ART

《十和田市現代美術館》
建築×街づくりにより、新感覚でアートを満喫

2022.4.12
《十和田市現代美術館》<br><small>建築×街づくりにより、新感覚でアートを満喫</small>
インゲス・イデー《ゴースト》《アンノウン・マス》
撮影:小山田邦哉

青森県十和田市が推進するアートによるまちづくりプロジェクト、Arts Towadaの拠点施設として2008年に開館した「十和田市現代美術館」。十和田でしかみることができないアート作品が展示されている。建物の設計を行ったのは妹島和世とともに建築家ユニットSANAAを主宰する西沢立衛氏。個々の展示空間を、「アートのための家」として独立させ、ガラスの廊下でつないでいる。まるで違う美術館に入るような感覚で楽しむことができる「十和田市現代美術館」の魅力を紹介。

十和田市現代美術館とは?

「アートのための家」として独立させ、敷地内に展示空間を分散して配置

十和田市現代美術館は、青森の八甲田山の山麓や乗鞍岳などの南八甲田連峰に囲まれた十和田市のシンボルロードである官庁街通り沿いに建てられ、街全体を美術館に喩えたまちづくりプロジェクト「Arts Towada」のもと、誕生。

十和田の歴史や美しい自然、そして地域のもつ活力を引き出し未来へつなげていくような仕かけを随所に盛り込むことで、十和田市を個性あふれる『アートのまち』『感動創造都市』として国内外に「新たな体験」を発信している。

街と美術館の境目をシームレスに。

エルヴィン・ヴルム《ファット・ハウス》《ファット・カー》
撮影:小山田邦哉

建物の設計を行ったのは妹島和世とともに建築家ユニットSANAAを主宰する西沢立衛氏。西沢立衛氏は、敷地内の大小様々なボックス状の展示室をガラスの廊下で繋ぎ、通りと連続性をもたせ、街と一体となるような美術館を実現。

約4000㎡の美術館の敷地内には、大小の異なるボックスが17個ある。建物は鉄骨造で、外壁にはガルバリウム鋼板を使用。近づいてみると横胴縁がある部分に若干の凹凸があるが、ガルバリウム鋼板は平滑葺きなので、部分的な主張が薄く、1つのボリュームとして全体像が伝わってくる。

建築家
西沢立衛(にしざわ・りゅうえ)
横浜国立大学大学院建築都市スクールY-GSA教授。1966年東京都生まれ。1990年横浜国立大学大学院修士課程修了、妹島和世建築設計事務所入所。1995年妹島和世と共にSANAA 設立。1997年西沢立衛建築設計事務所設立。主な受賞に日本建築学会賞、村野藤吾賞、藝術文化勲章オフィシエ、ベルリン芸術賞、プリツカー賞。http://www.ryuenishizawa.com/

ひとつのボックスに、ひとつのアート
それぞれの世界観を楽しむ

フェデリコ・エレーロ《ウォール・ペインティング》
撮影:小山田邦哉
アナ・ラウラ・アラエズ《光の橋》
撮影:小山田邦哉

この美術館の最大の特徴は、「アート作品のための家」のコンセプト通り、2階建てくらいの大きなボックスから、数人しか入れないような小さなボックスまでで、大きさや高さが異なる。建物の内外の展示物は通りからも鑑賞できるようになっており、官庁街通りを歩いているだけで、街そのものが美術館のように感じられ、新しい感覚を体験できる。また、外から外部展示や建物内のアートを楽しめるだけでなく、建物内から見ても街と一体となったように感じられるのも特色のひとつ。

また、作品は展示空間だけでなく、足元や壁面など、いろいろなところに隠れているので、ぜひ探してみて。

ガラスの回廊がアートをつなぐ

撮影:太田拓実

さまざまなサイズの展示空間をつなぐのは、薄い屋根を細い柱が支えるガラス張りの回廊。外から見ると個々の展示空間が浮き出るようなデザイン。また、ガラスの回廊は屋外に配置された作品も堪能できる。

カフェ&ショップ
「cube/キューブ」

奥入瀬ガーリックポークとりんごのカレー 1110円(税込)

十和田市現代美術館の白くて四角い建物から名付けられた「cube/キューブ」は、“地元のおいしいものを味わえる。

ショップでは、美術館オリジナルグッズやデザイナーが手がけたミュージアムグッズのほかにも、十和田ならではの工芸品やクラフト作家のグッズ、地元産品などは旅のお土産や記念の贈り物にぴったり。


チェ・ジョンファ《フラワー・ホース》
撮影:小山田邦哉

建築と街づくりが一体となり、新感覚でアート作品を楽しめる「十和田市現代美術館」。青森を訪れる際はぜひ足を運んでみてはいかが。

十和田市現代美術館
住所|青森県十和田市西二番町10-9
Tel|0176-20-1127
開館時間|9:00〜17:00(最終入館 16:30)
※cube cafe&shopも同様(カフェラストオーダー 16:30)
休館日|月曜日(月曜日が祝日の場合は、その翌日)、年末年始
料金|大人 1800円(企画展閉場時:1000円)、高校生以下 無料
※十和田市民は、住所が確認できるものを受付に提示すると上記金額より200円引き。
Wi-Fi|あり
https://towadaartcenter.com/

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