使い手がつくり手にもなれる建築
「つな木」という発明
Nikken Wood Labの挑戦
ニーズや好みによって、そのかたちやサイズを変えられる、木を使った便利な道具「つな木」。どのような商品で、なぜ開発されたのだろうか。開発者の大庭拓也さんに話を聞いた。
日建設計
Nikken Wood Lab ダイレクター
大庭拓也さん
2005年、福岡大学工学部建築学科を卒業。東京工業大学大学院に進学し、建築と地球環境について研究。2007年、日建設計に入社。数々の建築設計にて、農林水産大臣賞、環境大臣賞、林野庁長官賞、グッドデザイン賞などを受賞
2024年7月、愛知県にある商業施設、KITTE名古屋のアトリウムで「WOOD DESIGN EXPERIENCE 木を使って暮らしと街と社会を良くする2日間@名古屋」が開催された。主催は「日本ウッドデザイン協会」。いま、日本では森林の樹齢が高くなり、本格的な伐採・利用期を迎えている。森林を「伐採して、使って、また植えて育てる」と循環させ健全に維持すること、今後は花粉の少ない杉苗木への植え替えなどが求められていることから開催された。
家具や食器、文具など、全国各地でつくられている魅力的な木製商品が並べられていた。中でもユニークな佇まいで存在感を放っていたのが、会場を構成していた無数の木材「つな木」だ。通りかかった人々がよく足を止めていた。
「つな木」は、手に入りやすい一般的な木材と、それを絞めて固定するオリジナル専用クランプを使って組み立てられる。誰でも簡単に組むことができ、その組み方も用途によってアレンジできるため、こうしたイベントや日常の空間のさまざまなシーンで活用されている。
今回のイベントの空間デザインを担当し、かつ「つな木」の仕掛け人として企画・プロデュースを行っているのが、「日建設計」の大庭拓也さんだ。大庭さんは同社の社内ベンチャーとして立ち上がった都市木造の専門チーム「Nikken Wood Lab」に所属している。
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《つな木》の魅力|前編
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WOOD DESIGN EXPERIENCE
~木を使って、暮らしと街と社会を良くする2日間@名古屋~
会期|7月5日(金)~6日(土)
会場|KITTE名古屋 1Fアトリウム
主催|日本ウッドデザイン協会
www.wooddesign.jp
text: Yoshino Kokubo photo: Azusa Todoroki
Discover Japan 2024年9月号「木と暮らす」