関東一の食材の宝庫!
良質な美酒と酒肴は、茨城にあり。
日本最大の消費市場・東京にほど近い茨城県は、一年を通して海の幸、山の幸、畑の幸と出合える食材の宝庫。今回は冬季に楽しみたい美味に注目しました。
教えてくれた人
井坂紀元(いさか・のりもと)
いばらき食文化研究会 代表取締役社長兼いばらき観光マイスター。「茨城の食の魅力を紹介します!」
「生産量日本一」と
「ブランド食材」が揃い踏み
広大な大地と、長い海岸線を有する豊かな自然。茨城県は、全国一の生産量を誇るれんこん・メロン・鶏卵をはじめ、数多くの「日本一」を有する食材の宝庫だ。農業産出額全国第3位(2019年)、東京都中央卸売市場青果物取扱高16年連続日本一(2019年)に輝くなど、関東圏だけでなく、日本の食文化全体を支えている。奈良時代に編纂された『常陸国風土記』では、茨城県は理想郷と謳われており、歴史的にも豊かな地であることがわかる。
茨城県の食が豊かである理由には、スター生産者の活躍も大きい。茨城は生産量日本一の食材が多いだけでなく、ブランド食材の宝庫でもある。そんな茨城県の食の魅力にいち早く惚れ込み、着目したのが、井坂紀元さん。地元・茨城の食の魅力を発信すべく、地産地“紹”型のレストラン「酒趣 本店」を2002年にオープン。自ら生産者の元に足を運び高品質な茨城県産の食材を探し求め、地酒は約100種を取り揃える。「茨城は日本最古の酒蔵を有し、酒蔵の数は関東一。海・山・畑と三拍子の美味が揃っています。季節の美味を味わいに、ぜひ茨城に来てください」。真冬はあんこうも絶品。美酒と酒肴を求めるなら、茨城は見逃せない。
地域の人々が良質で豊かな食を育んでいます!
選ばれた豚肉だけが称号を得る
最高品質の新ブランド
「常陸の輝き」
ローズD-1を父豚として交配する三元豚で、2018年12月に販売を開始。「豚の味を決めるのは脂、脂をつくるのは餌」といわれるほど豚の餌は重要。専用飼料で育て上げ、厳しい基準をクリアした豚肉だけが「常陸(ひたち)の輝き」として出荷される。霜降りで軟らかい肉質が特徴。香りのよさ、脂の旨みを楽しめる。
サンゴクファーム
住所|茨城県小美玉市世楽633
Mail|info@sangokufarm.com
風土を醸し、
文化を育む茨城の銘酒
1865(慶応元)年創業。港町・大洗の地で酒造りを続けている。メインブランドは、漁舟の出舟や入舟の祝い酒として愛飲されてきた銘酒「月の井」。ほかに、無農薬の有機米を使い、精米から瓶詰めまでの工程すべてを有機製造で造る「和(な)の月」、地元一貫造りをテーマに大洗の米・水・技術で醸す「彦市」などが人気。
月の井酒造店
住所|茨城県東茨城郡大洗町磯浜町638
Tel|029-266-2168
香り、味わいに優れた
玄そばの最高峰
「常陸秋そば」
在来種を茨城県が 1985(昭和60)年に奨励品種として認定したブランド品種。実の大きさ、粒揃いのよさが持ち味で、口に含めば風味豊かな甘みと香りに感動するはずだ。品質の高さから国産そばの中でも高値で取引されており、職人やそばツウからの信頼も厚い。茨城では、けんちん汁につける食べ方もスタンダード。
慈久庵 つくば荘
住所|茨城県つくば市研究学園5-13-11 MYU-MYUビル 203
Tel|029-875-7373
良質な漁場が育む
超稀少な国産ハマグリ
全国の流通量のわずか1割という貴重な国産ハマグリのうち、 茨城県産は8割を支えている。茨城・鹿島灘で捕れるハマグリは大玉で、プリプリとした食感と、甘みの強さが特徴。現在では、大洗町・鹿島灘・はさきの3つの漁協が協力しながら計画的に操業を行い、サステイナブルな漁法にも取り組む。
大洗町漁業協同組合
住所|茨城県東茨城郡大洗町磯浜町8253-10
Tel|029-266-2165
text: Discover Japan photo: Kazuya Hayashi
2021年1月号「温泉と酒。」