《コラム》日本列島の成り立ち
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日本列島は、元は大陸の一部だったことをご存じだろうか?弓形に曲がった本州と大小の島々からなる日本列島がいまの姿になったのは、悠久の地球の歴史においては最近の出来事だった。
地球の誕生から日本列島ができるまで
約46億年前に誕生した地球。原始の地球の表面は、微惑星が衝突するエネルギーでドロドロに溶けたマグマが覆っていたという。やがてそのマグマが冷え固まった岩盤が地球の表面を覆い、大気中の水蒸気が雨として降り注いだ。海の誕生である。
水の働きで岩盤の強度が下がり、無数の割れ目ができて大断層に発達。それに沿って重い岩盤が沈み込み、地球内部に落下するようになった。これが、プレートとプレートの境目でさまざまな地殻変動が起こる「プレートテクトニクス」のはじまりとされている。
このプレートテクトニクスにより、海と呼ばれる低地と陸がなす高地が誕生した。海の地盤(海洋地殻)は重い岩石から、陸の地盤(大陸地殻)は軽い岩石からなっている。また、大陸地殻は海洋地殻より分厚い。このように、性質の異なるふたつの地殻が、液体のように流れているマントルの上に乗っているため、軽い大陸地殻は、海洋地殻より浮き上がり、地球の表面は凸凹になっているのだ。
2億年ほど前には、「ゴンドワナ」というひとつの大きな大陸が存在していた。それがプレートテクトニクスの働きで分裂と移動を繰り返す。約1億年前には現在のアフリカ大陸と南アメリカ大陸は分裂しはじめていたが、北アメリカ大陸とユーラシア大陸はまだつながっていた。後に日本列島となる部分は、ユーラシア大陸の東端に大陸の一部として存在していた。
そして約2500万年前、ユーラシア大陸の東縁部に亀裂が発生。大地が裂けて、引き裂かれた地盤は太平洋に移動しはじめた。約1500万年前にほぼ現在の日本の位置にまで到達し、大移動を終える。このようにして日本列島は誕生したのである。また、大陸と日本列島との間には巨大な窪地ができ、これが日本海となった。この頃には、フィリピン海プレートは北向きに沈み込み、太平洋プレートは西向きに沈み込んでいた。
ところが約300万年前、フィリピン海プレートが45度方向転換し、北西方向に向きを変えた。これは、北向きに沈み込んでいたフィリピン海プレートと、西向きに沈み込む太平洋プレートがぶつかった結果、小さいフィリピン海プレートが押し負けて北西方向に運動方向を変えさせられたためと考えられている。このことが、日本列島が“世界一の変動帯”へと変わる大転換点となった。
このフィリピン海プレートの方向転換によって、日本海溝が西向きに動きはじめた。そのため東日本には強い圧縮力が働き、海溝型巨大地震が多発。東北の山地が隆起をはじめ、日本海沿岸では断層に沿って隆起運動が起こり、能登半島や佐渡島が隆起した。
一方、西日本では、フィリピン海プレートの北西方向への沈み込みによって、西向きに横ずれする力が働くようになった。その結果、長大な断層「中央構造線」が発現。この日本列島最大の横ずれ大断層の動きによって、西日本の地盤に大きなしわがつくり出され、瀬戸内海が形成された。
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text: Miyo Yoshinaga photo: Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries “Uchino Kyodoryori
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