酸ヶ湯温泉の「しょうが味噌まんじゅう」
福田里香の民芸お菓子巡礼
民芸とお菓子の甘い関係をひも解いていく、お菓子研究家・福田里香さんの《民芸お菓子巡礼》。今回は棟方志功も通った青森県は酸ヶ湯温泉のお菓子「しょうが味噌まんじゅう」を紹介します。
福田里香(ふくだ・りか)
お菓子研究家。書籍や雑誌を中心に活躍。8年間にわたり続いている本連載をまとめた書籍『民芸お菓子』が小社より発売中
青森県生まれの版画家といえば棟方志功。棟方は柳宗悦に見出されたことを振り出しに、後に文化勲章を受章しました。また1960年代から’70年代にかけて、テレビ出演したことも相まって、国民的な人気を得ます。近眼だったため、版木に目をくっつけるようにして一心に彫刻刀を振るう棟方は、その明るく素朴なキャラクターとともに視聴者に強烈な印象を残したのです。
その性格はクライアントに気に入られたようで、故郷の青森にも作品を残しています。中でも多くの作品が一堂に観られるのが、総づくりの大浴場「ヒバ千人風呂」で有名な「酸ヶ湯温泉」です。棟方も酸ヶ湯が大好きで湯治をしながら作品を彫っていたそうで、館内や奥の「ギャラリー神舞閣」には、たくさんの書画が飾ってあります。
酸ヶ湯温泉のお土産に買うべきお菓子は、名物「しょうが味噌まんじゅう」です。薄皮の中に味噌としょうがを練り込んだ白隠元豆のあんは、北国に伝わる美味。お茶のアテに、甘塩っぱいお菓子は、最高の組み合わせです。
酸ヶ湯温泉
住所|青森県青森市荒川南荒川山国有林酸湯沢50
Tel|017-738-6400
〈日帰り温泉〉
営業時間|7:00〜17:30
料金|1000円
http://www.sukayu.jp/
※宿泊に関してはウェブ参照
text: Ricca Fukuda photo: Wakana Baba
2020年4月号 特集「いまあらためて知りたいニッポンの美」