福岡・小倉エリア《小倉縞縞》
世界を魅了する伝統工芸。
|九州観光まちづくりAWARD2023 金賞 ものづくり部門
2022年、大きな反響があった、JR九州が創設した「西九州観光まちづくりAWARD」。2023年は、舞台を佐賀・長崎の西九州エリアから九州全域に拡大し、新たに「九州観光まちづくりAWARD」を発足! 今回は、日本のものづくりのクオリティの高さをあらためて感じさせる「小倉 縞縞」。一度途絶えた伝統を復活させるだけでなく、美しく進化させるクリエイションが支持され、ものづくり部門金賞を獲得!
一度途絶えた伝統はいま、
革新を生み出し続けています。
江戸時代、徳川家康が羽織や袴として愛用した小倉織。地厚で丈夫な木綿の生地は「やりをも通さぬ小倉織」と称されるが、細い糸で高密度に織られているため、まるでなめし革のような光沢のある質感が魅力。明治時代には学生服の生地として全国に広がるが、時代の流れを受けて一度途絶えてしまう。
時を超えて、染織家・築城則子(ついき・のりこ)さんが小倉織の端布(はぎれ)と出合ったとき、独特の立体感のある美しさに魅了されたという。その後、織りの組織を調べ、試し織りを繰り返しながら機織(はたお)り機を改造するなど、試行錯誤の末に復元。妹の渡部英子(わたなべ・ひでこ)さんや、姪の築城弥央(みお)さんとブランド「小倉 縞縞」を立ち上げたのが2007年。このとき、小倉織らしい縞模様を世界に共通する「ストライプ」としてブランディングしたのが大成功! ファッション、インテリア、アートなど、さまざまな業界のクリエイターとのコラボレーションにつながり、独特の立体感と風合いのある小倉織の魅力は国内外に広がっていった。
コロナ禍では、国産デニムのルーツが小倉織にあったことからデニム生地をつくったり、SDGsの観点で再生ポリエステルを糸に使った生地を生み出すなど、小倉 縞縞の挑戦は止まらない。立川裕大さんは「見る人をハッとさせるセンスがあるのが素晴らしい。販路がしっかりしているのも頼もしく、応援したくなります」とエールを送った。
<年表>
江戸時代 徳川家康が羽織や袴を愛用
明治期~ バンカラ学生の学生服のシンボル「霜降」
昭和初期 小倉織が消滅
1984年 染織家・築城則子さんにより復元・再生
2007年 機械織ブランド「小倉 縞縞」が誕生
異業種コラボレーションがはじまる
2010年 経済産業省ジャパンブランドに採択
2018年 小倉織物製造を設立
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織物のバリエーションを実現させたのは、
「幅」と「デザイン」にあり!
5年前、さまざまな量や納期にスムーズに応えられるようになるべく、小倉の地で小倉織を機械で織る工場を始動。手織りでは難しかった幅やデザインも機械織では可能になり、作品のバリエーションが広がった
自然染色の織物にも審査員は興味津々
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小倉縞縞
住所|福岡県北九州市小倉北区大手町3-1-1F
Tel|093-561-0700
www.kokura-shimashima.com
「頴娃おこそ会」
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9|九州の素晴らしいヒト、モノ、コトを再発見する旅に出よう。
text: Nozomi Kage photo: Hiromasa Ohtsuka
Discover Japan 2023年10月号「私を癒す15の旅。/九州」