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青森県 蔦温泉「蔦温泉旅館」
温泉ビューティ研究家・石井宏子さん厳選!

2022.6.19
青森県 蔦温泉「蔦温泉旅館」<br><small>温泉ビューティ研究家・石井宏子さん厳選!</small>

どうせ行くなら、いい湯に浸かりたい。自分にぴったりの温泉はいったいどこに。湯力の助けで元気になるにも、湯の道は多種多彩。活力系、癒し系、いま心惹かれるのはどっち?

湯力を実感できる温泉で、全身にエネルギーを注入したいなら、活力系の温泉へ。ステイホームですっかりなえてしまったやる気のスイッチを入れてくれる温泉だ。今回は、青森県蔦温泉の「蔦温泉旅館」を紹介。

石井宏子さん
温泉と美味しいものを求めて年間200日国内外の温泉を旅する。「温泉は地球がくれた天然のビューティツール」と確信し、ひたすら湯に浸かっている。温泉・自然環境・食事など、旅で心も身体もキレイになる温泉ビューティを研究する

いまこそ生きる力を養う
湯力を感じる温泉とは

「泉響の湯」は男女別にあり、高い天井の湯小屋が圧巻。こちらも湯船の下からとめどなく熱い源泉が湧いている

温泉の力はすごいと、この2年であらためて実感した。温まり方の深さが違う、五臓六腑に染み渡るほど入り込んでくるように感じる。心身が温泉を渇望しているのか、とにもかくにも温泉に入りたい。今回選んだ活力系の温泉には、ガツンとくる魅力がある。足先がびりびり、背中がじんじん、容赦なく全身に染みてきて、血がふつふつと動き出す。くうぅうと両手を握りしめじっと湯に浸かると、だんだん身体に馴染んできて、はー、スッキリ。温泉に叱咤激励されて、生きる力がめらめら燃えてくる。大自然に育まれたホットスポットで、大地から湧き上がる生まれたての温泉に浸かる。人の英知は、どんなに強烈な湯も気持ちよく入れる湯に仕立て上げる。

対する癒し系の温泉は脱力できるのが特徴だ。カチカチだった首や肩が、ほわんとゆるんで楽になる。ストレスで冷えた足腰がじんわり温かくなって、やさしい気持ちを取り戻す。湯に身を任せて目を閉じ、ふうぅうと深呼吸。そういえば、ちゃんと息を吸えていたかと、自分を労わる気持ちを思い出す。温泉は熱いものと決めつけないでほしい。ぬるい湯だからこそ、じっくり長く浸かることができる。ふやけるほど湯に浸かり、ありがたい成分をたっぷり身体に染み込ませるのも湯養生の極意だ。旅をしないと出合えない、湯力を秘めた温泉が待っている。

約1000年前から親しまれる
パワフルな足元湧出湯

1000年以上湧き続ける源泉の湯に浸かれる「久安の湯」。湯船の底から湧く湯の勢いが豪快。熱い湯がこんこんと流れる床板に寝転び、背中で湯の温もりを味わうのも青森流だ

どどん、どどんと花火が上がるように、湯船の底から大きな湯玉が湧き上がり、ぷくっとはじけて湯に波紋が広がっていく。ああ、温泉は生きている、これは地球からの励ましだろうか。自然自噴の源泉湧き流し、47℃の湯が湧いている場所にそのまま入るので、湯加減の調整は森の湧き水を注ぎ込んでいる。くうう。全身のあらゆる組織へと容赦なく新鮮な湯が入り込んできて、細胞が音を立てて目覚めるような感覚。これは覚醒の湯だと思う。泉質は、ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物泉。塩類三兄弟が働きかけて美肌も、冷え撃退も、安眠も思いのままだ。八甲田のブナ森に抱かれた宿は、敷地から自然林の小路へと散歩ができ、15分ほどで神秘的な蔦沼のほとりへ出る。新緑、蛍、星空と、心癒される風景へ浴衣でもぶらりと行けるのは夢のようだ。改装された部屋は、和のしつらえとベッド、広縁には落ち着ける書斎がある。磨き抜かれた廊下の脇には快適にワーケーションができる場所など、文豪たちが愛した宿の懐かしい時代の面影を残しつつ、居心地よく過ごせる工夫がある。平安時代に開湯され、以来ずっと湧き続ける千年湯は、令和に生きる私たちを今日も励ましてくれる。

レトロモダンな特別室が4室あり、昭和の意匠を活用しつつ書斎机を設けるなど過ごしやすくした客室、大正の木造建築を生かした趣ある本館など、すべての客室を快適に改装

青森県 蔦温泉「蔦温泉旅館」
<温泉data>
泉質|ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物泉、ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物泉
泉温|47.0℃ 
湯の色|透明 
加温|なし
加水|あり 
かけ流し|〇

<宿data>
住所|青森県十和田市奥瀬蔦野湯1
Tel|0176-74-2311 
料金|1泊2食付1万5円~(税・サ込)
IN|15:00 
OUT|10:00
日帰り入浴時間|10:00~15:00(最終受付14:30)
風呂の種類|大浴場内湯1~2(男女別各1、男女入替制1)
定休日|不定休
夕食|和食(レストラン) 
朝食|和洋食(レストラン) 
昼食|なし 
Wi-Fi|あり(全館)
おひとりさま利用|可能
アクセス|車/東北自動車道十和田ICから約1時間30分 
電車/JR青森駅からバスで約2時間の蔦温泉バス停から徒歩すぐ

 

≫公式サイトはこちら

 

text: Hiroko Ishii
Discover Japan 2022年5月号「ニュー・スタイル・ホテルガイド2022」

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