貝原益軒『養生訓』の教え
|いま取り入れたい「心の知恵」5選
食事、運動、睡眠、メンタル、飲酒、入浴。それぞれのテーマから、現代社会にも通じる教えをピックアップ。日々の生活に取り入れよう。今回は、真の幸福を得るための心身の健康についての名言をご紹介!
幸せも追求する貝原流養生

健康法のノウハウが書かれた本と養生訓の大きな違い。それは、健康を通して幸せを追求している点である。「私は自著で『養生哲学』という造語を提案していますが、儒学者でもある益軒は『幸福になるために人はどう生きるべきか』という哲学的な問いにまで踏み込んでいるわけです。養生の先に、本当の幸せがある。皆に健康になってほしいものの、そこで終わっては意味がないということですよね」。こうした心持ちへの助言は現代でも色褪せることなく、養生訓が単なる健康書にとどまらない魅力となっている。

多くの人は長生きできる身体をもって生まれてくるにもかかわらず、養生の方法を知らないばかりに天寿を全うできないことが多い。反対に生まれつき病弱だったものの、養生に努めたことで寿命が延びることも。長生きの秘訣は、心掛け次第である。

お金に余裕がなくとも、生命力を育むことはできる。自然を愛でて四季の移り変わりを楽しみ、庭で育てた旬の野菜を口にして、酒はほろ酔い加減に嗜む。こうした静かな暮らしは幸福であり、長生きのみならず永続的な幸せをももたらすのだ。

喜、怒、哀、楽、愛、悪、欲の7つの感情のうち、最も健康をむしばむのが怒りと欲求である。怒りは火が燃えるように心を焼き、欲求は深い水に心が溺れるようなもの。いずれも気力と体力を奪い去るため、慎重にコントロールしたい。

日常を過ごす部屋は、冷たい隙間風が入らず、快適に過ごせればよく、家具や道具も機能的であれば事足りる。派手なものを使い慣れると贅沢になり、欲望に心を焼き尽くされることとなる。質素を知らなければ、養生の道に反する結果を招くだろう。

老い先を案じる高齢者は、自分が亡くなった後のことを思い、あれこれやっておこうと考えてしまいがちである。だが、心静かに過ごすためにもほどほどに。人づき合いを負担にならない程度にとどめるのもまた、養生法のひとつだ。
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01|貝原益軒の『養生訓』とは?
02|長寿を証明!貝原益軒のなが~い人生
03|“養生の名言”10選
04|ウェルネスの価値観の変化
05|「食の知恵」5選
06|「運動の知恵」5選
07|「睡眠の知恵」5選
08|「心の知恵」5選
09|「お酒の知恵」3選
10|「入浴の知恵」3選
text: Discover Japan, Ryosuke Fujitani, Natsu Arai photo: Kazuya Hayashi illustration: Minoru Tanibata
2026年6月号「ウェルネス入門」


































