「陶泉 御所坊」数々の有名人が愛した、有馬温泉最古の湯宿
1191年創業、有馬温泉の中でも最も古い歴史をもつ旅館「陶泉 御所坊(とうせん ごしょぼう)」。有馬を代表する名旅館は、歴史上に名を残す、数々の著名人に愛されてきた。
陰翳礼讃、日本の美を凝縮した名旅館
有馬で最も古くからある旅館「陶泉 御所坊」。その歴史はまさに有馬の歴史でもある。その創業は鎌倉幕府が開かれる前年までさかのぼる。現在の「金の湯」に隣接する場所にあり「湯口屋」と呼ばれていた。当時は九条家が運営していたという。歌人・藤原定家の旅日記『名月記』には貴族で賑わう有馬の様子が書かれている。
14世紀末には将軍・足利義満が滞在。このことをきっかけに湯口屋は「御所」と呼ばれるようになった。名前に「坊」がつくようになったのは、1483年に蓮如上人が逗留した頃からと伝わる。そして、1583年以降、有馬を何度も訪れた豊臣秀吉が湯山御殿を建てる際、御所坊は秀吉から現在の場所を拝領し移転した。
現在の建物は、昭和初期に建てられたものがベース。1階の、現在サロンとして利用されている場所は、当時はダンスホールであった。いまも1900〜1930年代に花開いた阪神間モダニズムの華やかな気配を感じさせる。谷崎潤一郎はこよなく御所坊を愛し、小説『猫と庄造と二人のをんな』の中に登場させている。そのほか与謝野晶子や吉川英治も、それぞれの作品で宿の名を挙げている。
1980年代には、デザイナーの綿貫宏介氏とともに、木造建築を維持しつつ現在の空間に。御所坊を象徴する半混浴半露天風呂もこの頃誕生した。『陰翳礼讃』を書いた谷崎が好んだ風情は、いまも残っている。
明石浦漁港から入手した鱧
山家料理と称する御所坊独自の料理。飾り立てた見た目の豪華さでなく、本当に良質な素材を用いてつくられる。写真は明石の鱧を用いた鱧鍋。10 ~ 11月の鱧は特に脂がのって美味しい。
陶泉 御所坊
住所|兵庫県神戸市北区有馬町858
Tel|078-904-0551
チェックイン|15:00
チェックアウト|10:00、部屋により11:00
料金|1泊2食付2万8800円~(税・サ別)
カード|AMEX、DC、DINERS、JCB、MASTER、VISA、銀聯
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text: Discover Japan photo: MarikoTaya
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