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外傷を治すなら
山梨県《下部温泉》
|温泉教授・松田忠徳が惚れた名湯10選⑧

2024.3.11
外傷を治すなら<br>山梨県《下部温泉》<br><small>|温泉教授・松田忠徳が惚れた名湯10選⑧</small>

保湿やアンチエイジングの効能がある美肌をつくる温泉、胃腸や免疫力など体内に効く温泉……。温泉研究歴40年以上の大先生が、人気温泉地から秘湯まで、東西の名湯をセレクト。
 
今回は岩盤から湧く源泉で外傷を治す名湯として武田信玄にも愛された山梨県・下部温泉を紹介。

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武田信玄が守ったかつての野戦病院

「武田信玄公かくし湯大岩風呂」は、約1300年前から人々を癒してきた名湯

数ある“信玄の隠し湯”の中でも、最も知られているのは山梨・下部温泉だろう。上杉謙信との有名な「川中島の戦い」で、武田信玄をはじめ、傷を負った兵士たちが湯治したという。湯は古くから外傷や手術後の後遺症などに特効がある。
 
原生林を縫うように流れる下部川沿いの谷あいに、10軒余りの旅館が軒を連ねており、その多くは木造2、3階建てで、昔ながらの湯治場風情が色濃く残されている。信玄が傷を癒したのは、その中の老舗旅館「古湯坊 源泉舘」の「武田信玄公かくし湯大岩風呂」だといわれている。畳15枚ほどの広さで、浴槽の底の岩盤の亀裂から30.6℃のアルカリ性単純泉が湧き上がってくる。その量は季節によって異なるというが、毎分200〜400ℓというからすごい量である。もちろん鮮度は抜群で、歴史的名湯と言うにふさわしい。ちなみに“名湯”とは「疾病に効く湯」を指す言葉である。

古湯坊 源泉館の「別館 神泉」の湯治プランの料理

女性専用時間もあるが、この岩風呂は混浴が基本。従って男女ともタオルを巻いて、混浴マナーを守ることが必須となる。基本的には源泉のぬる湯に15〜20分、加温の上がり湯に3分程度の入浴を何度か繰り返すとよいだろう。そのうち自分に適した入浴法が身につく。
 
次第に自律神経のバランスが整い、精神的にも落ち着いた気分になる。じわじわ身体の芯から温まることで、副交感神経が優位になり、免疫細胞が活性化する。不眠症や冷え性が改善されたという声をよく耳にする。

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鳥取県《三朝温泉》
 
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古湯坊 源泉舘
住所|山梨県南巨摩郡身延町下部45
Tel|0556-36-0101
料金|1泊2食付1万450円〜(税・サ込)
IN|14:00
OUT|11:00
キッチン×/ランドリー×/Wi-Fi〇(一部)
 
<温泉data>
泉質|アルカリ性単純泉
湧出温度|約30.6℃
かけ流し|〇

text: Tadanori Matsuda
Discover Japan 2024年2月号「人生に効く温泉」

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