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落ち着いた香りと米の濃厚な旨味感じる
常山酒造「常山 純米吟醸 ひやおろし」

2020.9.13
<small>落ち着いた香りと米の濃厚な旨味感じる</small><br>常山酒造「常山 純米吟醸 ひやおろし」

酷暑が続きますが暦の上では秋。日本酒には、季節によってそれぞれの楽しみ方があり、秋の到来を告げる「ひやおろし」という旬の酒がある。そこで、いち早くニッポンの秋を満喫するために、「ひやおろし」を紹介。秋の味覚とともにお愉しみください。

そもそもひやおろしとは?

秋の足音が近づくと、酒蔵がこぞって発売するのが「ひやおろし」という日本酒だ。ひやおろしとは、冬に仕込んだ酒に火入れという保存性を高める加熱殺菌を施し、そのまま秋まで熟成させて冷や(常温)のままタンクからおろして瓶詰めされた酒のことである。通常、火入れは酒を搾った後と、瓶詰め前あるいは瓶詰め後の二度行うが、ひやおろしは最初の一度だけに限定するため、「生詰め」に分類される。(最後だけ火入れをした酒は生貯蔵酒と呼ぶ)

しかし近年は、酒蔵の設備が向上したために、火入れをした後に常温ではなく冷蔵庫で熟成するなど、前述のひやおろしの定義に当てはまらない酒も多く、それぞれの酒蔵が考える秋の酒を、ひとくくりにしてひやおろし、あるいは「秋あがり」と名づけることが一般的になっている。また、ここ数年はファッションを先取りするように、まだ暑さ厳しい8月辺りからひやおろしを発売する蔵もあり、秋を象徴する日本酒として各蔵の商戦が目立ってきている。

いずれにせよ、ひやおろしは、しぼりたての酒をじっくり熟成させるので新酒に比べると円熟味があり、まろやかで落ち着いた味わいなのが特徴。どちらかというと常温や燗に向くような酒質が多く、秋刀魚やキノコなどを使った料理など秋の味覚とすばらしく合う。秋の夜長に、ゆっくりちびちびと飲むことをおすすめしたい。

福井・福井
常山(とこやま)酒造「常山 純米吟醸 ひやおろし」

日本海と越前の緑豊かな山々に囲まれた常山酒造。ミネラルが豊富な白山水系の良質な水に恵まれる酒蔵がある土地は、全国でも有数の米処であり、酒造りに適した場所にある。福井の三國湊で藩の御用人として綿屋の名で商いを営み、福井藩公認の両替商の名家を経て、江戸末期に「常祝(じょうしゅく)」という銘柄で醸造を開始したのがこの酒の起源である。その後、銘柄を「常山(じょうざん)」に改め、現在は8代目が伝統を受け継ぎ、酒を造り続けている。

現蔵元が掲げている“淡麗旨口(越前辛口)”をモットーに造られる酒の中でも、秋の食中酒として定評があるひやおろしは、地元の酒米を複数使い地元の酵母で醸した酒である。時間をかけて寝かせているだけあり、ボリューム感がある豊かな旨みが特徴。後口が軽くなるシャープなきれ味も絶妙に共存し、複雑な味わいが楽しめる一本だ。ふくよかな味わいが燗をすることでより豊潤になり、飲むごとに味わいが花開いていく。魚介類や野菜、肉料理など、幅広い食材と合わせることができる懐の深さがあり、日々の晩酌にもおすすめしたい。

価格|1870円(720㎖)
原料米|麹米/福井県産山田錦、掛米/福井県産五百万石
精米歩合|麹米50%、掛米60%
日本酒度|+4
酸度|1.5
アルコール度|16度以上17度未満
 

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text: Kiyoko Yamauchi photo: Kazuya Hayashi
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