100超の源泉
和歌山県《南紀勝浦温泉》
|温泉教授・松田忠徳が惚れた名湯10選⑥
保湿やアンチエイジングの効能がある美肌をつくる温泉、胃腸や免疫力など体内に効く温泉……。温泉研究歴40年以上の大先生が、人気温泉地から秘湯まで、東西の名湯をセレクト。
今回は目の前に海を望む絶景風呂が自慢の和歌山県・南紀勝浦温泉を紹介。
景勝地と海の幸に恵まれた五感で味わう温泉
和歌山・南紀勝浦温泉は源泉の数が優に100を超え、大半の施設が自家源泉を複数もつほど温泉資源に恵まれている。景勝地の紀の松島から勝浦漁港にかけてホテルや足湯などの温泉施設が集まっており、朝の散策が楽しい。
おすすめ宿は素泊まりの「海のホテル一の滝」。海辺の鉄筋3階建てで、有名な那智の滝を遠望できる。なにせ湯質が紀伊半島でもダントツである。約38℃の源泉100%かけ流しの浴槽と加温したかけ流しの浴槽が並び、交互に入浴する。
アルカリ性単純温泉だが、かすかに硫化水素臭が漂い、その抗酸化力は全国でも屈指のもの。2本の源泉をもち、毎分300ℓを超える湧出量を誇るだけあり、部屋の蛇口から源泉を飲むことも可能。身体の内外から極上湯を堪能できるわけだ。
宿泊料金が安いので、3、4泊のプチ湯治が楽しめそうだ。昼間は世界遺産に登録された熊野三山詣でに出掛けるのもよいだろう。食事のほうも勝浦ならではの味が堪能できる。日本のマグロの大半は冷凍ものだが、勝浦漁港は日本一の“生マグロ”の水揚げ高を誇る。クロ、メバチ、キハダ、ビンチョウの4種類の生マグロのどれかが通年水揚げされている。
温泉街にはマグロ料理の店が多数あるが、私が夕食に選ぶのは JR 紀伊勝浦駅前の「bodai」。朝食は「勝浦漁港にぎわい市場」内の「しげ」など。地魚の朝ごはん定食や、生マグロと地魚の二種盛定食が安く味わえる。
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海のホテル一の滝
住所|和歌山県東牟婁郡那智勝浦町勝浦752
Tel|0735-52-0080
料金|1泊素泊まり5500円〜(税・サ込)、日帰り入浴大人500円、子ども300円
IN|15:00
OUT|10:00
キッチン×/ランドリー×/Wi-Fi〇
<温泉data>
泉質|アルカリ性単純温泉
湧出温度|約38.8℃
かけ流し|〇
00|いまこそ知りたい“予防湯治”の心構え
01|秋田県《乳頭温泉郷》
02|三重県《榊原温泉》
03|岩手県《花巻南温泉峡》
04|福島県《高湯温泉》
05|奈良県《十津川温泉郷》
06|和歌山県《南紀勝浦温泉》
07|栃木県《奥塩原温泉》
08|山梨県《下部温泉》
09|鳥取県《三朝温泉》
10|鹿児島県《妙見温泉》
text: Tadanori Matsuda
Discover Japan 2024年2月号「人生に効く温泉」