大分・別府エリア《BEPPU PROJECT》
温泉×アートで感性もととのえる。
|九州観光まちづくりAWARD2023 大賞
2022年、大きな反響があった、JR九州が創設した「西九州観光まちづくりAWARD」。2023年は、舞台を佐賀・長崎の西九州エリアから九州全域に拡大し、新たに「九州観光まちづくりAWARD」を発足! 今回は、九州観光まちづくりAWARD2023の大賞受賞者「BEPPU PROJECT」。18年前、一人のアーティストがはじめたアートでのまちづくりは、いまや別府がアートの街として世界に認知されるほどに成長している。
世界中を魅了する温泉&芸術大国へ。
日本一の源泉数と湯量を誇る温泉大国・別府。性別や国籍を問わず、裸になって自然の恵みを享受する別府という土地柄を生かしながら、アートでまちづくりする「BEPPU PROJECT」に、いま世界が注目している。地元住民の営みが息づく街を舞台に、2009年、芸術祭「混浴温泉世界」を開催し、’16年には、1年に1組のアーティストを呼ぶ個展形式の芸術祭「in BEPPU」へかじを切った。アート界の巨匠、アニッシュ・カプーアさんを招くなど、別府の名を世界に広めた。
さらに、若手アーティストに1カ月1万円で、住居とアトリエを貸し出す「清島アパート」や、市民の文化祭「ベップ・アート・マンス」もあり、アートを通じて地域のつながりを結ぶ「社会関係資本」を生み出している。
18年前にBEPPU PROJECTがはじめたアートでのまちづくりは、小石を水面に投げたように波紋となり、人と人をつなぎ、いまも広がり続けている。2022年、創立者・山出淳也さんは、長く続く組織にするために、同じ人が代表を続けてはいけないと中村恭子さんにバトンタッチ。「アートでのまちづくりは継続が難しい。未来を見据えた山出さんの考えも素晴らしいです」と永山祐子さんも高く評価した。観光、移住、雇用など、地域の問題をアートで軽やかに解決するBEPPU PROJECTのさらなる挑戦に期待したい。
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一人のアーティストの想いがつないだ、
アートのまちづくり。
BEPPU PROJECTの創立者・山出淳也さんは、自身も国内外で活躍するアーティストであることを生かし、たくさんの名だたるアーティストを別府の街に招聘。別府の街にアートの素地をつくった功績はあまりにも大きい
2009年 グループ展による芸術祭「混浴温泉世界」
2010年 市民文化祭「ベップ・アート・マンス」
2014年 「まちじゅう美術館事業 壁画プロジェクト」
2016年 個展形式の芸術祭「in BEPPU」
2022年 パブリックアート設置事業「ALTERNATIVE-STATE」
BEPPU PROJECT
Tel|0977-22-3560
www.beppuproject.com
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「伝泊」
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1|九州観光まちづくりAWARD2023、はじまりました。
2|大分・別府エリア「BEPPU PROJECT」
3|鹿児島・奄美大島エリア「伝泊」
4|熊本・和水町エリア「花の香酒造」
5|福岡・小倉エリア「小倉縞縞」
6|鹿児島・頴娃町エリア「頴娃おこそ会」
7|鹿児島・阿久根エリア「下園薩男商店」
8|九州観光まちづくりAWARD2023 参加者9組
9|九州の素晴らしいヒト、モノ、コトを再発見する旅に出よう。
text: Nozomi Kage photo: Hiromasa Ohtsuka
Discover Japan 2023年10月号「私を癒す15の旅。/九州」