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日本最北の世界自然遺産!
北海道・知床で知るエコツーリズム
|中編「陸」から知る知床

2021.8.28 PR
<small>日本最北の世界自然遺産!</small><br>北海道・知床で知るエコツーリズム<br><small>|中編「陸」から知る知床

ユネスコ世界自然遺産に登録された北海道・知床半島。豊かな自然は魅力的な観光資源ですが、それゆえ多くの人が訪れることで、傷む可能性もあります。自然をよりよいかたちで未来に残すには、いま何をすべきか。観光と環境保全を互いに支え合う存在と考える知床のエコツーリズムの取り組みを紹介。中編では、知床五湖と知床岬を望む原生林へ。生き物の痕跡から生態もよくわかります。

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知床五湖と知床岬を望む原生林へ

ツアーでは野生動物と遭遇することも。写真を撮る際など、ガイドの指示に従おう

知床では栄養豊富な海と懐の深い森で多くの命が育まれる。ぜひツアーに参加して、知床の奥深い自然の一端をのぞいてみよう。

まずは「知床ネイチャーオフィス」の「知床自然体験1日コース」へ。知床五湖と原生林を歩くツアーだ。五湖と知床連山の美しい景色や、入り江、知床岬の壮大な風景も見どころだが、教えられて知る動物たちの痕跡のなんと多いことか。一部草が生えていないところはシカの獣道だし、木の下部に開いた穴はクマゲラが餌を取ろうとした跡。ヒグマのフンからは何を食べたのか推測し、周囲にその植物が生えているのを自分の目で見て、食物連鎖を実感する。植物にしても、生えている木からその森の歴史を想像し、岩や木の上で育つ若木からはなぜそこに根を張ったのかを考える。「知る」以上に、想像力をかき立てられるのだ。ガイドの佐々木恵さんは「知床にはさまざまな動物がすみ分けながら縦横無尽に暮らしている」と話すが、多くの痕跡を目にした後だと大きくうなずける。ツアーでは実際に野生動物に出会うこともあるが、警告サインを出していないか確認し、往路に巣を見学した場所は帰路には通らないなど、なるべくストレスを与えない配慮をしている。

野生動物が多く生息するからこそ、知床には、意識と知識をもって訪れてほしいと言うのは同社代表取締役の松田光輝さんだ。「利用者個人が意識をもって行動できる国立公園になるのが最終形。そのためにはもっと多くの人が自然を好きになり、本質的に自然保護を理解する必要があります」。松田さんは地元斜里町出身。自然は地元地域にとっては大きな資源でもある。「自然は人が平和に豊かに生きていくためになくてはならないもの。自然利用についてはほかの国立公園でも学べます。エコツーリズムの考え方はもっと広がる必要があると思っています」。

一日たっぷり知床の森へ!
「知床自然体験1日コース」

①「知床五湖フィールドハウス」で、散策する際の注意点のレクチャーを受け、スタート!
②一番小さな五湖。正面に知床連山が見える。ガイドの佐々木さんおすすめの景色
③続いて四湖。全湖に本来魚はいないのだが、四湖〜一湖には開拓期の名残でフナが生息
④クマゲラの掘った穴。巣づくりでは木の上方に開けるが、これはムネアカオオアリを狙った跡で、地上からすぐの場所。キツツキの仲間は多く、木をつつく音があちこちから
⑤森がうっそうとした雰囲気に変化。日当たりを求めて硫黄山の噴石の上に木が育つ
⑥午後は原生林へ。ワラビの草原からスタート。開拓跡地の二次林には、原生林にはないパイオニアツリーの白樺が多く、成長に時間がかかるトドマツは小さいもののみ
⑦古い雄ジカの頭骨。カルシウム源としてなのか、その一部を最近リスがかじった跡が
⑧遥か下に海面を望む入り江へ。正面には、温泉質の地下水がにじみ出した滝が
⑨急斜面に残るシカの獣道。ヒグマも下で目撃されておりこの道を使っているよう
⑩折り返し地点に到着! 目を遠くにやると知床岬、近くを見ると美しい断崖絶壁が

知床自然体験1日コース
期間|5月1日〜10月31日
料金|1万円
集合場所|北海道斜里郡斜里町ウトロ東365
スケジュール|8:30出発→9:10知床五湖散策→12:40昼食(約1時間)→13:30原生林散策→16:30〜17:00終了
※2021年は10/1から知床五湖の地上遊歩道整備工事のため、ツアー内容が一部異なります
問|知床ネイチャーオフィス
Tel|0152-22-5041

 

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日本最北の世界自然遺産!
北海道・知床で知るエコツーリズム
前編|知床とは?
中編|「陸」から知る知床
後編|「海」から知る知床

text: Masayo Ichimura photo: Hiroki Tsuji
2021年9月号「SDGsのヒント、実はニッポン再発見でした。」


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