青森県青森市 松栄堂の「志功館通り」
福田里香の民芸お菓子巡礼
民芸とお菓子の甘い関係をひも解いていく、お菓子研究家・福田里香さんの《民芸お菓子巡礼》。今回は、リンゴと白あんを包んだ風味豊かなお饅頭、松栄堂の「志功館通り」を紹介します。
福田里香(ふくだ・りか)
菓子研究家。書籍や雑誌を中心に活躍。9年間にわたり続いている本連載をまとめた書籍『民芸お菓子』が小社より発売中
柳宗悦に激賞されたのをきっかけに、板画の巨匠となったのが、棟方志功です。生前の棟方はいまでいうところの“キャラが立っている”人でした。くりくりの天然パーマにまん丸い顔。明るい性格で、しゃべれば生粋の青森弁。丸いビン底眼鏡がトレードマーク。着流しの着物姿で制作に打ち込み、極度の近視のため、板木に頭を擦り付けるように覆い被さって彫り進む姿もフォトジェニックでした。「わだばゴッホになる」の名言も有名です。
棟方の故郷の青森県青森市には1975(昭和50)年に開館した「棟方志功記念館」があります。板画『二菩薩釈迦十大弟子』などの代表作から肉筆画、油絵まで、国内最多の収蔵作品を誇ります。
記念館から徒歩10分ほどのところに菓子舗「松栄堂」があります。松栄堂の名物は、リンゴと白あんを包んだ風味豊かなお饅頭「志功館通り」。皮の焼き印はの花。棟方が小学6年生のときに「この花の美しさを表わせる人間になりたい」と思ったというエピソードにちなんでいるそう。自分土産にぴったり。
松栄堂
住所|青森県青森市栄町1-5-4
Tel|017-743-1863
営業時間|9:00〜19:00
定休日|なし
www.syoeido.co.jp
text: Ricca Fukuda photo: Wakana Baba
2020年12月号 特集「全国の有名ギャラリー店主が今注目するうつわ作家50」