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『Azumi Setoda(アズミセトダ)』が2021年3月に瀬戸田で開業
別棟銭湯「yubune」の宿泊予約受付も開始

2020.12.25
『Azumi Setoda(アズミセトダ)』が2021年3月に瀬戸田で開業<br><small>別棟銭湯「yubune」の宿泊予約受付も開始</small>
「Azumi Setoda」ベッドルーム(Photo Tomohiro Sakashita)

アマン創業者でもある世界的なホテリエAdrian Zecha(エイドリアン・ゼッカ)と株式会社ナル・デベロップメンツが本年10月に新しく立ち上げた旅館ブランド「Azumi(アズミ)」は、「Azumi Setoda(アズミ・セトダ)」を2021年3月に開業する。旅館の別棟となる「yubune」も同時に開業し、ともに宿泊予約の受付を2020年12月15日に開始した。

「Azumi Setoda(アズミセトダ)」は、瀬戸内海のしまなみ海道沿いにある人口8,000人の瀬戸田に開業する。心地よい潮風が漂い、青い海と色鮮やかな樹木や柑橘類に包まれるこの美しい島は、旅館ブランド「Azumi」を表現する場所として魅力的な土地であると考えた。この土地に根付く文化、歴史、食材を尊重しつつ、日本旅館の伝統的な要素と革新性を兼ね備えた旅館として「Azumi」の世界観を表現。

旅館「Azumi Setoda(アズミセトダ)」は、瀬戸田の地に約140年佇む「旧堀内邸」の貴重な建築様式を活かしながら、日本の伝統建築の手法を用いて改装。50平米〜70平米の計22室の客室に加え、庭園、あずまや、レストラン、バー、ラウンジ、ショップ等で構成されている。また新築の別棟として、銭湯付帯型の宿泊施設「yubune」も同時に開業。同施設には銭湯とサウナ、湯あがりラウンジ、客室が備わり、より機能的な側面を持つ”旅籠”として、地域と旅人に幅広く開かれる施設と位置付けている。

瀬戸田という場所に流れる伝統的な要素を重んじながらも、世界のリゾート知るゼッカ氏の革新的な発想を「Azumi Setoda」という旅館の至るところで表現し、アズミから地域全体に賑やかな連携をもたらすような、地域の新たなエンジンとなる宿となるのは間違いない。

美的であり、歴史的であり、
現代的でもある旅館「Azumi Setoda」

各客間ごとに設計されている坪庭(Photo Tomohiro Sakashita)

「Azumi Setoda」は築140年にもなる貴重な建築意匠に伝統的な数寄屋造りの思想を重ね合わせ、現代的な趣も兼ね備える空間を目指している。この建物はかつて「堀内邸」と呼ばれ、製塩業や輸送業で栄えた一族が本店として、または大切なゲストを迎え入れる邸宅として使われており、瀬戸田にとって重要な建築物として引き継がれてきた。

建築デザインを監修するのは、京都を拠点とし伝統的な日本建築を主とする六角屋・三浦史朗。室町時代まで遡る茶道のルーツに基づく日本の美学と、現代の多様性ある暮らしとの絶妙なバランスを見出す建築を生み出してきた、数寄屋造り・日本建築の専門家だ。

今回の改修設計では、木や石、土といった自然の生きた素材と、瀬戸田ならではの潮風、日差し、湿気などとの兼ね合いが、良いバランスで呼応するように表現されている。これらのバランスが生む建物全体の呼吸に思考をめぐらせ、風通しや日差しの調整役として、敷地内の庭園が重要な役割を果たしている。

1階の各客間に設えられる坪庭(Photo Max Houtzager)
雪見障子から坪庭を見る(Photo Tomohiro Sakashita)

敷地内は、パブリックスペースとしてレセプションやメインダイニングが配され、プライベートスペースである客間に辿り着くまでに徐々にグラデーションのように静けさが重なっていくような変化を演出している。ラウンジ等のセミプライベートのような曖昧な空間が、パブリックとプライベートの心地よい行き来を実現させている。

敷地中央には美しい庭園が配される一方で、個々の静かな空間で接する植栽の存在も大切にしており、各客室には垣根で仕切られ個別に設計された庭が息づいている。1階客室の雪見障子から見える凛とした坪庭や2階客室のバルコニーから見える景観は、当館の中で最も日本の情緒を表現している風景だ。

六角屋・三浦史朗によって「Azumi Setoda」の意志に沿った職人、芸術家、庭師が招かれ、伝統的な建築に関する幅広い知見を集めたチームが結成され、瀬戸田の土地に根付いた文化と地域社会を尊重しつつ、未来の世代に引き継がれていくことを掲げている。

瀬戸田という土地と
地域コミュニティーについて

旅館「Azumi Setoda」が開業する瀬戸田(生口島)は、瀬戸内海で最も穏やかなエリア。澄んだ青い海に囲まれ、純粋で新鮮な空気が流れている。瀬戸田港は江戸末期から明治時代に盛んだった塩田の製塩業、造船業、そして北前船の西廻り航路での舟付き場として賑わった歴史を持つ。

温暖な気候にも恵まれ、近年は島の半分が急斜面である地形を活かして柑橘類の生産が盛んとなり、とりわけレモンは国産シェア3割を誇り「レモンの島」とも呼ばれている。向上寺や耕三寺、平山郁夫美術館などの観光スポットを中心に、尾道から続くしまなみ海道の散策ルートの1つとしても、サイクリスト等に人気だ。

「Azumi Setoda」と「yubune」は、瀬戸田港から耕三寺にかけて繋がる地元の商店街「しおまち商店街」の入口に開業。かつては島の玄関口と見なされ、毎日約10,000人を迎え入れていた時代もあったと言われており、その活力を街全体に取り戻すことに貢献していくことだろう。

「Azumi Setoda」が演出する
豊かな食体験

心地よい潮風と奥深い自然が重なる、瀬戸田の風景(Photo Max Houtzager)

瀬戸田という土地は、年間を通して新鮮な魚介類、柑橘類、野菜等に恵まれている一方で、古代には地理的な特徴としてアジア大陸からのシルクロード等を経由して多様な異文化が交差する地点であったと言われている。

旅館で提供される料理は、かつての堀内邸に招かれたような食体験を表現すべく、古の時代に海を渡ってきたと推測されるハーブやスパイス等を用いながらも、豊かな自然環境で育てられた地元食材を掛け合わせたものを考案している。旅館の持つ家庭的なおもてなしの心とその土地に思いを馳せる体験こそが未来に求められる豊かさであると考え、「Azumi Setoda」の食体験として表現される。

Adrian Zecha(エイドリアン・ゼッカ)のコメント
これまで自身が手がけてきたプロジェクトは、その客層や価格帯からラグジュアリーに限定されていると捉えられていますが、全プロジェクトの当初の意図としては、常にその土地の文化、コミュニティー、芸術、食材に光を当てることでした。新ブランド「Azumi」では、日本独自の家庭的な旅館の概念を、当初の意図と照合しながら変化させています。「Azumi」では場所のラグジュアリーさを追求するのではなく、家庭的なおもてなしの心と、地域との共感を生む豊かさを最優先して追求しています。

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Azumi Setoda
ゲストルーム(最大3名〜4名様)|22室(約50〜70平米)
共有部|レストラン、バー、ブライベートダイニングルーム、庭園、ラウンジ、ショップ、あずまや

yubune
ゲストルーム(最大2〜4名様)|14室(約20〜30平米)
共有部|男女別浴場およびサウナ、湯あがりラウンジ(yuagari)
※ラウンジスペースは、朝食ラウンジまたは休憩所としてご利用いただけます。

開業日|2021年3月
住所|広島県尾道市瀬戸田町瀬戸田269
価格帯|Azumi Setoda:約6万5000円(税・サ別、朝食込み)〜、yubune:約2万円(税・サ別)〜

予約ウェブサイト
Azumi Setoda|http://azumi.co/setoda
yubune|http://azumi.co/yubune

Azumi インスタグラム アカウント
https://www.instagram.com/azumi.______/


≫スタジオ・ムンバイが尾道に手掛けた、新時代を予感する空間「LOG」

≫しまなみ海道沿いの瀬戸田・しおまち商店街にて「住みたいまち、しおまち」を目指すプロジェクトが本格始動

≫住吉大明神が授けた神聖な名湯「恩湯」で、せせらぎと湯浴みに寛ぐ。

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