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濁り湯の宝庫
栃木県《奥塩原温泉》
|温泉教授・松田忠徳が惚れた名湯10選⑦

2024.3.10
濁り湯の宝庫<br>栃木県《奥塩原温泉》<br><small>|温泉教授・松田忠徳が惚れた名湯10選⑦</small>

保湿やアンチエイジングの効能がある美肌をつくる温泉、胃腸や免疫力など体内に効く温泉……。温泉研究歴40年以上の大先生が、人気温泉地から秘湯まで、東西の名湯をセレクト。
 
今回は日によって湯の色が変わる濁り湯の宝庫である栃木県・奥塩原温泉を紹介。

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さまざまな効能を享受できる秘湯

「邯鄲の湯」。胃腸のほかに切り傷ややけどといった外傷や、にきびにも効く

栃木・塩原温泉の最深部に湯煙を上げる新湯と塩原温泉発祥の地、元湯を奥塩原温泉とも呼ぶ。新湯に4軒、元湯に3軒、いずれも主に硫黄泉で、乳白色、黒湯などの“濁り湯”の源泉かけ流しの湯である。私の評価では日本“最強の湯治場”。新湯には「むじなの湯」、「寺の湯」、「中の湯」の3軒もの共同浴場があり、温泉好きにはたまらない魅力だろう。
 
私のイチオシは元湯の「秘湯の宿 元泉館」。赤川渓谷に面した施設には、3カ所の浴場があり、2、3泊しても飽きがこない。しかも日によって、白濁、緑色、黒色などと湯の色が変わる。渓畔にある大浴場「高尾の湯」の湯が黒色に変化して感動したことがある。高尾の湯の湯温や大浴槽のつくりは私に最も相性がよい。還元力の強い“効き湯”でもある。高尾の湯の「渓流露天風呂」は紅葉と雪景色の季節が癒される。

「高尾の湯」はリウマチ、神経痛などに効能がある

こと浴槽内の湯で、岩肌から源泉が湧出する「邯鄲の湯」にかなう温泉はそうないだろう。卓越した抗酸化力を誇るからだ。“胃腸の名湯”で知られ、胃潰瘍が治癒した湯治客もいるという。朝食の温泉粥は邯鄲の湯源泉である。
 
糖尿病、婦人病などに卓効がある乳白色の硫黄泉の「宝の湯」。間欠泉で湯口から湯が出てきたり、休んだりで、珍しい。廊下に濁り湯の飲泉所まである。最近、ペットと一緒に宿泊できる立派な部屋も加わった。

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山梨県《下部温泉》
 
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秘湯の宿 元泉館
住所|栃木県那須塩原市湯本塩原101
Tel|0287-32-3155
料金|1泊2食付9000円〜(税・サ込)、日帰り入浴大人800円、子ども400円 ※高尾の湯利用
IN|15:00
OUT|10:00
キッチン〇/ランドリー〇/Wi-Fi〇
 
<温泉data>
泉質|含硫黄ナトリウム塩化物炭酸水素塩温泉・硫化水素型
湧出温度|約48〜57℃
かけ流し|〇

text: Tadanori Matsuda
Discover Japan 2024年2月号「人生に効く温泉」

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