「有馬温泉」日本書紀にも記された600万年以上の歴史を持つ名湯で、古の時代にタイムスリップ!?
古くから名湯として知られ、歴史上の有名人たちを魅了し続けてきた有馬温泉。赤褐色の湯と、日本最古級の長い歴史が魅力だ。日本の神々から、「陰翳礼讃」で有名な谷崎潤一郎までをも虜にした温泉の秘密を、いまお見せしよう……。
日本最古級! 山あり谷ありの名湯の歴史
有馬温泉の歴史は、なんと日本書紀にまで記録されている。泉源は大己貴命(おおなむちのみこと)と少彦名命(すくなひこなのみこと)の神により発見され、7世紀前半に舒明天皇が滞在したことにより、その名は広く知られていったという。しかし、その後、度重なる災害や戦乱により、何度も壊滅状態に陥る。そんな有馬の悲劇を救ってきたのは、“有馬の三恩人”として知られる、僧行基、仁西、豊臣秀吉だった。彼らの強力なバックアップにより活気を取り戻した有馬温泉は、庶民から外国人にまで愛される、日本が誇る名湯としていまも世界を魅了している。
有馬温泉、「600万年前の湯」の謎とは……?
温泉大国、日本には多くの火山が点在するが、実は有馬がある近畿地方には火山がない。ではどうして温泉が湧くのか? なんとその理由はフィリピンに繋がっていた。フィリピン海プレートがユーラシアプレートに沈み込む際に引き込まれた海水が、有馬で温泉となって噴出しているというのだ。海水が温泉となって地表に出てくるまで600万年以上。なんと長い時間がかかっていることだろう……。湯のルーツを知り入浴すると、また格別な気分を味わえるに違いない!
■有馬本温泉 金の湯
古くから有馬の元湯として、人々に愛されてきた外湯。金泉が楽しめる。浴槽はあつ湯とぬる湯を用意。明治16年以前は「一の湯、二の湯」と呼ばれた。
【DATA】
●有馬本温泉 金の湯
古くから有馬の元湯として、人々に愛されてきた外湯。金泉が楽しめる。浴槽はあつ湯とぬる湯を用意。明治16年以前は「一の湯、二の湯」と呼ばれた。
住所:兵庫県神戸市北区有馬町833
Tel:078-904-0680
営業時間:8:00~22:00(最終入館~21:30)
定休日:第2・4火曜(祝日の場合営業翌日休)、元日
料金:650円
■有馬温泉 銀の湯
神社仏閣が集まる寺町にある外湯。無色透明な銀泉を引く。身体を刺激する気泡が噴き出すバイブラバスやミストサウナも完備。
●有馬温泉 銀の湯
神社仏閣が集まる寺町にある外湯。無色透明な銀泉を引く。身体を刺激する気泡が噴き出すバイブラバスやミストサウナも完備。
住所:兵庫県神戸市北区有馬町1039-1
Tel:078-904-0256
営業時間:9:00~21:00(最終入館~20:30)
定休日:第1・3火曜(祝日の場合翌日休)、元旦
料金:550円
一度は訪れたい! 著名人に愛される、有馬最古の湯宿
有馬で最も古くからある旅館≫「陶泉 御所坊」。1191年創業、有馬温泉の中でも最も古い歴史をもつ名旅館は、歴史上に名を残す、数々の著名人に愛されてきた。現在の建物は、昭和初期に建てられたものがベースで、阪神間モダニズムの華やかな気配を感じさせる。与謝野晶子や吉川英治をはじめとする著名な作家に愛され、中でも、谷崎潤一郎は深く御所坊を気に入り、小説『猫と床造と二人のをんな』の中にも登場させている。御所坊を象徴する、半混浴半露天風呂もぜひ堪能してみたい。
【DATA】
●陶泉 御所坊
住所:兵庫県神戸市北区有馬町858
Tel:078-904-0551
チェックイン:15:00 チェックアウト:10:00、部屋により11:00
料金:1泊2食付2万8800円~(税・サ別)
カード:AMEX、DC、DINERS、JCB、MASTER、VISA、銀聯
寒い寒い冬がやってくる。この時期になると決まって訪れたくなるのが、温泉。今年の冬は、長い歴史と厚い信頼を誇る、兵庫県の名湯、有馬温泉をぜひおすすめしたい。様々な困難に見舞われながらも、偶然か必然か、幾度も復活し多くの人々に愛され続けてきた名湯で、心も体も温まってみては?
(text:Discover Japan photo:Mariko Taya)
『Discover Japan_TRAVEL ニッポンの名湯宿』より