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日本最北の世界自然遺産!
北海道・知床で知るエコツーリズム
|後編「海」から知る知床

2021.8.28 PR
<small>日本最北の世界自然遺産!</small><br>北海道・知床で知るエコツーリズム<br><small>|後編「海」から知る知床

ユネスコ世界自然遺産に登録された北海道・知床半島。豊かな自然は魅力的な観光資源ですが、それゆえ多くの人が訪れることで、傷む可能性もあります。自然をよりよいかたちで未来に残すには、いま何をすべきか。観光と環境保全を互いに支え合う存在と考える知床のエコツーリズムの取り組みを紹介。後編では、ウトロと羅臼の海へ。流氷からはじまる食物連鎖のつながりの中に多種の生き物が生息しています。

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豊かな命を育むウトロと羅臼の海

今年、羅臼では、シャチの餌とも考えられるホッケが前年比約10倍という大漁に。その影響もあってか、例年以上の頭数のシャチが羅臼沖に現れた

海のクルーズツアーでは 羅臼側はシャチなどの鯨類や海鳥が、ウトロ(斜里町)側は断崖絶壁と陸路では行けない知床岬などが見どころ。「ゴジラ岩観光」ではその両ツアーを行っている。羅臼側のツアーでは、乗員が生き物の姿を目視で探し、船を向ける。その際、生き物の自然な動きを妨げないよう300m手前で減速、50m離れた場所で停船、と地域で取り決めているそう。「この環境が嫌だと思ったら生き物は知床の海にいなくなってしまいますから」とガイドの長嶋里奈さん。シャチと並走する時は習性を考え、後ろからついていくという。

マッコウクジラは約7分浮上
個体識別されているシャチは約400頭

ウトロ側のツアーは安全にヒグマを見られるとしても人気。ウェブサイトでは羅臼側、ウトロ側、共にその日のツアーで見られた生き物の種類と数を公開している。元は生き物が見られる確率を伝えるためのものだったが、10年以上のデータとなり、近年では知床財団や大学が調査に生かすように。逆に知床財団からはヒグマの個体の情報を教えてもらい、ガイド内容に還元しているという。統括部長の神尾昇勝さんは「私たちは動力船を使って仕事をしていて、何かしないと自然を消費するだけ。だから地域の資源を守る活動には進んで協力したいんです」と話す。

ヒグマを安全に観察できるのはクルーズ船ならでは。ぜひ双眼鏡を持参して!
迫力満点の断崖絶壁。象岩、タコ岩などの名所も

クジラ・イルカ・バードウォッチングクルーズ
期間|4月25日〜10月15日
料金|8800円
所要時間|約2時間30分(1日2〜3便運行)※5名以上
集合|北海道目梨郡羅臼町本町30-2
Tel|0153-85-7575(ゴジラ岩観光)

知床半島ウトロクルーズ 知床岬コース
期間|①4月29日〜5月5日、6月1日〜9月30日/②10月1日〜10月14日
料金|8800円
所要時間|約3時間(9:30/13:15発)※①7名以上②10名以上
集合|北海道斜里郡斜里町ウトロ東51
Tel|0152-24-3060(ゴジラ岩観光)

知床で暮らすおもな生き物たち

陸と水中のほ乳類、鳥類、魚類……多種多様な生き物が暮らす知床。遭遇する可能性もあるが予期せぬ事故に発展しないよう、距離を取って接しよう。

ヒグマ。日本で一番大きな陸上生物。水芭蕉の根が大好物で、大きな体に似ずアリや木の実も好んで食べる。時速約50㎞で走る
エゾシカ。頭数が増え、近年生態系に影響を与えている。群れで行動することが多く、1頭が道路に出てきたら、複数頭続いて出てくる可能性あり
キタキツネ。北海道周辺地域に生息。4〜9月は子育ての時期。狩りの上手な親ギツネが何匹ものネズミをくわえて巣に帰る様子が見られることも
ケイマフリ。アイヌ語で赤い足という意味の名前をもつ。ウトロの断崖に巣をつくる絶滅危惧種。冬になるとのどから腹の部分が白くなる
オオワシ。2、3月頃越冬のため知床へ。翼を広げると大きいもので約250㎝にもなる。黄色いくちばしと鋭い眼光が特徴。絶滅危惧種
マッコウクジラ。1000mの深海に潜るため、目ではなく「パチッ」というクリックス音を出して周囲を確認。尾びれを高く上げるのは潜水の合図
イシイルカ。日本の水族館にはいないが、羅臼の海では出会える機会の多いイルカ。最高で時速約60㎞で泳ぐこともあるという高速スイマー

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日本最北の世界自然遺産!
北海道・知床で知るエコツーリズム
前編|知床とは?
中編|「陸」から知る知床
後編|「海」から知る知床

text: Masayo Ichimura photo: Hiroki Tsuji
2021年9月号「SDGsのヒント、実はニッポン再発見でした。」


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