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俳優・松山ケンイチのレザーブランド《momiji》
ものに宿る“個性”、多様性を楽しむ

2022.11.26
俳優・松山ケンイチのレザーブランド《momiji》<br><small>ものに宿る“個性”、多様性を楽しむ</small>
ジャケット価格未定(momiji)、シャツ12万7600円、Tシャツ4万9500円、パンツ9万3500円、ベルト13万2000(すべてブルネロ クチネリ)問:ブルネロ クチネリ ジャパン、Tel:03-5276-8300

狩猟免許をもち、東京と里山で二拠点生活を送る松山ケンイチさんが獣皮をアップサイクルするライフスタイルブランド「momiji」を立ち上げた。量から質へ、もの選びの基準が変わりつつあるいま、松山さんがものを通して伝えたいこととは?

松山ケンイチ
1985年、青森県生まれ。ドラマ『ごくせん』(2002年/日本テレビ)で俳優デビュー。2023年、NHK大河ドラマ『どうする家康』で本多正信を演じる。私生活では妻で俳優の小雪さん、3人の子どもたちと東京と里山で二拠点生活を送る

鹿の生息数増加による森林被害は全国で深刻な問題に。ハンターが捕獲し、一部は食肉になるが皮は廃棄されている。松山さんはその現実を目の当たりにし、皮の利活用に着目

狩猟をきっかけに、自然への敬意、
そして「momiji」が生まれる。

現在、家族とともに東京と里山の二拠点生活を送る松山さん。里山では畑で野菜を育て、狩猟を行う。きっかけは、後に師匠となるハンター兼料理人との出会いだったという。

「妻の紹介で師匠に出会ったとき、振る舞っていただいた鹿肉が本当に美味しくて。狩猟に同行させていただき、捕獲した鹿の皮を剥いで解体して、2、3日かけて熟成させ、骨を外して正肉するところまで見せていただきました。食肉にするまでに大変な苦労があることを知り、『いただきます』は自然とつくる人の両方に対する感謝なのだとあらためて実感しました」

松山さんは「知ったからには見るだけでなく体験すべき」と、狩猟免許を取得。年に1、2度里山を訪れ、師匠から技術を学んでいたという。

生息数を増やした鹿が、自然の現状を教えてくれている

「ただ、年に数回の狩猟体験だけでは、自分事にはなりません。師匠にきちんと習いたいという想いと、田舎で子育てをしたいタイミングが重なって二拠点生活を選びました」

里山で狩猟を行い、解体場で鹿の皮を剥ぐ機会も増える中で、肉は食肉に加工できる一方、獣皮は廃棄されるという現実を目の当たりにする。

「山で命を落とした鹿はやがて土に還りますが、解体された獣皮を山に捨てるのはルール違反。本来は産業廃棄物として処理しますが、費用面の問題とCO2の排出にもつながってしまうため、なんとか使えないかと考えるようになりました」

photo:sai
※公道から離れた場所に車両を安全停止した後、動植物の生息地の保全を考慮した上で、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟にあたっています

まずは環境負荷の少ないなめしの技術をもつ皮革製造工場に見学へ行き、松山さん自ら仕留めた鹿皮をなめしてもらった。皮から革になるまでの背景を知った上で出来上がった革を手に取ると、言葉にできない想いが込み上げてきたという。その革で、師匠と自分用にハンティングベストをつくった。裏地には故郷・青森の伝統工芸である南部裂織(なんぶさきおり)の布を使用。このものづくりが、「momiji」の取り組みにつながる。

「南部裂織も、捨てられていた獣皮に価値をつけるのもアップサイクル。こういうことなら自分にも何か貢献できるかもしれないと感じました」

「momiji」を通じて
多様性を楽しめるクリエイティブを届けたい。

製品を長く愛してもらうためにも、「鹿皮の特性を個性として伝えていくことが必要」と語る松山さん。適切ななめしの技術を施すことで、鹿革の用途も広がるという
キャップ4万5100円(momiji×Tokio hat/オーダーメイド)、ニット17万3800円、Tシャツ4万9500円、パンツ9万3500(すべてブルネロ クチネリ)、問:ブルネロ クチネリ ジャパン、Tel:03-5276-8300

鹿革は革のカシミヤといわれるほど柔らかい風合いをもつ一方、傷つきやすいという特徴もある。「傷がわからないほど、きれいになめすこともできますが、環境負荷が高いため、僕らがやる必要はないと思っています。そもそも皮に傷がない動物なんていません。僕らは一体一体の個性として認め、それを生かしたものづくりをしていきたい」

サンプルとして制作したライダースジャケットは、今後軽量化して製品化したいそう。「親から子へ受け継いでいただけるような、永く愛されるものづくりをしていきたいです」

今季はジャケットと帽子、手帳、スリッパなどを発売。それぞれのアイテムを得意とするブランドとコラボレーションした。獣皮のアップサイクルにはさまざまな技術が必要となるため、専門家と一緒にものづくりをすることが不可欠だ。しかし多くは輸入に頼っていることもあり、革をなめす職人は減っている。松山さんは、安定した雇用創出のためにも、原料から製品化まで国内で一貫してできる仕組みを整えていきたいとも語る。

「momijiの製品を通して、自然環境の現状を知っていただきたいし、自分ができることは何なのか、自分自身と向き合うきっかけにしてもらえたらうれしいです」

松山さん直筆のイラストで
ブランドの背景、想いを発信!

「momijiの取り組みや廃棄される鹿皮の現状、皮をなめす技術などを知っていただく機会になれば」と、自らが描いたイラストと紡いだ言葉を、InstagramなどのSNSで発信中

“想い”といっしょに、この冬買いたい一生もの

左から)バケット、キャップ

狩猟を起点としたものづくりをはじめた松山さん。買い手となってものを選ぶときは、どのような基準をもっているのだろうか? 

「中学2年のときに買ったジーンズを最近まではき続けていたのですが、質のよいものを長く使いたいと考えるタイプです。たとえば、10万円のものも、10年使えば毎年1万円のものを買っているのと同じですよね」

ものの価値を考える中でお金を費やすこともあったそうだが、いまは歴史やデザイン、扱いやすさ、そして自然環境に配慮されているかを考慮して、ものを選んでいるという。

「これは、ものづくりをする上でも大事にしているところです。ものの表面だけを見ると、その背景に広がるつくり手や自然が見えづらくなってしまいますが、ものから感じる美のもとは『つくり手の心の美しさ』だと思います。道徳心の表現がものや演技にも表れる。momijiもそれらを感じて選んでいただけるブランドにしていきたいですね」

左から)ハンチング、ベレー帽

momiji × Tokio hat
実業家・渋沢栄一が創業した日本初の帽子ブランド。松山さんが「猟師の先輩方に贈りたい」と、森の中でも視認性が高いオレンジのキャップづくりからコラボを開始。傷が目立ちにくく肌触りのよいスウェードに加工

価格|キャップ4万1800円、バケット4万7300円、ベレー4万700円、ハンチング4万4000円
素材|鹿革
サイズ|M、L、XL
カラー|オレンジ、ダークブラウン、ブラック
※ホワイト、グリーン、グレーはオーダー限定。オーダーは、上記価格に+3300円でS〜XXLのサイズを用意。革は2色の組み合わせも可能。
問|トーキョーハット/オーロラ
Tel|0120-527-559

トーキョーハット×モミジ 帽子コレクション
オーロラ オンラインストア|予約販売中
https://aurora-store.jp

日本橋三越本店2F 紳士帽子売場|~11月15日(火)
あべのハルカス近鉄本店7F 帽子売場|11月9日(水)〜22日(火)
銀座三越本館5F GINZAステージ|11月16日(水)〜29日(火)
博多阪急6F 紳士帽子売場|11月16日(水)〜29日(火)
和光本店4F|11月16日(水)〜30日(水)
阪急メンズ大阪4F 帽子売場|11月30日(水)〜12月13日(火)
伊勢丹新宿店メンズ館1F 帽子売場|12月7日(水)~20日(火)

momiji × Davinci × CCF
本革のシステム手帳だけをつくり続けるDavinci。今回のコラボモデルは、重厚な質感とつやで使い込むほどに独特の表情を見せるカバーと、繊維の廃棄物コットンを50%使った紙(サーキュラーコットンペーパー)を採用

価格|右/ノーマル5万円(予定)、左/ポケット付き5万5000円(予定)
素材|鹿革
サイズ|右/W125×H190㎜、左/W130×H200㎜

photo:sai

momiji × ierib
食用のために狩り、余った獣皮を革にして身にまとうという原点に立ち返り、「時代に消費される一過性のものではない、長く愛せるものづくりを」というieribとmomijiの想いが共鳴して誕生。ブーツはグッドイヤー製法を採用

価格|スリッパ2万7500円、ワーキングブーツ24万2000円
素材|スリッパ/鹿革、ワーキングブーツ/イノシシ革(ボディ)、鹿革(履き口のクッション)
カラー|スリッパ/オリーブ、キャメル、ネイビーグリーン、ネイビー、ライトグレー、黒、ワーキングブーツ/黒
※仕様などが変わる予定です

momiji レザーライダース
ジャケットは、色や風合いの異なる革を一枚一枚選んでオーダーできる受注生産で、買い手もクリエイティブに参加できるような仕組みを考案中。内張りには、商品づくりに携わった人の名前がエンドロールのように刻まれている

価格|未定
素材|鹿革
カラー|未定
問|@momiji2022_official(Instagram)

この冬、momijiが銀座 和光で
ポップアップを展開!

momijiの活動と松山さんによるアートワークを体感できるポップアップショップ。momijiの全ラインアップが集い、ジャケットのオーダーや帽子のカラーオーダーができる予定だ

モミジ レザーアイテムコレクション
会期|12月8日(木)~21日(水)
※~12月14日までウインドウディスプレイでも展示
会場|和光本店4F
住所|東京都中央区銀座4-5-11
Tel|03-3562-2111(和光代表)

momiji
Instagram|@momiji2022_official

※momiji及びコラボレーション製品の価格や仕様、展示情報などについて、変更となる可能性があります。

text: Akiko Yamamoto photo: Norihito Suzuki styling: Takahisa Igarashi
hair&make: Masakazu Igarashi planning: Emi Sugiyama
Discover Japan 2022年12月号「一生ものこそエシカル。」

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