「松本本箱」宿泊は北アルプスの景色を望む温泉宿へ。
松本十帖/長野県・松本市
松本十帖には「松本本箱」と「小柳」の趣が異なるふたつの宿泊棟があります。そのうち今回は「松本本箱」の客室をご紹介。
宿を起点に進化中!
浅間温泉エリアでの過ごし方
松本十帖にはブックホテル「松本本箱」と1686年に創業した「旧・小柳旅館」の歴史を受け継ぐホテルとして改装した「小柳」のふたつの棟があり、滞在スタイルに合わせて好きな客室を選ぶことができる。「松本本箱」の設計は、建築家・谷尻誠氏が率いる「SUPPOSE DESIGN OFFICE」が担当。改装時に出てきたむき出しの鉄筋コンクリートを生かし、新旧両方の表情が垣間見られる、モダンな空間が印象的だ。対して「小柳」はさまざまな客層・年齢層に対応するホテルを掲げ、バリアフリー設計や、畳の部屋など、多彩な客室をもつホテルへと生まれ変わった。また、宿全体でSDGsを掲げており、温泉の廃湯熱を利用した暖房や、持ち帰りもできるオリジナルタンブラーを設置し、客室にアメニティを極力置かず、必要なものだけを利用するスタイルは、温泉街の宿に新たな風を吹き込むだろう。
さらに特筆すべきは、この松本十帖は浅間温泉エリアというひとつの街をリノベーションし、地域全体に新たな価値を創造するプロジェクトであること。宿のレセプション機能を徒歩圏内の古民家に置き、おやきとコーヒーで寛げる空間があったり、本と甘いものが味わえるブックカフェがあったり、そんな街全体を楽しめるようになっている施設すべてが松本十帖なのだ。松本十帖の総支配人・小沼百合香さんはこう話す。「松本は長野県の中心地、いわばクロスロード地点。郷土料理のおやきひとつをとっても複数あって、信州の北と南の文化がミックスしているんです。だからこそ、この街を利用してほかの地域とのつながりがつくれる、信州の魅力を発信できる場所としたい。食についてもさらに掘り下げていけたらと思っています」。
信州の山々を際立たせる
コンクリートの壁が印象的なグランドスイート
最上階の5階にあるグランドスイート。125㎡の広々空間で、コンクリートむき出しの内装は「SUPPOSE DESIGN OFFICE」が担当。大きな窓からは松本市街から北アルプスまでの景色がパノラマで楽しめる。
全室に源泉かけ流しの露天風呂を完備
客室には露天風呂を、さらにグランドスイートには内風呂も完備。宿の正面入り口前にある宿泊者専用共同湯「小柳之湯」用の桶とタオルもある。
寝心地を重視した
コンパクトサイズのベッド
セミダブルサイズをふたつ並べているベッド。あえて布団のサイズはシングルサイズを用意し、見た目よりも寝心地や使い心地を重視した仕様に。
アメニティは
環境に配慮したものを用意
①オリジナル浴衣は軽井沢町のブランド「ラッタ ラッタル」とコラボ。
②使い捨てをなくすためタンブラーを全客室に設置。持ち帰りもOK。
三六五+二(367)でいただく
朝食のテーマは「ヘルシー&コンシャス」
プレートには、サラダときのこのキッシュ、シェフの自家製ハムを。自家製リンゴジャムをのせたヨーグルトと、大久保醸造店の味噌を合わせたグラノーラ、カボチャスープ、パンは「小柳」2階にあるベーカリーのもの。
ちょっとした散策も楽しめる
浅間温泉街
周辺は日帰り温泉施設なども点在。松本十帖の施設、おやきとコーヒーが味わえるレセプションや、ブックカフェも徒歩圏内に。
江戸時代の湯小屋を再現した
「小柳之湯」
松本本箱正面入り口前にある宿泊者専用浴場。半露天の浴槽のみで、源泉かけ流しの湯が楽しめる。利用は6:00〜24:00。
今年の冬オープン!?
信州発酵研究所のシードル
松本本箱隣にはシードル醸造所をオープン予定。松本産「ふじ」を100%使用したオリジナルシードルは甘口、辛口の2種類あり各990円。
チェックインしていなくても
立ち寄れる施設が充実
5つのエリアに分かれてブックディレクター・幅允孝氏、YOURS BOOK STOREが選書した本が購入できる「Book store 松本本箱」や、信州の土産から、生活雑貨までを扱う「浅間温泉商店」、信州産小麦粉を使ったベーカリー「ALPS BAKERY」などは宿泊者以外でも利用可能。
松本十帖
住所|長野県松本市浅間温泉
Tel|0570-001-810(12:00〜17:00)
客室数|松本本箱24室、小柳14室
料金|1泊2食付2万4200円〜(税・サ込)
IN|15:00 OUT|11:00
https://matsumotojujo.com
松本十帖/長野県・松本市
1|発酵文化が根づく信州で“自然の恵み”のひと皿を【前編】
2|発酵文化が根づく信州で“自然の恵み”のひと皿を【後編】
3|自然に負担をかけない天然醸造・木桶づくりの味噌蔵へ。「大久保醸造店」
4|宿泊は北アルプスの景色が望める松本本箱へ。
text: Discover Japan photo: Kiyono Hattori
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