「常陸野ネストビール」茨城の日本酒蔵、木内酒造がオール地元産のビールで世界に挑戦|第3回
日本のブルワーの中でも独自の世界観を確立し、海外でも幅広く高い評価を受けている「常陸野ネストビール」。《世界が注目、常陸野ネストビール》では、全4回にわたってその人気の秘密を解き明かしていきます。第3回は世界中に高品質なビールを届けるためのこだわりについて迫りました。
世界中で愛されるために
高品質なビールを届けたい
いかに品質を上げていくのか。それが常に試行錯誤している取り組みで信念である。年を追うごとに需要が高まり、年間約3000㎘のペースで製造量を増加させているが、ただ増やすのではない。世界中のどこにいても“美味しい”と思える、温度管理を駆使した高品質なビールづくりを徹底している。醸造長の谷さんは語る。
「どうやったらいい状態で世界に我々のビールを持って行けるのかを、常に考えています。ですから、大手メーカーと同じレベルの衛生検査や酸化検査を行いますし、過去15年のデータを基に品質向上の研究を続けています。賞を取って有名になっても、口にした人が満足しないものはつくってはいけないんですよ。すべての方に、うちのビールを美味しく飲んでいただきたいのです」。
また、国内外の販売先の気候風土に合わせて、使用する酵母や発酵法など、同じ酒でもつくり方を微妙に変化させているという。
「寒冷な地域と温暖な地域では、ビールの置かれる環境はまったく違いますが、どこにいても同じように美味しく飲んでほしい。目指すのは、えぐみがなくスムーズな口当たりで、フレーバーが崩れない美しい味わいです。うちのビールは“キレイ”がテーマなのです」。
常陸野ネストビールができるまで
①麦芽の計量と粉砕
目的のタイプに合った麦芽を選んで計量し、機械に入れて細かく粉砕する。
②麦芽の糖化
麦芽はそのままでは発酵しないため、お湯に麦芽を入れて温度を上げて約3時間かけて糖化させる。
③麦芽の濾過
糖化が終了したものを、麦汁とカスに分離。じっくりと時間をかけて濾過作業を行う。
④煮沸・ホップ添加・ワールプール
煮沸釜で約2時間かけて麦汁を殺菌。そのあとホップ添加。ワールプールに移動させ凝集物を除去。
⑤麦汁の冷却・酵母の添加
酵母が活動しやすい温度まで冷却した後、目的に応じた酵母を添加し発酵と熟成を行う。
⑥遠心分離機でカスを取る
ヴァイツェンのような濁りビール以外は、この機械を使ってさらにビールを透明にする。
⑦瓶詰め
完成したビールは鮮度を保つために空気に触れないように、機械を使って素早く瓶詰めされる。
⑧ラベルを貼る
ラベルを貼り完成。作業は機械を使うが、最後はミスがないか醸造士が厳密にチェックを行う。
text : Kiyoko Yamauchi photo : Atsushi Yamahira
2016年別冊 「美味しいクラフトビールの本」
《世界が注目、常陸野ネストビール》
1|世界を魅了する5つの秘密
2|個性豊かな定番ビール
3|世界中どこで飲んでも美味しいビールを
4|オール地元産のビールで世界に挑戦