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『養生訓』著者・貝原益軒が
残した“養生の名言”10選

2026.7.19
『養生訓』著者・貝原益軒が<br>残した“養生の名言”10選

『養生訓』で貝原益軒は「人として生まれたからには良心に従って生き、幸福になり、長生きして、喜びと楽しみの多い一生を送りたい」と記している。その時代を超越した、万人を希望へと導く代表的な格言を現役医師であり『養生訓』を編訳した奥田昌子さん監修のもと紹介しよう。

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健康の天才による養生の心構え

「人の身は百年を以て期とす。」(第1巻「総論上」)

益軒は平均寿命が30~40歳だった江戸時代に、人の寿命は100歳を上寿とし、80歳の中寿、60歳の下寿と分類。生まれつき身体が弱くても、養生次第で健康的に長生きできることを説き、現代を先取りしていた。
 

「養生の志あらん人は、心につねに主あるべし。」(第1巻「総論上」)

養生に取り組む人は、心の中に助言者をもつべきだという教え。自分自身がコーチとして助言者になることで、客観的な視点から思慮深く判断し、感情や欲求をコントロールできるので、養生における失敗が少なくなる。
 

「つとめ行ひておこたらざるも、慾をつゝしみこらゆる事も、つとめて習へば、後には、よき事になれて、つねとなりて、くるしからず。」(第2巻「総論下」)

養生の基本姿勢は、「努力」と「自制」。それは一見我慢という意味にも取れるものの、習慣化することで苦しさは薄れていく。欲求や感情を抑えることは大変だが、それが日常となるように努力と自制を続けよう。
 

「わかき時、元氣ををしまずして、老いて衰へ、身よわくなりて、初めて保養するは、たとへば、財多く富める時、 をごりて財をつひやし、貧窮になりて財ともしき故、初めて儉約を行ふが如し。」(第2巻「総論下」)

養生は体力のある若い頃からはじめるべきという教え。高齢になり、身体が弱くなってから養生をはじめるのは、贅沢ざんまいしていた金持ちが破産し、貧乏になってからはじめて倹約するようなものだと戒める。
 

「家に居て、時々わが體力の辛苦せざる程の勞働をなすべし。」(第2巻「総論下」)

家にいるときは、つらくない程度に身体を動かすとよい。日常の動作の煩わしさを苦にせず、自ら動いて何でもすること。そうすれば自分のペースで過ごせ、血行がよくなり消化も進む。できる限り手足を動かすのが大事だ。
 

「耳目口鼻形、(形は頭身手足なり)此の五は、きくと見るとかぐと、物いひ物くふとうごくと、 各、其の事をつかさどる職分ある故に、五官と云ふ。心のつかひ物なり。」(第5巻「五官」)

耳、目、口、鼻、形体(身体全体)の「五官」は、それぞれ聞く、見る、話す、食べる、嗅ぐ、動くという役割がある。それら自体に主体性はなく、心がコントロールしているので、正しく制御することがよりよい人生につながる。
 

小慾をつゝしむ事はやすし。大病となりては、苦しみ多し。かねて、病苦を思ひやり、後の禍をおそるべし。」(第5巻「愼病」)

病気になると、薬を飲み治療を受けても簡単には治らず、また必ず治る保証もない。健康なうちから病気の苦しさを想像し、身を慎んで、ひたすら養生すべきという教え。養生訓の予防重視の思想を端的に表している。
 

「凡の事、十分によからんことを求むれば、わが心のわづらひとなりて、樂なし。」(第2巻「総論下」)

何事も完璧を追い求めると、心の負担になり楽しみがなくなる。他人にも完璧を求めると、足りないところばかりが目につき、心が苦しむ。食事や衣類、道具など身の回りのものはほどほどでよいと考えることも養生だ。
 

「畏るゝとは、身を守る心法なり。」(第1巻「総論上」)

養生の心構えを一字で表すなら「畏」。それは、神仏などの近づき難い存在を敬うということであり、命と自分を生かす身体を慈しむことにも通じる。畏れる気持ちがあれば、間違いのないように慎重になり、努力できる。
 

「心を平らかにし、氣を和らかにし、言をすくなくし、しづかにす。」(第2巻「総論下」)

声を張り上げ、大声で笑わず、いつも喜びを見つけて、むやみに怒らない。悲しみにもとらわれず、失敗しても反省したら振り返らない。肩の力を抜いて心を平穏に保ち、幸せを噛み締めて生きることで生命力が養われる。
 

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text: Discover Japan, Ryosuke Fujitani, Natsu Arai photo: Kazuya Hayashi illustration: Minoru Tanibata
2026年6月号「ウェルネス入門」

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