日本の世界自然遺産【前編】
北海道・知床/青森県・白神山地
現在4つの地域が世界自然遺産として登録されている日本。それぞれの地域は、どのような点が評価されて登録されたのか、ここで振り返ってみましょう!
海から陸につながる貴重な生態系の宝庫
「知床」
北海道の北東部に位置し、多くの高い山々や河川、湿原、湖沼などを有する知床半島。知床は海氷ができる世界で最も低緯度の地だが、この海氷により植物性プランクトンが発生し、海老やカニの幼生や甲殻類、小魚、大魚やシャチなどが次々と集まることで、海の食物連鎖が生まれている。そして、産卵で知床に戻ってきた鮭の一部が川を上り、野生生物の餌や森の栄養素になるため、この連鎖は山にまでつながっていく。こうした生態系のつながりによって、多様ないきものが生息し、稀少種の存続も保たれている。また、ホエールウォッチングなどのネイチャーツアーが充実しており、楽しみながら自然が学べるのも知床の魅力だ。
知床
登録評価点|生態系、生物多様性
エリア|北海道・斜里町と羅臼町にまたがる知床半島の中央部から知床岬にかけての陸地とその周辺の海
登録年|2005年
アクセス|女満別空港から車で約2時間、釧路空港から車で約3時間30分など
知床をもっと知るなら!
知床世界遺産センター
住所|北海道斜里郡斜里町ウトロ西186-10
Tel|0152-24-3255
開館時間|夏期(4月20日〜10月20日)8:30〜17:30、冬期(10月21日〜4月19日)9:00〜16:30
休館日|火曜(冬期のみ)
http://shiretoko-whc.jp/whc/
世界最大級のブナの原生林が広がる
「白神山地」
青森県南西部と秋田県北西部の県境にまたがり、東アジア最大の原生的なブナ林が広がる白神山地。約3000万年前、ブナ林は北極周辺にも分布していたが、氷河期により南へと移動。このとき、ブナ以外の植物は山岳に妨げられて南下できず、多くの地域で植物相は単純化したが、日本には海外に比べて高い山岳がなかったため、かつての北極周辺の植物相に近いブナ林が、白神山地に残った。トレッキングや登山では、ブナを中心とした豊かな生態系が楽しめる。
白神山地
登録評価点|生態系
エリア|青森県深浦町、鰺ヶ沢町、西目屋村と秋田県藤里町にまたがる山岳地帯
登録年|1993年
アクセス|青森空港から車で約1時間50分、JR新青森駅から車で約1時間10分など
白神山地をもっと知るなら!
白神山地世界遺産センター(西目屋館)
住所|青森県中津軽郡西目屋村大字田代字神田61-1
Tel|0172-85-2622
開館時間|8:30〜17:00
休館日|土・日曜、祝祭日
http://tohoku.env.go.jp/nature/shirakami-sanchi/index.html
白神山地世界遺産センター(藤里館)
住所|秋田県山本郡藤里町藤琴里栗63
Tel|0185-79-3005
開館時間|3〜11月9:00〜17:00、12〜2月10:00〜16:00
休館日|火曜(祝日の場合は翌日休)、12〜2月の月曜(祝日の場合は翌日休)
http://www.shirakami-fujisatokan.jp/
text: Discover Japan
Discover Japan 2021年8月号「世界遺産をめぐる冒険」