つくば市で「VAN泊」開催!世界のあしたの暮らし方
2019年3月21日・22日の2日間にわたり、茨城県つくば市で、つくば市主催のイベント「つくばVAN泊」が開催された。
150におよぶ、さまざまな研究機関があり、2万人の研究者が暮らすつくば市。科学を活用した実証実験を積極的に行うと同時に、研究機関によるまちづくりへの参加に力を入れている。
電気も、水道も、トイレもない、未来の暮らし
茨城県つくば市といえば、150におよぶ研究機関があり、2万人の研究従事者が暮らすサイエンス都市。まちづくりにおいても科学を活用し、さまざまな実証実験を積極的に行っている。
そんなつくば市が主催するイベント「つくばVAN泊」が開催された。
自動車に必要なもののみを載せ、そこで暮らすという次世代のライフスタイル「VAN LIFE(バンライフ)」。東日本大震災を機に、被災時のシェルター的役割への期待から関心を集めるようになり、同時に、ものを持たずにシンプルに暮らすことを好むミニマル世代の間では、新しい居住空間として注目されている。
Instagramでは「#vanlife」(バンライフ)のキーワードが400万件もタグ付けされているほどだ。
一方で、電気も、水道も、トイレもないというバンライフには、さまざまなハードルがある。
つくば市は、それらをサステイナブルなまちづくりに通じる先進的な課題ととらえ、実証実験のような生活を送るバンライファーたちとともに未来の暮らしを考えるイベントを今回、発案・開催した。
バンライファーがつくばに集結!
21日10時、五十嵐立青つくば市長の開会宣言で「つくばVAN泊」が開幕。
会場となった「SEKISHO INNOVATION PARK(仮称)」は、話題のバンライファーたちが手掛けた独創的なバンのほか、アウトドアブランド「スノーピーク」による「キャンピングオフィス」などが展示された。
永田町でバンライフを送る渡鳥ジョニー氏、九州を拠点に「動くスナックアポロ号」を運営する貞末真吾氏をはじめ、多くの先進的なバンライファーが参加。保険付車中泊サイトのプラットフォームを運営する「CARSTAY」の代表取締役であり、バンライファーとしても活動する宮下晃樹氏、極地建築家の村上祐資氏、移動式の水再生循環システムを手がける「WOTA」の前田瑶介氏、防災・リスク管理コンサルタントでありバンライファーでもある奥はる奈氏など、多彩な顔ぶれだ。
それらバンライファーたちが、イベントではパネリストとして登壇、バンライフの可能性やエコロジー、防災など5つのテーマでの「バンライフセッション」を行った。
多彩なブースが会場をさらに盛り上げる!
会場にはそのほか、地元食材を使ったキッチンワゴンが並ぶ「バンマルシェ」、コーヒー文化が根づく、つくば市の人気店が出張する「つくばコーヒーフェスティバルMini」、つくば市中央図書館の「移動図書館」、NPO法人つくばスポーツアカデミーによる「スラックライン」などのブースも並び、来場者をもてなした。
21日夜には、「バンナイトキャンプ」と題し、焚火台、ランタンを設置した会場に、旅する料理人Nao Mikami氏など飲食ブースが登場。シンガーソングライター高橋あず美さんによるライブとともに会場を盛り上げた。
満月となったこの夜は、実際にバンやテントに宿泊する体験会も開催。五十嵐立青つくば市長をはじめ、つくば市の職員たちがバンライファーやクラウドファンディング型ふるさと納税の返礼品として宿泊の権利を得た来場者と語り合いながら、バンライフを体験した。
“VAN泊”がもたらした、まちづくりのヒントとは?
翌朝は「つくばバンライフ会議」からスタート。
“VAN泊”がもたらした気づきや楽しさ、そこから生まれた交流などについて語り合ったうえで、地域活性化やまちづくりのアイデアやヒントをバンライフの視点から議論。移動型のライフスタイルに対する国や自治体の理解と法整備や規制の緩和、インフラの整備など、今後の課題についても話し合った。
その後、バンライフがさまざまな社会的議題の解決に役立てられることを、参加者全員で確かめた。このことを五十嵐つくば市長が「つくばバンライフ共同声明」として宣言し、2日間で約5000人が来場した「つくばVAN泊」は、盛況のうちに幕を閉じた。
(text: Miyu Narita)