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渓流に隠れた名泉
鹿児島県《妙見温泉》
|温泉教授・松田忠徳が惚れた名湯10選⑩

2024.3.13
渓流に隠れた名泉<br>鹿児島県《妙見温泉》<br><small>|温泉教授・松田忠徳が惚れた名湯10選⑩</small>

保湿やアンチエイジングの効能がある美肌をつくる温泉、胃腸や免疫力など体内に効く温泉……。温泉研究歴40年以上の大先生が、人気温泉地から秘湯まで、東西の名湯をセレクト。
 
今回は天然の美容液のような保湿成分に優れた鹿児島県・妙見温泉を紹介。

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保湿成分に優れた肌に優しい湯

妙見温泉ねむの「岩風呂」は、この温泉内で随一の広さを誇る

鹿児島・霧島山系の石清水を集め、紅葉で名高い新川渓谷をかたちづくりながら足早に流れる天降川の流域に、個性的な温泉群が湯煙を上げる。その中心的存在が妙見温泉である。
 
10軒前後の宿からなる妙見は、「妙見石原荘」などの高級旅館から、自炊の湯治宿まで多様である。しかも温泉街を形成しているわけではなく、天降川の渓流と山懐に抱かれそれぞれが一軒宿の趣で、私も好きな温泉場だ。
 
おすすめの「妙見温泉 ねむ」は名宿・妙見石原荘の別館である。泉質はナトリウム・カルシウム・マグネシウム-炭酸水素塩泉。天然の保湿成分のメタケイ酸が豊富に含有されているから、“美人の湯”とも呼ばれている。

事実、数年前に私たちが実施した実証実験で、ほおの水分量が増加し、肌の張りやアンチエイジングにかかわる還元力が飛躍的に高まった。それだけではなく、血圧が有意に下がり、「万病の元」といわれる活性酸素代謝物も有意に減少した。4泊のプチ湯治によって、健康度も有意に向上するなど、九州屈指の“効く”温泉であることが判明した。
 
「ねむ」の主浴槽は巨大な岩風呂だが、特におすすめしたいのが中浴場の「黄金湯」。ここの湯は容易には酸化されず、湯質のレベルは「ねむ」随一である。38℃のぬる湯も極上だ。鹿児島空港から車でわずか15分。このような隠れ家的な宿で週末に都会の喧騒から逃れ、たとえ1泊でもすれば心身ともに再生できそうだ。

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妙見温泉 ねむ
住所|鹿児島県霧島市隼人町嘉例川4386
Tel|0995-77-2201
料金|1泊2食付1万9800円〜(税・サ込)
IN|15:00
OUT|10:00
キッチン〇/ランドリー〇/Wi-Fi〇
 
<温泉data>
泉質|含土類重曹泉(ナトリウム・カルシウム・マグネシウムー炭酸水素塩泉)
湧出温度|約53℃
かけ流し|〇

text: Tadanori Matsuda
Discover Japan 2024年2月号「人生に効く温泉」

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