HOTEL

「エースホテル京都」
ポートランドで火がついたライフスタイルホテルの真打ちが日本に初上陸!【後編】

2020.11.9
「エースホテル京都」<br>ポートランドで火がついたライフスタイルホテルの真打ちが日本に初上陸!【後編】

2020年6月、ライフスタイルホテルの代名詞、シアトル発のエースホテルがアジア初として京都に上陸。建築家の隈研吾氏デザインに、伝統工芸や日本の技術も取り入れられた詳細レポート後編です。

≪前編を読む

東洋と西洋が出合い
溶け合う伸びやかな空間

「East Meets West」をコンセプトに掲げるエースホテル京都。内装デザイン監修は長年のパートナーでもあるロサンゼルスのコミューン・デザインが手掛け、その意向で日本の職人・作家の手になるものが随所に配されている。中でも、西海岸風のフランクな空間により温かな雰囲気を与えているのが、民藝の流れをくむ染色作家・柚木沙弥郎氏によるアートワークだ。柚木氏が切り紙を組み合わせつくったという味のあるロゴやルームサインのほか、全客室には氏のモダンでどこか懐かしいタペストリーが。

上の「たたみスイート」は、ローソファが置かれたリビングから小上がりへとつながる伸びやかな客室。アーティスト清原遥氏による雲をモチーフにした照明や、京都のちょうちん老舗の新ブランド「小菱屋忠兵衛」のシェードなども柔らかいニュアンスを添える。

ペットボトルではなく紙パックの水、バネを使わないノンスプリングマットレスなどサステイナブルなアイテムが揃うのも、エースホテルならでは。先進的で快い京都ステイを望むなら、外せない選択肢である。

ゲストルーム
アメリカ西海岸のフレンドリーさと
日本文化が織り交ざる“エースらしさ”

保存棟・新築棟全213室の客室にもエースホテルらしい遊び心あるクリエイティブが。
館内に2室のみ設けられた客室「たたみスイート」。226号室では槌目銅板を使ったバーカウンターに、雲形の照明などゆるやかな曲線を描いたインテリアも心をほぐしてくれる。

旅館を思わせる畳敷きの小上がり。ちょうちん照明や和紙を貼った障子など和風のしつらえが印象的。大開口の窓からは気持ちよく光が注ぐ
ミニバーカウンターの天板は、フロントと同じく能作による鋳物師の手打ち技が凝らされたもの。経年による色の変化も楽しみだ
カップは笠間焼の作家・額賀章夫氏、皿は益子焼の作家・伊藤丈浩氏によるもの。茶筒は東京のプロダクトブランド・SyuRo

ギャラリー

当地の風土を大切にするエースホテルらしく、館内随所に日本の粋をリスペクトしたものが。 誌上ギャラリーにてご覧あれ。

エースホテル京都で日本再発見!

何か見覚えがある……?

ロビー天井でコミューン・デザインの照明と調和するのは、京都産の杉を使った隈研吾氏による木組み。寺などにある格天井をほうふつとさせる!?

廃材を利用した壁面装飾

「スタンプタウン・コーヒー・ロースターズ」のカウンター背面。工房の片隅に棄てられていた信楽焼の釉薬のテストパネルを、コミューン・デザインが気に入りおしゃれな壁に変身させた。

京都職人技がそこかしこに

館内天井のあちこちに吊り下がるのは、京都の金網つじによるシェード。伝統技法で編まれた銅製の網が美しい影を描き出す。

日本発のアレがリバイバル?

ロビーに設置されたフォトブースでは客室のカードキーと同じ柄を背景に写真が撮れる。旅の思い出にぜひ。

細部まで目が離せない

ルームサインなど、館内の至るところで見られる数字やアルファベットは、柚木沙弥郎氏による文字を元に制作したオリジナルのフォント。

世界初!? 漆自転車

宿泊客に無料で貸し出す自転車。トーキョーバイクとのコラボレーションで完成した。フレームに漆を塗ったモデルは京都が初。

テーマは「大日如来」

1階エレベーターホールの突き当たりに光るネオンアートは、HYSTERIC GLAMOURのデザイナー・北村信彦氏が手掛けた。

まるで現代版洛中洛外図

宴会場のホワイエには、伝統的な友禅の技術をホワイトデニムに落とし込んだパネルアート。古都の祭りを思わせる。

あの有名な紀行文を浮かべて

日本列島を思わせる、柚木沙弥郎氏の染めによる暖簾。 松尾芭蕉『おくのほそ道』をモチーフに、旅や人の集い・交流などを表現。

ニューウェーブを巻き起こす
【新風館】のニュースタンダード

京都の歴史・文化を継承しつつ、ワクワクした風を吹かせる新ランドマークをのぞこう!

旧京都中央電話局の建築を生かし2001年に商業施設として開業した「新風館」は、再開発を経て2020年6月にリニューアルオープン。「伝統と革新の融合」のコンセプトの下、映画館からグルメ・アパレル・雑貨店まで、独自の世界観と美意識を放つ20のショップが集まった。

烏丸通から東洞院通へと東西に貫通するパッサージュは、中庭を経て姉小路通へもつながる。この回遊性が街との共生を促し、ローカルと旅人が交わりながら新しいカルチャーが体感できる仕掛けだ。「古くて新しい」京都ならではの新拠点から目が離せない。

(THISIS)SHIZEN

ギャラリーのような植物店には太古からの植物を含め、産地・サイズも多様な苔玉が並ぶ。「自然の循環を表したい」と“微生物の発酵”つながりで酒や団子なども提供。

営業時間|茶屋 8:00〜23:00、植屋 10:00〜19:00
http://thisisshizen.jp/

DIG THE LINE BOTTLE & BAR

日本酒蔵元が手掛けるクラフトビールと日本酒の店。酸味が特徴のスウェーデン・ブレクリエットをはじめ日本初上陸のビール、吉田パン工房のパンでつくるピタパンが絶品。

営業時間|11:00〜24:00
https://sakahachi.jp/digtheline-kyoto

本と野菜 OyOy

オーガニック農産物を扱う京都「坂ノ途中」と書店を展開する東京「鷗来堂」のコラボ店。約250軒の提携農家から届く旬菜使いの料理を、食から哲学まで幅広い本とともに!

営業時間|11:00〜23:00
http://oyoy.kyoto

アップリンク京都

日本のミニシアター文化を牽引する映画館が渋谷、吉祥寺に次ぐ3館目として関西に初進出。4つのスクリーンで多彩な作品を上映する。上映中の映画の小道具などを展示するギャラリーも。スパイス入りの「伊良コーラ」も名物。

営業時間|8:30〜23:00
https://kyoto.uplink.co.jp

中庭へ通じる姉小路通側の入り口。れんが造りによく映える「新風館」ロゴは、昔ながらの明朝体の骨格にモダンな味を加えてデザインされた。

新風館
住所|京都市中京区烏丸通姉小路下ル場之町586-2
営業時間|11:00〜20:00、8:00〜24:00(レストラン)※店舗により異なる
定休日|なし
https://shinpuhkan.jp/

エースホテル京都
住所|京都市中京区車屋町245-2 新風館内
Tel|075-229-9000
客室数|213室
料金|1泊1室3万円〜(税・サ別)
カード|AMEX、Diners、JCB、MASTER、VISA
IN|15:00
OUT|12:00
アクセス|車/JR京都駅から車で約13分(駐車場なし)電車/京都市営地下鉄烏丸御池駅南改札直結
施設|レストラン、バー、コーヒーショップ、ジム、イベントスペース、会議場、宴会場、ギャラリー、犬と宿泊可能の部屋あり、Wi-Fi
 
 

≫公式サイトはこちら

 

text: Kaori Nagano, Yuki Ito(Arika Inc.) photo: Kohei Yamamoto plan: A2WORKS
2020年11月号 特集「あたらしい京都の定番か、奈良のはじまりをめぐる旅か」

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