とやまの「ブリ」
たっぷり脂がのった最高級魚
|冬の美食を求めて ぐるりとめぐる富山湾の旅
春夏秋冬、いつ訪れても新鮮な魚介が楽しめる富山湾。中でも「冬のブリ」はたっぷりと脂がのり格別だ。富山の食文化が詰まった魚・ブリの魅力と現地で食べられる代表的な料理をお伝えする。
雷鳴とともにやってくる
たっぷりと脂がのった最高級魚
毎年、荒れ狂う冬の日本海に「ブリ起こし」と呼ばれる雷鳴が轟くと、北陸のブリのシーズンがやってくる。ブリは暖かい九州西部の海で生まれ、春から夏に対馬海流に乗り日本海を北上、北海道周辺の豊富なエサを食べながら夏から秋を過ごす。
そして、海水温度が低くなる晩秋から冬にかけて、再び南下。この旅の途中、「天然の生けす」である富山湾に入り込んだブリたちは、長旅によって身が引き締まり、さらに富山湾の良質な小魚をエサにすることで、脂がたっぷりとのる。これが最高級の富山のブリとして水揚げされるのだ。
富山のブリの美味しさの秘密は、沿岸から定置網までの距離が近いこと。そのため朝に水揚げされたブリをその日のうちに食べられる。鮮度抜群のブリは、刺身、ブリしゃぶ、焼き物、ブリ大根、アラ炊き、酒盗と余すことなく料理される。
「ブリは富山の食文化が詰まった魚」
とやまの代表的なブリ料理
〈教えてくれた方〉
割烹 秀月
水口秀治さん
「割烹 秀月」の水口秀治さんは県内の料理店で修業した後、生まれ故郷の氷見市で開業。40年以上にわたって、ブリをはじめ富山の魚介と向き合い続けている。「富山の食文化を守りたい」との想いから、認定「とやま 食の匠」講師や富山県料理研究会の常務理事も担当。
ブリしゃぶ
腹と背の脂ののった切り身を湯にさっとくぐらせ、半生の美味しさを味わうブリのしゃぶしゃぶ。薄切りだからこそ、鮮度のよさと脂の旨みがしっかりと感じられる一品だ。
ブリ大根
ブリの頭とアラを薄塩で締めた後に、湯通しして生臭みをとり、大根と炊き合わせるブリ大根は、ブリ料理の定番。富山の天然ブリは新鮮で臭みがないので味噌味もおすすめ。
ブリ刺身
長い海の旅の途中でエサを体に蓄え、たっぷりと脂がのったブリの刺身。引き締まった厚みのある身は弾力のある歯応えで、脂と旨みのハーモニーが口いっぱいに広がる。
肉厚な身の甘みと濃厚なミソ
「ベニズワイガニ」
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text:Tomoko Honma(Let It Be) photo:Shinpei Fukazawa illustration:Romi Watanabe
2022年2月号「美味しい魚の基本」