TRADITION

福岡・小倉エリア《小倉縞縞》
世界を魅了する伝統工芸。
|九州観光まちづくりAWARD2023 金賞 ものづくり部門

2023.10.4
福岡・小倉エリア《小倉縞縞》<br>世界を魅了する伝統工芸。<br><small>|九州観光まちづくりAWARD2023 金賞 ものづくり部門</small>
思わず見とれてしまう美しい縞のグラデーションこそ小倉 縞縞の真骨頂。通常、織物は経糸と緯糸が1対1だが、小倉織は経糸が約2倍の密度なため、緯糸が見えにくく、見た目には縦縞が立体的に浮かび上がって見えるのだ

2022年、大きな反響があった、JR九州が創設した「西九州観光まちづくりAWARD」。2023年は、舞台を佐賀・長崎の西九州エリアから九州全域に拡大し、新たに「九州観光まちづくりAWARD」を発足! 今回は、日本のものづくりのクオリティの高さをあらためて感じさせる「小倉 縞縞」。一度途絶えた伝統を復活させるだけでなく、美しく進化させるクリエイションが支持され、ものづくり部門金賞を獲得!

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一度途絶えた伝統はいま、
革新を生み出し続けています。

日常使いしたくなる、シンプルなシリーズを豊富に展開。バッグや小物入れなどアイテムの種類やカラーバリエーションも豊かで、幅広い世代に魅力を届けている。伝統工芸を気軽に取り入れられるのがうれしい

江戸時代、徳川家康が羽織や袴として愛用した小倉織。地厚で丈夫な木綿の生地は「やりをも通さぬ小倉織」と称されるが、細い糸で高密度に織られているため、まるでなめし革のような光沢のある質感が魅力。明治時代には学生服の生地として全国に広がるが、時代の流れを受けて一度途絶えてしまう。

世界的ファッションデザイナー「ANREA LAGE」の森永邦彦さんと、小倉織物製造のファクトリーブランド「KOKURADENIM」がコラボ。ハカマデニムは幅広い世代に人気だ

時を超えて、染織家・築城則子(ついき・のりこ)さんが小倉織の端布(はぎれ)と出合ったとき、独特の立体感のある美しさに魅了されたという。その後、織りの組織を調べ、試し織りを繰り返しながら機織(はたお)り機を改造するなど、試行錯誤の末に復元。妹の渡部英子(わたなべ・ひでこ)さんや、姪の築城弥央(みお)さんとブランド「小倉 縞縞」を立ち上げたのが2007年。このとき、小倉織らしい縞模様を世界に共通する「ストライプ」としてブランディングしたのが大成功! ファッション、インテリア、アートなど、さまざまな業界のクリエイターとのコラボレーションにつながり、独特の立体感と風合いのある小倉織の魅力は国内外に広がっていった。

コロナ禍では、国産デニムのルーツが小倉織にあったことからデニム生地をつくったり、SDGsの観点で再生ポリエステルを糸に使った生地を生み出すなど、小倉 縞縞の挑戦は止まらない。立川裕大さんは「見る人をハッとさせるセンスがあるのが素晴らしい。販路がしっかりしているのも頼もしく、応援したくなります」とエールを送った。

<年表>
江戸時代 徳川家康が羽織や袴を愛用
明治期~ バンカラ学生の学生服のシンボル「霜降」
昭和初期 小倉織が消滅
1984年 染織家・築城則子さんにより復元・再生
2007年 機械織ブランド「小倉 縞縞」が誕生
異業種コラボレーションがはじまる
2010年 経済産業省ジャパンブランドに採択
2018年 小倉織物製造を設立

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織物のバリエーションを実現させたのは、
「幅」と「デザイン」にあり!

5年前、さまざまな量や納期にスムーズに応えられるようになるべく、小倉の地で小倉織を機械で織る工場を始動。手織りでは難しかった幅やデザインも機械織では可能になり、作品のバリエーションが広がった

以前、JR九州の豪華列車「ななつ星in九州」の乗客のためだけにつくられたアメニティバッグ。車体を思わせるワインレッドをキーカラーにしたバックは、思い出の品になると当時大好評だった
デンマークのデザイナー、ハンス・ヨルゲンセン・ウェグナーの名作「サークルチェア」とコラボした限定商品。優雅なフォルムの木枠とストライプの組み合わせで、国内外のファンを魅了した
台北マリオットホテルの3つのレストランそれぞれに合わせた、オリジナルのテキスタイルを制作。テキスタイルは壁面や照明に使用され、唯一無二のラグジュアリーな空間を演出している。 photo: Nacasa & Partners Inc.
小倉織誕生の地、北九州にある北九州空港国内線のラウンジには、小倉 縞縞のアートパネルがあり、旅人の目を楽しませてくれる。開運や繁栄を願い、凜とした縞を扇のように展開したオブジェだ。 photo: Kyoko Omori
2023年にスタートした、建築家・隈研吾さんとコラボレーションしたインテリアテキスタイルブランド「KUMASHIMA」。ソファやカーテン、パーテーションなど幅広いアイテムに適している。 photo: Masayuki Hayashi/(ソファ:Time & Style/KA)
世界的なラグジュアリーホテル「ザ・リッツ・カールトン福岡」では、客室フロアの廊下やスパ、レストランを彩る伝統工芸品として、小倉 縞縞の美しいストライプが選ばれている。 photo: Daiki Morita/(日本料理店「幻珠」/design STRICKLAND Inc.)

自然染色の織物にも審査員は興味津々

北九州の山あいにある染織家・築城則子さんの手織り工房では、自然由来の染色にこだわり、桜や梅の枝、ビワの葉、どんぐりの実といった、周辺の草木から色を抽出し、糸を染めている
審査員も糸に興味津々

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小倉織物製造 代表取締役/小倉縞縞の専務取締役・築城弥央さん(中央左)と、小倉織物製造を支えるメンバーたち

小倉縞縞
住所|福岡県北九州市小倉北区大手町3-1-1F
Tel|093-561-0700
www.kokura-shimashima.com

 

鹿児島・頴娃町エリア
「頴娃おこそ会」

 
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text: Nozomi Kage photo: Hiromasa Ohtsuka
Discover Japan 2023年10月号「私を癒す15の旅。/九州」

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