人が作品の中に入り止まってしばらくすると、新たな線の集合が生まれて広がっていく。その線の集合によって、木々は平面の層へと変わる。作品は、コンピュータプログラムによってリアルタイムで描かれ続け、全体として以前の状態が複製されることなく、人々のふるまいの影響を受けながら、永遠に変化し続ける。いまこの瞬間の絵は二度と見ることができない。

ゆっくりと呼吸するかのように光が木々を照らし明滅する「呼応する木々」
立ち続ける光のovoid(卵形体)と、木々が光り輝く「自立しつつも呼応する生命と呼応する木々」
人が叩いたり風が吹くと色を変え、色特有の音色を響かせる光の球体が並ぶ「浮遊する、呼応する球体」

1200年の歴史をもつ東寺と最先端のアートを掛け合わせた本イベント。平安京に想いを馳せながら、人と光と音が連なる幻想的なアートを楽しんでみてはいかがだろうか。

チームラボ 東寺 光の祭 -TOKIO インカラミ
会期|2021年8月6日(金)~2021年9月19日(日)
会場|真言宗総本山 東寺(教王護国寺)
住所|京都府京都市南区九条町1 ※大宮通沿い「慶賀門」北側より入場ください
時間|ウェブサイトにて確認ください
休館日|8月20日(金)・21日(土)、9月5日(日)
料金|一般平日1600円・土日祝2200円、小中生平日600円・土日祝800円
問|チームラボ 東寺 光の祭 事務局
Tel|0570‐200‐883(平日・土曜11:00~16:00)
https://www.teamlab.art/jp/e/toji/
※日付指定入場券
※本展覧会では金堂・講堂の中には入れません
※8月13日~16日は土日祝料金

text=Discover Japan


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