TRADITION

京都御所の象徴「紫宸殿」
多くの史実に残る神聖な場所

2019.10.2
京都御所の象徴「紫宸殿」<br>多くの史実に残る神聖な場所

京都御所の中でも最もオフィシャルな建物といえるのが紫宸殿だ。京都御所の正殿として、1868(慶応4)年に明治天皇が公家や大名を前に新政府の指針「五箇条の御誓文」を示し、明治・大正・昭和の3天皇の即位礼が行われた場所だ。

東西約33m、南北約23mの御殿は南側を向く。古来中国では、国の君主である天子は北を背に南を向いて人民を治める「天子南面す」という思想がある。唐の都・長安を手本に造営された平安京はこの思想を反映、それは平安時代の復古を目指して1855(安政2)年に再建されたこの紫宸殿にも受け継がれる。

高御座
大正天皇の即位のときに制作された、天皇が座る御座である高御座。金の金具に黒漆塗りが施され、屋根には大鳳凰の装飾が。

建物正面には、18段の階段がかかり、南庭と呼ばれる白砂の庭が広がる。階段の両脇には、平安京内裏からの伝統といわれる左近の桜・右近の橘が植えられ人々の目を和ませる。内部は板敷で天井を張らない化粧屋根裏という構造。部屋の中央には御座のと皇后のためのが置かれ、背後には中国の聖賢や名相ら32人の肖像画が描かれた『賢聖障子』がはめ込まれる。

即位の際に天皇が御座についた紫宸殿。ここはまさに京都御所の象徴だといえる。

大正御大礼絵巻(小原家文庫/皇學館大学神道博物館)
紫宸殿とその前庭を舞台に執り行われた即位礼。大正天皇の即位の様子を描いた上の図絵には、南庭に居並ぶ人々とともに、階段や桜、橘、回廊などが描かれている。

≫二条城は京都御所と一緒にめぐって深まる?!天皇の足跡が残る場所へ。 

京都御所
住所:京都市上京区京都御苑3" target="_blank">京都市上京区京都御苑3
Tel:075-211-1215(受付時間:8:30~17:15)
入場時間:入場時間は季節で変動、ウェブページを確認 ※予約不要の通年公開
休止日:月曜(祝日の場合は翌日休)、年末年始 ※臨時休止日あり。詳細はウェブページを確認
入場料:無料
https://sankan.kunaicho.go.jp
※無料ガイドツアーは、1日4回実施(9:30~、10:30~、13:30~、14:30~)。予約不要。参観者休所に集合

 

文=白木麻紀子 写真=宮内庁京都事務所、中田昭
2019年10月号 特集「京都 令和の古都を上ル下ル」

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