《若狭湾》
日本列島のくびれが
若狭を御食国にしました
|ニッポンの魚が美味しい理由
ニッポンの魚が美味しい理由は「プレート」にあり!? 日本の地形と和食の関係を探る、マグマ学の世界的権威の巽 好幸さんに、日本の魚が美味しい秘密を教えてもらった。今回は、日本列島のくびれによって御食国となった若狭にある若狭湾をご紹介。
鯖やグジが有名な若狭湾
古代、若狭国は「御食国」のひとつとして若狭湾で捕れる海産物で都の食を支えた。また京都へ通じる街道群は、若狭湾の鯖が運ばれたことから近年になって「鯖街道」と呼ばれている。
多彩な魚が捕れる若狭湾だが、特に有名なのが鯖やグジ(アカアマダイ)。若狭湾には背後の山から栄養分が流れ込み、魚の餌となるプランクトンが豊富な上、山からの土砂がつくった礫質土の海底はグジの産卵にも適している。
若狭湾の地形はどうなってる?
そんな若狭湾だが、湾は内陸に入り込んだかたちで、リアス海岸が発達している。これは地盤の沈降によるもの。三方五湖も沈降によってリアス海岸の内湾の一部が湖になったとされている。
この若狭湾から南東の琵琶湖、伊勢湾にかけて、本州はくびれたかたちになっている。この地帯が周囲に比べて地盤が沈み、低地になっているからだ。
この沈降帯が形成されはじめたのは約400万~300万年前。この地域の地下に沈み込むフィリピン海プレートの角度が浅いため、マントル物質が削り取られ続けて沈降が起こったと考えられている。
そしてプレートの状態が変わらない限り、この沈降は続き、やがて本州はここで分裂してしまう可能性が高いという!その進行は100万年以上かかるそうなので心配は無用だが、日本列島の地殻変動のスケールの壮大さに圧倒されてしまう。
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text: Miyo Yoshinaga photo: Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries “Uchino Kyodoryori
Discover Japan 2024年12月号「米と魚」