FOOD

「常陸野ネストビール」茨城の日本酒蔵、木内酒造がオール地元産のビールで世界に挑戦|第3回

2020.8.14
「常陸野ネストビール」茨城の日本酒蔵、木内酒造がオール地元産のビールで世界に挑戦|第3回
ビールづくりに携わる醸造士の平均年齢は35歳。海外からのスタッフも含め約15名の先鋭で常陸野ネストビールを毎日つくり続けている

日本のブルワーの中でも独自の世界観を確立し、海外でも幅広く高い評価を受けている「常陸野ネストビール」。《世界が注目、常陸野ネストビール》では、全4回にわたってその人気の秘密を解き明かしていきます。第3回は世界中に高品質なビールを届けるためのこだわりについて迫りました。

≪前回を読む

世界中で愛されるために
高品質なビールを届けたい

煮沸後ビールの苦みの元になるホップを数回に分けて添加する。煮沸した麦汁は100度を超える高温のため、ヤケドをしないように手早くホップを入れる

いかに品質を上げていくのか。それが常に試行錯誤している取り組みで信念である。年を追うごとに需要が高まり、年間約3000㎘のペースで製造量を増加させているが、ただ増やすのではない。世界中のどこにいても“美味しい”と思える、温度管理を駆使した高品質なビールづくりを徹底している。醸造長の谷さんは語る。

「どうやったらいい状態で世界に我々のビールを持って行けるのかを、常に考えています。ですから、大手メーカーと同じレベルの衛生検査や酸化検査を行いますし、過去15年のデータを基に品質向上の研究を続けています。賞を取って有名になっても、口にした人が満足しないものはつくってはいけないんですよ。すべての方に、うちのビールを美味しく飲んでいただきたいのです」。

また、国内外の販売先の気候風土に合わせて、使用する酵母や発酵法など、同じ酒でもつくり方を微妙に変化させているという。

「寒冷な地域と温暖な地域では、ビールの置かれる環境はまったく違いますが、どこにいても同じように美味しく飲んでほしい。目指すのは、えぐみがなくスムーズな口当たりで、フレーバーが崩れない美しい味わいです。うちのビールは“キレイ”がテーマなのです」。

常陸野ネストビールができるまで

①麦芽の計量と粉砕
目的のタイプに合った麦芽を選んで計量し、機械に入れて細かく粉砕する。

②麦芽の糖化
麦芽はそのままでは発酵しないため、お湯に麦芽を入れて温度を上げて約3時間かけて糖化させる。

③麦芽の濾過
糖化が終了したものを、麦汁とカスに分離。じっくりと時間をかけて濾過作業を行う。

④煮沸・ホップ添加・ワールプール
煮沸釜で約2時間かけて麦汁を殺菌。そのあとホップ添加。ワールプールに移動させ凝集物を除去。

⑤麦汁の冷却・酵母の添加
酵母が活動しやすい温度まで冷却した後、目的に応じた酵母を添加し発酵と熟成を行う。

⑥遠心分離機でカスを取る
ヴァイツェンのような濁りビール以外は、この機械を使ってさらにビールを透明にする。

⑦瓶詰め
完成したビールは鮮度を保つために空気に触れないように、機械を使って素早く瓶詰めされる。

⑧ラベルを貼る
ラベルを貼り完成。作業は機械を使うが、最後はミスがないか醸造士が厳密にチェックを行う。

 

≫続きを読む

 
 

text : Kiyoko Yamauchi photo : Atsushi Yamahira
2016年別冊 「美味しいクラフトビールの本」


《世界が注目、常陸野ネストビール》
1|世界を魅了する5つの秘密
2|個性豊かな定番ビール
3|世界中どこで飲んでも美味しいビールを
4|オール地元産のビールで世界に挑戦

茨城のオススメ記事

関連するテーマの人気記事