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博多献上本舗ばんぎやの「博多献上」
福田里香の民芸お菓子巡礼

2020.7.3
博多献上本舗ばんぎやの「博多献上」<br>福田里香の民芸お菓子巡礼
献上柄を写した皮。上から独鈷、孝行縞、華皿

民芸とお菓子の甘い関係をひも解いていく、お菓子研究家・福田里香さんの《民芸お菓子巡礼》。今回は博多織の献上柄を施した皮が美しい最中、博多献上本舗ばんぎやの「博多献上」を紹介します。

福田里香(ふくだ・りか)
お菓子研究家。書籍や雑誌を中心に活躍。8年間にわたり続いている本連載をまとめた書籍『民芸お菓子』が小社より発売中

献上柄の包み紙。具の水飴は左が肉桂味、右がショウガ味

民藝運動の創始者である柳宗悦の『手仕事の日本』は、昭和15年前後の各地方の雑器や雑貨、織物などの現状を記した名著です。この本の中に福岡県の博多織のことを記した一節があります。

“この織物(筆者注:小倉織を指す)と共に想い起されるのは筑前の「博多織」であります。「博多」といえば誰も知っているほど特長のある織物で、幸にいまも続いて織られます。「博多帯」の名があるほど帯地を主に作ります。絹を材料とする密な堅い織で、柄にも特色があります。仕事として誠に立派なものといえましょう。”と絶賛です。

グラシン紙で包まれた、献上柄を配した紙箱。8枚入880円

その名前と意匠を冠した最中が博多献上本舗ばんぎやの銘菓「博多献上」。菓名は関ヶ原の戦いの年に、黒田長政が徳川家へ博多織を献上した史実に由来します。

博多献上は、香ばしい最中皮に、独鈷、花皿、菱、孝行縞などを組み合わせた“献上柄”を浮き彫りにし、とても美しい。二枚に薄く削いだ最中皮の間には水飴が挟んであります。焦がし皮は肉桂風味、白皮はショウガ風味。どちらも滋味豊かな味わいです。

博多献上本舗ばんぎや
住所|福岡県福岡市博多区網場町5-18
Tel|092-291-5027
営業時間|9:00〜21:00
定休日|なし

text: Ricca Fukuda photo: Wakana Baba
2019年11月号 特集「すごいぜ!発酵」


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