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貝原益軒『養生訓』の教え
|いま取り入れたい「心の知恵」5選

2026.7.21
貝原益軒『養生訓』の教え<br>|いま取り入れたい「心の知恵」5選

食事、運動、睡眠、メンタル、飲酒、入浴。それぞれのテーマから、現代社会にも通じる教えをピックアップ。日々の生活に取り入れよう。今回は、真の幸福を得るための心身の健康についての名言をご紹介!

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幸せも追求する貝原流養生

健康法のノウハウが書かれた本と養生訓の大きな違い。それは、健康を通して幸せを追求している点である。「私は自著で『養生哲学』という造語を提案していますが、儒学者でもある益軒は『幸福になるために人はどう生きるべきか』という哲学的な問いにまで踏み込んでいるわけです。養生の先に、本当の幸せがある。皆に健康になってほしいものの、そこで終わっては意味がないということですよね」。こうした心持ちへの助言は現代でも色褪せることなく、養生訓が単なる健康書にとどまらない魅力となっている。

其の一 長生きできるかどうかは心掛け次第
「生まれつきて、元氣さかんにして、身つよき人も、養生の術をしらず、朝夕元氣をそこなひ、日夜精力をへらせば、生れつきたる其の年をたもたずして、早世する人、世に多し。 又、天性は、甚虚弱にして、多病なれど、多病なる故に、つゝしみおそれて保養すれば、 かへつて、長生する人、是亦、世にあり。」第1巻「総論上」)

多くの人は長生きできる身体をもって生まれてくるにもかかわらず、養生の方法を知らないばかりに天寿を全うできないことが多い。反対に生まれつき病弱だったものの、養生に努めたことで寿命が延びることも。長生きの秘訣は、心掛け次第である。
 

其の二 生命力を育むのに 金はかからない
「ひとり家に居て、閑に日を送り、古書をよみ、古人の詩歌を吟じ、香をたき、 古法帖を玩び、山水をのぞみ、月花をめで、草木を愛し、四時の好景を玩び、 酒を微醉にのみ、園菜を煮るも、皆是、心を樂しましめ、気を養う助なり。 貧賤の人も、此の樂つねに得やすし。」(第2巻「総論下」)

お金に余裕がなくとも、生命力を育むことはできる。自然を愛でて四季の移り変わりを楽しみ、庭で育てた旬の野菜を口にして、酒はほろ酔い加減に嗜む。こうした静かな暮らしは幸福であり、長生きのみならず永続的な幸せをももたらすのだ。
 

其の三 怒りと欲求は養生の大敵である
「七情の内、怒と慾との二、尤徳をやぶり生をそこなふ。」(第2巻「総論下」)

喜、怒、哀、楽、愛、悪、欲の7つの感情のうち、最も健康をむしばむのが怒りと欲求である。怒りは火が燃えるように心を焼き、欲求は深い水に心が溺れるようなもの。いずれも気力と体力を奪い去るため、慎重にコントロールしたい。
 

其の四 部屋や家具は簡素なものがよい
「常に居る室も、常に用ふる器も、かざりなく質朴にして、けがれなくいさぎよかるべし。」(第5巻「五官」)

日常を過ごす部屋は、冷たい隙間風が入らず、快適に過ごせればよく、家具や道具も機能的であれば事足りる。派手なものを使い慣れると贅沢になり、欲望に心を焼き尽くされることとなる。質素を知らなければ、養生の道に反する結果を招くだろう。
 

其の五 雑用と人付き合いはほどほどに
「心しづかに、事すくなくて、人に交る事もまれならんこそ、あひにあひてよろしかるべけれ。」(第8巻「養老」)

老い先を案じる高齢者は、自分が亡くなった後のことを思い、あれこれやっておこうと考えてしまいがちである。だが、心静かに過ごすためにもほどほどに。人づき合いを負担にならない程度にとどめるのもまた、養生法のひとつだ。

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text: Discover Japan, Ryosuke Fujitani, Natsu Arai photo: Kazuya Hayashi illustration: Minoru Tanibata
2026年6月号「ウェルネス入門」

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