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福井県《ESHIKOTO/エシコト》
黒龍が手掛ける日本酒と食を愉しむテーマパーク

2022.8.27
福井県《ESHIKOTO/エシコト》 <br>黒龍が手掛ける日本酒と食を愉しむテーマパーク

日本酒「黒龍」や「九頭龍」でお馴染みの黒龍酒蔵が福井県永平寺町に約3万坪の酒蔵観光施設をオープン。イギリス人建築家 ジョサイア・コンドルの曾孫、サイモン・コンドル氏が設計した酒セラー棟にも注目が集まる新施設「ESHIKOTO(エシコト)」をひも解きます。

壮大な景観を眺めながら、
福井の日本酒と食を堪能

柔らかい口当たりとフルーティな飲み口で全国的にも人気を集める、福井県を代表する日本酒「黒龍」や「九頭龍」。それらを醸造する黒龍酒造が福井県永平寺町に福井の新たなランドマークとなる観光施設「ESHIKOTO」をオープン。施設は2022年6月に約3万坪ある全敷地のうち約1万坪にあたる部分を開業。そのほかの部分は2024年春の北陸新幹線開業に向けて順次公開される予定だ。

「ESHIKOTO」が建つのは、禅の修行道場としても有名な永平寺が車で約10分ほどの距離にあり、さらに目の前には北陸屈指の大河川である九頭竜川(旧名は黒龍川)が流れる壮大な自然が広がる場所。

黒龍酒造の代表・水野直人氏は、世界中で愛されている日本酒と同じ醸造酒であるワインにも興味を持ち、フランスやアメリカのワイン銘醸地を訪れた。その際に自身が住む永平寺より田舎町にも関わらず世界中から人々が訪れ、その風土や食、人との出会いを楽しむツーリズムの魅力を知り、帰国後「ただ酒を製造・販売するだけではなく、私たちが住む
北陸・福井、そして永平寺に何か貢献できないか、ワインの銘醸地のようにできないか」と考え、10年にもおよぶ構想の末、ESHIKOTOのプロジェクトが生まれた。

施設名の由来は、「良い」を表す古語の「えし」にちなみ、「良いこと」という意味で「えしこと」。逆から読むと「とこしえ」となり、「永久の豊かな時間」という想いが込められている。
ブランド名の由来にもなっている九頭竜川(黒龍川)の流れを見渡しながら、永平寺町で福井の自然が感じられるこの場所で、「食」から福井の生産者や製造者、そして料理人や職人をつなぐ。そういった福井の“えしこと”を掘り起こして磨き、楽しめる場所として酒蔵観光施設ESHIKOTOは誕生したのである。

美しく壮大な自然の中で有意義なひと時が過ごせる

今回オープンしたのは、酒や食を楽しむ「酒樂棟(しゅらくとう)」と酒の貯蔵セラーやイベントスペースがある「臥龍棟(がりゅうとう)」。2棟を通して食、酒、アートなど福井の魅力を満喫できる。

サイモン・コンドル設計
厳かな教会を思わせる空間
「臥龍棟」

開業前から話題を集めていた「臥龍棟」は、天井の高さが約11メートルもあり、尖った天井が教会を彷彿させる、厳かで上質な空間。日本の西洋建築の礎を築いたイギリス人建築家、ジョサイア・コンドルの曾孫であるサイモン・コンドル氏が設計デザインを手掛けた。樹齢200年の地元の杉を丸ごと使ったカウンターや、歴史ある地元の古民家の柱を多用しているのが特徴だ。

臥龍棟はおもにイベントスぺースとしてさまざまなシーンで利用されるほか、さらに正面奥には瓶内2次発酵のスパークリング日本酒が約8000本眠る貯蔵セラー「臥龍房」も備える。その壁や床には一面、福井ならではの希少な笏谷石(しゃくだにいし)を使用し、濡れると青く輝くと言われる石の性質から、白や薄青色の複雑な色調美も堪能できる空間となっている。「臥龍房」は特別な日を除いて、普段は一般公開されないセラーとなっている。

絶景を眺めながら福井の酒や食を堪能
「酒樂棟」

レストランと酒ショップを配置した「酒樂棟」は、女優で陶芸家でもある結城美栄子氏によるアート作品が、店内や通路などに飾られた遊び心あふれる空間。エントランスからの九頭竜川を臨む景観は絶景で、春には川沿いの桜が満開となる。季節や太陽の角度によって刻々と移り変わる風景が楽しめる。

レストラン「acoya(アコヤ)」は2つのゾーンから構成されている。手前の入り口には、酒粕や梅酒から出た黄金の梅などを再利用して仕上げたパウンドケーキやチーズケーキなどの焼き菓子を提供したり、テイクアウト販売するパティスリーゾーン。奥の入口付近は酒に合うおつまみなどを提供するアペロ(アペリティフの仏語)ゾーン。
店内の壁には趣のある越前和紙を使用し、ゾーンごとに白色と黒色に分け、モノトーンの空間グラデーションを楽しめる。長さ9ⅿほどの福井県産の杉の一枚板を贅沢に使用したメインテーブルも見どころだ。モーニングやランチ、カフェなど、幅広いシーンで利用できる。

レストランに隣接する酒ショップ「石田屋ESHIKOTO店」では、ここでしか購入できない貴重な酒が常時15種類ほど展示販売。購入前の試飲も可能なので飲み比べてお気に入りの日本酒を見つけられる。
店内には奈良・白鳳時代から伝わる越前指物の技術によってつくられる越前箪笥のほか、越前焼などの伝統工芸品も展示され、文化的で粋な空間となっている。

読了ライン

建築家 サイモン・コンドル氏が設計デザインを手掛けた、酒貯蔵セラーがある臥龍棟入口
臥龍棟内観
セラーには地元の古民家の扉や柱、笏谷石などが用いられている
レストランや酒ショップがある酒樂棟入口
酒樂棟では九頭竜川を眺めながら絶品の酒と食が愉しめる。春には川沿いが桜で満開に
アート作品のように並べられた酒の中には、黒龍酒蔵のレアな名品も
ESHIKOTOのブランドロゴマーク。名前の由来でもある永遠を象徴するメビウスの輪をモチーフにデザインされた
酒ショップ入口すぐに鎮座する越前箪笥
石田屋ESHIKOTO店の内観
風が気持ちいい屋外テラス席も

ESHIKOTO
住所|福井県吉田郡永平寺町下浄法寺12-17
営業時間|レストラン8:00〜17:00(朝食 土日祝のみ8:00〜9:30L.O.、ランチ11:30〜13:30L.O.、カフェ14:00〜16:00、テイクアウト10:00~17:00)、ショップ10:00〜17:00
定休日|水曜(レストランのみ第1・3火曜も定休)
※利用は20歳以上から可能、ペット不可
※レストランは事前予約推奨
https://eshikoto.com

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