北海道 然別峡温泉「かんの温泉」
温泉ビューティ研究家・石井宏子さん厳選!
どうせ行くなら、いい湯に浸かりたい。自分にぴったりの温泉はいったいどこに。湯力の助けで元気になるにも、湯の道は多種多彩。活力系、癒し系、いま心惹かれるのはどっち?
湯力を実感できる温泉で、全身にエネルギーを注入したいなら、活力系の温泉へ。ステイホームですっかりなえてしまったやる気のスイッチを入れてくれる温泉だ。今回は、北海道然別峡温泉の「かんの温泉」を紹介。
11の自噴源泉に浸かる、
北海道の秘境に湧く温泉
茶緑色のうす濁りの湯から、何やらささやきが聞こえてくる。「ぷくぷくぷく、ピチピチ」、とめどなく湧く源泉の音だ。湯宿・こもれび荘の中の「イコロ・ボッカの湯」はアイヌ語で“宝物が湧き上がる”の意で、湯船の底から自然湧出している。つるりとしたナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉で、湯上がり肌のつややかさは感涙もの。成分総計は3601mg/kgとミネラルがたっぷり、かわいいささやき声とは裏腹にガツンと芯まで温まる。源泉温度56℃と熱めだが、岩風呂の中に手づくりの熱交換装置を沈め、コイル状の管の中に冷たい山水を通すことで、加水せず100%湧きたての源泉を楽しめる。敷地のあちこちから湧く13本の自噴源泉を駆使した11の湯船で、色や香りや感触が異なる湯の入り比べ。ずらりと並ぶ温泉分析書を見ると泉質は似ているが全然違う。ひと晩泊まってすべてを制覇しようと、転々と移動し温泉トライアスロンのようになる。大雪山国立公園の奥地にある秘境温泉は、車で山道へ入ったあたりから携帯電話は圏外となり、心細くなった頃にたどり着く。そんな道のりも忘れてしまうほどの温泉ユートピアだ。
「妙見石原荘」
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北海道 然別峡温泉「かんの温泉」
<温泉data>
泉質|ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉
泉温|38.0~56.4℃
湯の色|透明
加温|なし
加水|なし
かけ流し|○
<宿data>
住所|北海道河東郡鹿追町北瓜幕字然別国有林145
TEL|050-5319-4068
料金|1泊2食付1万円~(税・サ込)
IN|15:00
OUT|10:00
日帰り入浴営業時間|12:00~17:00(最終受付16:30)
風呂の種類|大浴場内湯2~5(男女入替制)、露天風呂2、館内風呂1、貸切露天風呂1
定休日|火・水曜(11月下旬~4月下旬のみ)、ほか不定休あり
夕食|和食(レストラン)
朝食|和食(レストラン)
昼食|なし(連泊の場合は要相談)
Wi-Fi|あり(全館)
おひとりさま利用|可能
アクセス|車/道東自動車道十勝清水ICから約1時間10分
電車/JR帯広駅から車で約1時間10分
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2|青森県 蔦温泉「蔦温泉旅館」
3|群馬県 草津温泉「奈良屋」
4|北海道 然別峡温泉「かんの温泉」
5|鹿児島県 妙見温泉「妙見石原荘」
6|長野県 野沢温泉「村のホテル 住吉屋」
7|北海道 豊富温泉「川島旅館」
8|新潟県 栃尾又温泉「自在館」
9|徳島県 祖谷温泉「和の宿 ホテル祖谷温泉」
10|静岡県 桜田温泉「山芳園」
11|群馬県 法師温泉「法師温泉 長寿館」
text: Hiroko Ishii
Discover Japan 2022年5月号「ニュー・スタイル・ホテルガイド2022」